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第一話 俺の彼女が浮気してる!?

こんにちは。はじめての投稿で緊張しておりますがどうぞよろしくお願いします。連載小説となりますので、是非とも続きを楽しみにして頂きたいです。

『ふぅ……』


俺は店の看板に隠れて一息つく。


今までにこれほど緊張したことはない。


国語の時間に一人で音読することなんか目じゃない。

えっ、そんなことじゃ緊張しないって!?


まあいい。とにかく、もうここまで来たら確定演出だ。

頭では「ストライクショット!」と流れている。


お願いだ。せめて俺が諦められるように、星6のスペックを持っていてくれ!


15分前


From 小森谷 桜良

To 竹林 亮太郎

件名 ごめん!! 2021年 5月6日 16:26


ごめん!今日も家の用事で先に帰っちゃったからもう帰ってていいよ!


『はぁ……』

今週で三回目だ。昨日は一緒に帰ったから大丈夫だと思ったのに。

今日も帰れないとは。


最近彼女との交わりが少ない。困ったことだ。彼女とはクラスが違うので登校時と放課後ぐらいしか話す機会もない。

だから以前『昼休みに弁当を一緒に食べたい』といったら断られてしまった。昼休みはクラスの友達と居るのがお決まりらしい。


『今日も一人か』

俺は小中学校時代、女子とは無縁の生活を送ってきた。


その理由は単純明快。女子が俺のことを超絶に嫌っていたからである。席替えで俺の隣になった女子で舌打ちしなかった女子はいない。どんなに温厚篤実な女子でさえ、陰で泣いていたと聞いている。


誰から聞いたかって? 今の話で俺をぼっちだと確信した奴は不正解。喜ばしいことに男友達はいた。こんなに女子に嫌われているのに男友達がいるとは!理由は複雑怪奇で俺にも分からない。

因みに200人中一人だけだったけど……


だから、高校デビューして女友達よりも先に彼女ができた時は驚いた。しかも自分から告白したわけでもない。されたんだ!この僕が!

最初は何か裏があるんじゃないかって疑ったりしたが、さすがに2,3ヵ月も一緒にいてなにもないからただ俺の勘繰りが深かっただけにすぎない。と思う

しかしこの喜びも今終わりに向かっている気がする。


俺が童貞で女の子なんて知らないから呆れられて捨てられるのかもしれない。いや大丈夫。俺は告られた身だ。人からハブられることはあっても、彼女からはフラれないぞ!いやでも最近彼女そっけないんだよなー。でもな好きって言われたしなー。なんて思考を巡らせすぎてモヤモヤしてきたので、俺はこの気分を晴らすために、寄り道して帰ることにした。

俺が向かうは学校の近くにある通称スイーツ通りだ。多くのスイーツ店があり、種類もケーキやクレープからタピオカなどの最新の物まで多種多様。


そして目指すはそんなスイーツ通りのど真ん中にある老舗のたこ焼きや「タコべぇ」だ。俺は気分が晴れない時には必ずここに行く。あつあつほかほかの生地の中から出てくる程よく混ざったキャベツと紅しょうがとねぎ。勿論天かすも入っている。その数々の壁の中から出てくるメインのタコ。そのタコを発掘すると俺の鬱積した気持ちも晴れる。つまりたこ焼きに例えると、俺のキャベツと紅しょうがをタコという太陽が照らしてくれるのだ。


しかし、このタコべぇの人気女は子からは低い。なんせほんわかしたクリーミー系の中に佇むたこ焼き屋だ。俺はギャップがあって素敵だと思うのだが、一部の女子からは"ダサい"だの"早く潰れろ"だの言われている。

『潰れることになったら、俺が技を教えてもらってもう一度開業させよう』という生半可な決心をしながら足早に目的地へ向かう。


数多くのスイーツ店を通りすぎあとタコべぇまで4店舗程となった時、クレープ店の看板の前に見覚えのある後ろ姿を見かけた。


俺は途端に隠れてしまっていた。理由は分からない。ただただ巣の作り方も教わりもしない蜘蛛が独りでに巣を作り出すかの様に本能的に動いていた。


『あれ、桜良だよな。』


何故桜良がここいにるんだ?家の用事で帰ったと言っていたのに……

するとその時、店の中から一人の男が出てきた。細身の長身の男だ。彼女はその男に連れられ店に入る。


俺は確信した。


これはあれだ。


浮気というやつだ。


『はぁ…』


せっかく出来た彼女だったのに。

もう未来永劫現れないかもしれない、俺のことを好きだといってくれる人だったのに。


俺は悲しみに暮れながらも、俺はどんな男に敗北したのかが知りたいという恐怖心に負けて、クレープ店の看板前まで来てしまった。


そこから店内を覗く。すると彼女はいた。様式のテーブル席に腰かけて座っている。彼女は俺からは見えない位置にいる人に笑顔で話しかけていた。


『はぁ…』


よく見えなかったが、俺や彼女の友達の前で向ける笑顔とは異なる特別な笑顔に感じられた。


俺は急に胸がいたくなった。

自分は彼女にとって特別な存在だったと思っていて、俺も彼女のことをそう思っていたが、それは俺の単なる勘違いだったんだ。


これまで彼女にしてきた事はただの自己満足でしか無かったんだ。

そんな関係は続けててもうまくいく筈がない。曖昧な関係を保ったままだと、きっとどこかで、どちらかに嫌気がさしてきて、お互いに不快感や気まずさを感じて分かれるだろう。


