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今度こそ帰還しました!

今回の話は短いので、今日は2話更新します!

「ね、ねぇちょっとラピス…」


「大丈夫、すごく可愛いから」


「でも、わたし…」


「あ、こうするのも可愛くなるね」


「へ!?や、それは…」


「よし!完璧!レイルに見せに行こう!!」


エルトリン王国の北の塔に位置するラピスラズリ姫の部屋。

その一室で行われているのは、ライラの令嬢化計画。

癖のある黒い髪を2つに分け、ゆるく編んで結った。

藍色の瞳に合う水色のシンプルなワンピースは、余計なことをせずにライラの元の良さを引き出している。


「ぅ、ううぅ…」


森の中、それも男の割合が多いところで育ったライラにとって、女の子らしい服装というものは初めてだった。

レイルとともに即戦力とされていたこともあって、動きやすい服を選ぶ傾向があり、スカートなど着たいとも思わなかった。

踝まで丈があるとは言え、恥ずかしいものは恥ずかしい。

髪の毛だって本当は短いままがよかったのに、仲間のお姉さんたちが絶対ダメだと切らしてくれなかっただけ。

あぁこんなことになるなんて…。


「兄さま!失礼しますね!」


バァンと淑女らしくない扉の開け方をして、部屋の前にいた衛兵たちが驚いている。

そして部屋の中にいたルベルス、ラリマー、レイルの3人も突然の音に視線を向けた。

レイルと目が合うとライラはハッと来たように顔を背け、レイルはその姿を呆然と眺める。


「これはこれは着飾ると随分と可愛らしいお嬢さんだったんだね。ところで、ラズこっちにおいで」


恥ずかしがっていることを察してか、ルベルスはライラに賛美の言葉を送ってから妹を呼び寄せた。

なんだろ?と思いながら疑いもせずに兄の横に行くと、ちょっと痛いくらいのデコピンが飛んでくる。


「いっ!?たぁい…」


「ラズ?たとえ北の塔からほとんど出なかったとはいえ、淑女らしくは大事だと何度も教わったよね?それとも、扉はああして開け放つように教師に教わったのかな?それならその教師はクビにしなくちゃいけないなぁ」


「ゔ、ごめんなさい」


ニコニコと怒る兄は怒らせると実はとても恐い人だった。

怒鳴るとか、叩くとか、そういうんじゃなくて、ネチネチとこちらが反省するまで許して貰えない。

されたら1番嫌な説教のタイプである。


「あー、うん、似合ってるよ」


扉の前で固まったままのライラを、先に硬直から解けたレイルが褒める。

しかし、キッと睨まれただけでライラはまた視線を逸らした。

驚いたあまり素直に出た感想だったのだろう。

不機嫌なライラに、こういう時になんと言っていいのかわからないレイルはポリポリと頭をかいた。

そういうレイルも貴族の青年のような格好をさせられている。

これまた様になっていて、ここ数日のお城の話題はほとんどが姫と姫が連れてきた2人でもちきりだった。


「あ、ライラ!その服は兄さまからのプレゼントだから、他にもあるからあとで見ようね」


「え。あ、ありがとうございます…」


「ライラ、妹の初めての友人として色々と頑張ってね」


「……はい」


少しだけ嫌そうに答えたのは気のせいだろうか?


しばらくは平和ターン

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