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知らなかったんだもん。

ヨーロッパとかの貴族のドレスって、すごい重そうですよね。

「ふぅ…疲れた」


そう言葉を漏らしながらベッドに体を沈める。

けれど実際は疲れたと言うには烏滸がましいくらい何もしていない。

でも、慣れない服を着続けるのは疲れる。

毎日違うテイストのドレス?ワンピース?を着せられて、初めてのお友達に大興奮のお姫様の相手。

もちろんラピスといることは楽しいのだけど、貴族らしい装いや振る舞いがちょっとしんどい。


「明日は庭園を散歩するんだっけ…」


お城の自慢の美しい庭園を見て回ろう!

ラピスを見ていると昔よく遊んだ狼の群れを思い出す。

最初こそすごく警戒していたくせに、1度心を許すとじゃれついて懐いて愛らしい。

何かしようと言われて、いいよと返したあとの満面の笑みには、しっぽと耳の幻覚が見える気がする。

なんてぼんやりとやわらかなベットに背を預けて考えていた時だった。


「ライラ起きてるか?」


「レイル?うん、大丈夫だよ」


自分と同じ黒い髪。

団長に詳しく聞こうとしてもはぐらかされるばかりで、確固たる血筋はわからない。

それでも他の家族に比べて、やっぱりレイルとは特別な何かがあると私は思う。

多分レイルも同じように思ってる。


「最近どうだ?って聞きたくて」


「大丈夫だよ。レイルのほうは?」


「まぁうん、こき使われてる。おうじサマの方は何考えてるかわかんないけど」


部屋にある椅子に腰掛けてレイルがぼやいた。

確かにあの王子は何を考えているのだろうかと私も思う。

感情に素直な妹姫に対して、いつも笑顔の兄王子は随分とわかりにくい。

まぁ、いずれ王になる人が分かりやすいのはどうかと思うけれど。


「なんかさ、お城で生活とか考えられないよな」


「まさか私たちがお城で生活しているだなんてね。人生ほんと何があるかわかんないよね」


「本当に。団長たちどうしてるかな」


「さぁ…大丈夫とは思うけど」


美味しい食事に暖かくて寝心地のいいベッド。

森の中に比べて天国とも言えるくらいの環境。

けれど、ワイワイとしていたあの森も懐かしい。

ラピスを送り届けて二度と帰ってくるな、と言われた時は少ならずショックだったけれど、あの団長のことだから何か考えがあったんだろう。


「…ところでライラさ、ラリマーと何かあった?」


いきなり投下された爆弾に飲んでいた水を盛大に吹き出す。

何かと言われればあの黒の森の事件だろう。

本来ならば恋人同士、またそういう関係性にあるものと行う行為。

あんな平然とやってのけるものではない。

だって知らなかったんだもん。

魔力が無くてお腹がすいてすいて、美味しそうな感じがして、意識も朦朧としていたし、ただ欲望に従って貪っただけで。

美味しかったです。


「お前何したの?」


「えっ、と、ま、魔力補給、かな…」


「緊急事態だったからそれは仕方なく無いか?それだけ?」


思わずレイルから目をそらす。

ここに来てメイドたちの噂を聞いて、あれがキスという行為だと知った。

そりゃあラリマーもいきなり見知らぬ女に、恋人まがいのことをされたら驚くし、嫌だろうな。


「その、手のひらとか、おでことか、じゃなくて、ね…」


「あ、え?まじか」


察して口元を隠したレイル。


「なんでレイルはそれが恋人同士ですることって知ってるの?私、知らなかったのに!」


「え、えぇ?むしろその歳で知らなかったのか…」


何を当たり前のことを、とでも言いたげなレイルに私の羞恥心が最高潮を迎えた。

照れ隠しで振りかぶった枕をレイルの顔面目掛けてぶん投げてやったのだった。


ラブシーンを書くことに慣れません。

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