でも、こう考えているのも俺のエゴだ。本当は自分が傷付くのが嫌で、それから逃げたいだけなんだ。


俺は明日彼女と別れ話をしようと決心して看板の前から立ち去ろうとした時、彼女と相席していた人が席から立つのが見えた。


『は?』


なんと彼女と相席していたのはまさかの女子だった。長い黒髪に艶のある肌、はっきりした目鼻立ちとすらりとしたスタイル。まさに俺の期待通りスペックは星6。そしてあの女子の名前を彼女以外の女子とほとんど関わりの無い俺でさえ知っている。


二年C組 鷹野原 楓。持ち前の美貌に加え、分け隔てなく誰にでも接する彼女は、間違いなく学校一の美少女であり人気者だ。

無論、誰にでもというのは俺ら陰キャにでも適応だ。その為自分の事が好きだと勘違いしてフラれた陰キャも決して少なくはない。


いやでもとりあえずよかったわー。本当に浮気されてるかと思って数多くのこっぱずかしい思考を巡らせちゃったよ。まあ、全然気にして無いんだけどね。それでも一体全体何故俺の彼女と鷹野原楓が一緒に仲良くキャピキャピスイーツを食べているんだ?学校一の人気者と放課後にスイーツを食べる仲なのに、何故俺に何も言ってこなかったのだろう。普通の女子ならヒエラルキーのトップに君臨する者とお近づきになる事は千載一遇の機会なわけで、それを彼氏やら友達やらに自慢したい生き物だろう?では、何故言わなかったのだろうか?


もしかしてその家の用事というものは本当で、実は彼女と鷹野原は生き別れの姉妹なのからいう必要もなかったのかもしれない。


今これを自分で考えて我ながら引いている。でも一体なんだったんだろう。そして俺はもう一度店内をみるとそこには光で反射して少しばかり赤面した自分の顔が写っていた。



なんとグッドなモーニングだ。俺は今、彼女と一緒に登校中である。

『今日の朝は何食べた?』桜良が俺に聞く。



『パンと牛乳だよ。これだけは毎日日課で食べてるんだ。中学校からいっときも変わってないことに俺は誇りを持っているんだ。』



『毎朝同じだと飽きないの?』彼女が心配そうに聞く。



『飽きない飽きない。俺はパンに選ばれた男だからな。俺は朝パンだけを信じてる。』


『じゃあ、修学旅行のときとかもパンで乗りきったんだ。』



『あ、それはノーカウントで……』



『フフフッ、駄目じゃん。それと私はごはんだけを信じてるから。

パンばかり食べてるといざとなった時の大和撫子パワーがでないぞ!』


『なんだよそれ。』


なんて変哲もない会話をしながら同じ道を歩く。見てる景色は違うかもしれないけど、きっと目に写るものを消極的じゃなくて積極的に見ている点では同じだと思う。


そういえば昨日は一体なんだったのだろうか。家の用事で先に帰ると嘘をつく理由が何処にあったのだろうか。

でもここで尋ねたら昨日彼女のことストーカーしてましたみたいな感じで気もちわるく思われても嫌だからやめとこうとも思ったが、俺の四分の好奇心が勝ってしまい聞くことにした。


『そういえば昨日俺桜良を偶然見かけたんだけど。』



『えっ、どこで?』とても驚いた様子で聞き返す。



『いや、帰りにタコべぇ寄ろうと思ってさ。そこに向かってたら偶然桜良見かけてさ。』



『ほんとに?』今度は真剣な様子で聞き返される。



『ああ、てか、桜良、鷹野原楓と仲良かったんだな。友達と一緒に甘いもの食べるくらい別に一人で帰る理由にしていいからな。』



『ごめん!私、桜良が好きなの』



『うん。仲が良いのは素晴らしいことですよ。』



『でも、亮くんの事も好きだから、ごめんなさい!浮気してしまって。』



『謝んなくていいんだよ。女の子との浮気なんて気にしないから。』



『あら、聞き捨てならないわね。』

突然見知らぬ声がして、後ろを振り向く。

なんとそこには鷹野原楓がいた。


『話を聞いてれば、まさかあんなみたいなどんくさそうな男と桜良が付き合っていたとわね。いい?桜良は私のもの。あなたの彼女じゃない。 私とパートナーなの。手を出さないで頂戴!』



『いや、おかしいだろ。俺と桜良との関係はお前と桜の関係とは違うんだからな。』



『違わないわ。』



『いいえ、違うね』



『いいえ、違わない。私と桜良は恋人同士よ。』



『お前躍起になって変なこと口走ってるぞ?』

俺が嘲笑しながらいうと、桜良が口を挟む。



『二人ともごめん。私二人の事が恋愛的感情で好きなんだ。』



『はっ!?』


俺はこの時全く理解できなかった。鷹野原の言動を。桜良の言葉を。

そして、これから先に起こることを。

読んでいただきありがとうございます。次回は料理対決です!

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