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不穏な空気…?

「ローゼ義姉さま!」


「ラズ姫!無事で何よりだわ!」


一段と派手な髪だなぁ、と思いつつ抱き合う2人を私は後ろから眺めていた。

数分前に侍女からローゼリア様とルベルス王子殿下が、ラピスを尋ねてくると聞いてのラピスの喜びようは凄かった。

なんでも王子の婚約者であり、実の姉のように慕っているとても素晴らしい人なのだと。


「私も義姉さまに会えてとても嬉しいです!異国の地のお話を今度ぜひお聞かせください!」


花でも咲きそうな笑顔で、犬のしっぽのような幻覚が見える気さえする。

そんな勢いでローゼリア様に抱きつくラピスは、王子と接する時とはまた少し違う妹の顔だ。


「リア、紹介したいと言ったうちの1人がこのライラ嬢だ。誘拐されたラズを助け、送り届けてくれた恩人だよ」


ルベルス王子が少し不機嫌そうに私の横に来ると、ローゼリア様に紹介された。

王子はいつもにこにこしていて裏を読みにくい表情をしているけれど、今日はなんでこんなに怒っているんだ?

なんかにこにこの後ろから黒いモヤが見えるような気さえする。

私、いつからこんなに感受性と想像力が豊かになったんだろうか。


「まぁ!貴女がラズ姫を助けてくださったのですね。姫のことは本当の妹のように大事に思っていますの。心から感謝致しますわ。…とても綺麗な黒髪に素敵な瞳。磨きがいがありそうね」


ボソッと囁かれた後半部分を私は聞き逃さなかった。

この人、多分めっちゃ面倒見のいいタイプの人だ。

質素な私の服を見て着せ替えしたいとか思われたんだ。

ごちゃごちゃした服より、こっちの方が動きやすいから好んで着ているのに。

まずいぞ、また似合いもしない飾り付けをされる!!


「まぁまぁそんなに怯えないでくださいませ」


「お、怯えてなどいません。そういうご令嬢こそジリジリと詰め寄ってこないでください」


これが殺意のある暗殺者とかなら余裕でぶん殴るのに。

貴族のご令嬢で王子の婚約者だなんて、手を出したら死刑ものだ。

下がるしかない。

ふふふ、と楽しそうに口元をゆがめて迫ってくる令嬢は恐ろしい捕食者に見える。


「ローゼ義姉さま?…っは!そういうこと。ライラ!義姉さまに任せていれば間違いないよ!」


いや、間違いなかったとしても、別に美しくも可愛くもなりたいわけじゃない。

楽な格好してたいだけ。

チラリと王子に目をやれば、先程と違って楽しそうににこにことしていた。

私と妹と婚約者が仲良くしてて和むなぁ、みたいな顔してるけど、こっちは必死なんだが!?


「さぁ、観念なさいませ!と、ルスは出ていってくださいまし!」


え?なんで?みたいな顔してるけど、多分私今から脱がされるんですよね。

結婚なんかするつもりないけど、乙女の肌をそう簡単に見せていいわけない。

王子って時々ポンコツになる時があると思うのは気のせいだろうか?

扉はラピスたちの後ろ、王子も出ていった、背後は壁。

逃げ道はなし。


「私、可愛いものを愛でるのが趣味ですの」


「へ、へぇ、そうなんですね」


「ラズ姫とはまた違う愛らしさを持つ貴女を、私好みに変えて差し上げますわ!」


結構です!

余計なお世話です!

なんて、言えたら、よかった、な……。



ちなみにローゼリアは『ローズクォーツ』から取っています。

クガーネトはガーネットのもじりで、結構好きなキャラにしました。


ローゼリア視点のお話はいつか書きますね。

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