表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/144

誘拐されました。

お久しぶりの方も初めての方も、新連載よろしくお願い致します。

前回同様趣味全開ですので、ご了承くださいませ。

毎日更新をできるだけ心がけます(小声)


誤字脱字指摘、感想お待ちしてります!

ガタガタと床が揺れる。

体勢が悪くて息苦しいがそんなことはお構い無しだ。

ごめんなさい、兄さま。


「クソ!今日は森の調子が悪い!なんでこんなに霧が出てやがる!!」


男の叫び声にびくりと肩を震わせた。

目隠しをされていて私には耳から得られる情報しかない。

もうどれくらいこの馬車に乗せられているのだろう。

時間の感覚が狂うほど乱暴な扱いをされている。

同乗してる男たちはずっと殺気立っていて、口を開けば殴られるんじゃないかと恐くて何も言えない。


「おい、なんだあれ?」


ガタガタと揺れが激しくなったのは、彼らの口から森という言葉が増えてからだ。

恐らく通称『疑心の森』と呼ばれるミスティ大森林に入ったのだろう。

きっともう二度と兄さまたちには会えない。

こんなところまで来てしまっては、もう戻る術がない。


「クソ!クソ!クソ!ここまで来たって言うのによォ!」


「やっぱり遠回りでも森を迂回すればよかったんだ!」


「うるせぇ!さっさと金が欲しいから、この道にしたんだろうが!!」


「おい!喧嘩してる場合じゃねぇぞ!やべえ!!!」


男たちの会話が怒鳴り合いに変わったその時、下腹部がゾッとして、浮遊感に襲われる。

「ひっ」という情けない悲鳴が自分の口から漏れると、次に襲ってくるのは叩きつけられた衝撃。

腕を後ろ手に縛られているため、受け身も取れない。

そもそも目隠しをされているせいで、何が起こっているのかも分からない。


「ぅ、うぅ…」


背中から叩きつけられて呼吸が苦しい。

一緒に乗っていた物があちこちに降ってきて、膝とか頬とかも痛い。

泣きたい。


「あ、ホントだ〜!レイルの言うとおりだぁ!」


突然聞こえたのは先程の男たちとは似ても似つかない愛らしい男の子の声。


「よいっしょっと。お姉さんちょっと待ってね、今それ外してあげるね」


ゴトゴトと何かを退かすような音がしたかと思うと、手首に力が込められる。

小さくて暖かな手が手首を拘束していた布を取ってくれ、目隠しも外してくれた。

目の前に立っていたのは8歳くらいの男の子。

くすんだ金色の髪に紫の目。

愛らしい笑顔にリンゴほっぺの可愛い男の子。


「だんちょーがね、ここ通る馬車に乗ってるものを取ってこいって言ったの!それでね、レイルがねあそこにお姉さんがいるから助けてやれって!」


団長?れいる?

誰かは知らないけれど助けてくれた?

ひとまず自由になった体を起こし、横転していた馬車から滑り降りる。

辺りはやはり森の中だが、霧が深くてほとんど何も見えない。

木、3本分位までが見える。


「お姉さんこっちこっちー!」


男の子は私の手を掴んでグイグイと引っ張る。

こんな霧の中なのに迷いなく進む。

とりあえずどうしようもないのでこの子について行くしかない。

少し進むと人影が見えてきた。


「レイルー!ライラー!連れてきたよー!」


そこに居たのは私と変わらないくらいの男の子と女の子。

ちなみに私は今年で15歳になります。

さて、無表情のこの子たちは一体誰なのでしょう?


「シャンス、お疲れ様」


「混乱してるだろうけど、ひとまず俺たちと来てくれる?」


女の子がシャンスと呼びながら、私を助けてくれた男の子の頭を撫でた。

そして無表情の男の子が背を向けながらそう言う。

選択肢のない私は頷いて3人の後をついて行くことにした。


登場人物それぞれに由来を考えました。


レイルとライラには『夜』という意味があります。

シャンスには『運』という意味があります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