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精霊が生まれました!

「だ、だれ?」


突然頭に響くような声に驚いて反射的に声を上げると、その声はクスクスと笑い声をあげる。

ポワンと光が灯ったのは私の腕の中、買ったばかりのオルゴールだ。

うっすらと水色に輝いてそれがオルゴールから飛び立つと小さな球精霊になる。


「なんでオルゴールから…」


《精霊はね、想いから生まれるんだよ》


私の想いから生まれたってこと?

水色の光はふわふわと嬉しそうに私とレイルの周りを飛び回る。

レイルは何か言いたげだが、意識が薄れているのか顔色が真っ青だ。


《彼を助けたいの?》


「助けられるの!?で、でも魔力を渡すなんて出来るの?」


《精霊を信じて!想いが強ければ強いほど精霊も強くなるんだよ》


私はぎゅっと目を閉じてオルゴールを抱きしめる。

兄さまを癒したくて買ったこのオルゴール。

今、レイルが魔力切れで苦しんでいる。

私はあんまり魔法の扱いが得意ではないけれど、魔力量は多いらしいから、どれくらいでもいい。

いくらでも精霊に渡してあげる。

だから、レイルを助けて!!


《貴女の想いは受け取ったわ》


水色の球精霊が一瞬だけ眩しいくらいに輝くと、そこには半透明の4枚の羽。

水色の短髪に、足毛だけが長い手のひらサイズの可愛らしい精霊がいた。

なんだかお人形さんみたいな頭身。

可愛らしい。


《おにいさんちょっと不思議ね?でも、これでだいじょーぶ!》


精霊の子がレイルに手をかざすと、レイルの体が精霊と同じ水色にうっすらと輝く。

いや、光に包まれているのかな?

そしてみるみるその顔色が戻って、呼吸も整って行った。


「生まれてすぐ微精霊に…」


レイルが少し驚いたように精霊を見つめる。

精霊はどお?と胸を張って私のそばで飛んでいて可愛い。

本当に魔力を回復することが出来るなんて…。


《そうだ!ねぇ?アタシに名前をつけてよ!テキトーなのじゃなくてちゃあんとしたの!》


「私が名前をつけていいの?」


「精霊と契約する時、その精霊に名前をつけるんだよ。その子の力は普通にとんでもないものだから、契約という形でそばに置いていた方がいいと思う」


まだ疲労までは回復できてないのか、レイルは座ったまま説明をしてくれた。

精霊と契約するということは、精霊術師になるってことだよね。

この王国で精霊を連れていて大丈夫かな…。

でも確かにこの精霊の力は、普通の回復魔法じゃできないことが出来るから、変に利用されたりしないように保護するつもりでいたほうがいいかもしれない。


「えっと…それじゃあ、たぶんもう名乗ることはないと思うの。でも、ちょっと特別な私の偽名、あなたに〝アピス〟の名前をあげる」


《分かった!これからアタシはアピスね!》


わーいわーいと無邪気に飛び回るアピスは愛らしい。

なんだか、ちょっと疲れちゃった。

契約するにあたって魔力を使ったのかもしれない。


「ライラたちのとこにいこう。もう歩けるから」


魔法王国で精霊が普通にいては大騒ぎに成りかねないので、アピスにはオルゴールの中へと戻ってもらった。

ゆっくりと壁伝いに立ち上がったレイルは、まだ少し覚束無い足取りで人混みに向かい出す。

私がレイルを支えるように腕を掴むと、少し驚いたようにこちらを見たあと顔を背けられた。

腕、持っちゃダメだったかな?

でも危ないし、私も迷子になるかもだし。

ライラたちは大丈夫だろうか?


今回ちょっと短かったかな…

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