異世界転移の錬金生活404 農業は楽しい
退職後に田舎で農業を始めた感じのおっさんである。
実際は、退人生後に異世界の新拠点ヨシオで農業を始めた。
いちいち異様な字面であるが、気にしたら負けである。
土いじりは純粋に楽しい。
農機具がいいため、開墾や開拓がどんどん進む。
石や木の根っこをどけたり、土を平らにならしたり。
土の組成に関しては、サクヤさんが相変わらずなんかしている。
そこへカグヤさんがどんどん植えていく。
勘違いでなければ、木の根っこが自分から土にヌッと入っていく。
植物がアクティブに動くさまは異様だが、これも慣れである。
種を植えるパターンの場合は、人類と同じなので安心だ。
仕上げとして、セオリツさんが癒しの真水を辺りに撒く。
明らかに撒かれた対象の植物は、光り輝いている。
身体にいい感じを全力でアピールしている。
最後のフォローや調整なんかには、セオリツさん最強である。
泥川の沼地から水を引いてきて水路にした。
これも農機具を整備したおかげで、やっと実現した。
これがうまくいかないと、水田など夢になってしまう。
泥川には不純物も含まれておらず、地味豊かでキレイなんだそうだ。
セオリツさんはこういう点でも高性能である。
トイレはボットン形式だが、これを肥やしにするために森に運ぶ。
自然に落ち葉なんかと絡んで発酵し、いい感じの肥やしになる。
臭いけど植物にはいい肥料になるので、サクヤさんが運んでなんかしている。
土の組成をいじれるので、この辺は何でもありだろう。
ざっと書いたが、理解できたであろうか。
おっさんは農業は大変なイメージがあったのに。
物理的に土を掘り返したり、畔をつくったり水路を作ったりはした。
でもそれ以外は、謎のパワーでどうにかなってしまう。
肉体労働も、ククリさん始めおっさんなんかより怪力ぞろいだ。
エ・グリゴリはとても優秀な人たちである。
秘密結社だなんて、経営や資金はどうしてるんだろう。
生活力もなさそうだし、と思っていたのだが。
なんとなく、今までどうしてきたのか、おっさんは悟った。
そうこうしているうちに、開墾や開拓も一段落した。
落成式のような感じで、空間を例によって四角く括った。
ククリさんのお祓いですべて終了である。
みんなでなんとなく手を合わせて頭を下げて、神様に祈った。
宇宙人もこういう時は、なんか祈ったりするのである。
このあとは当然宴会である。
おっさんとカグヤさん、セオリツさんで料理をして、みんなにふるまった。
ククリさんとサクヤさんは食べる専門である。
よだれを垂らしてウロウロしている。
おっさんは、酒のアテになる濃い味の料理を主に担当した。
カグヤさんとセオリツさんは、繊細であっさり味の料理を作った。
女性向けのおしゃれな店に出てきそうなヤツである。
おっさんは、カボチャとか生野菜とかはどうも好きになれない。
身体にいいことは、わかっているんだけどね。
酒を飲む人はおっさんの料理に群がり、それ以外の人は上品にカグヤさんたちの料理を食べている。
楽しかった。
女性とデートしている感じはないけど。
グレゴリが大変うらやましくなった。
まあ今共同生活しているのは、自分の方なんだけどな。
一段落してしばらく後に、グレゴリが新拠点ヨシオに訪ねてきた。
娼館へいって料理が出てこなくなる、味が変わる等があると、こっちに来る。
グレゴリは娼館ではなく自分の料理を目当てにしているのでは、と思う。
グレゴリは今、自分やカグヤさんの料理をむさぼるように食っている。
まあ、ミカエル君たちも時々娼館に行っているらしいんだけどね。
最近会わないので、消息が分からない。
神様間のいざこざはともかく、自分は我が道を行くのみである。
つまりたまってきたら娼館へ行って料理を卸し、どるぎにポーションを納入する。
もっと頻度をあげろって。
皆さんは、飛行用拘束具がどんなに厳しいか、わかっていないのだ。
ピクシーちゃんも不満そうに自分を見るのだ。
飛びながら自分の口を抑えて、戻しているのを止めようとする。
これをされるとかえってダメなのは、みんな理解できるよな。
ちくしょう。
自分がパイロット適正値Aランクでさえあれば。
車酔いしないタイプでさえあれば。
ガン〇ムはムリでも、パト〇イバーぐらいは可能だったかもしれん。
あれもひどい居住性能だったよな。
農業が本格始動し、ますます自分のスケジューリングが重要になった。
貧乏暇なしとはよくいったものだ。
農業は忙しいし農作物は輸送が必要だし。
時々はピクシーちゃん輸送で、本ワサビの群生地も面倒が見たい。
暇があれば、竹細工や漆工芸も変わらず取り組み続けている。
ロートル町には料理、ポーションの納入、ダンザおやじの相手もある。
そうそう、ウズラさんの卵の回収も大変重要である。
竹林はロートル町の南へ二日の場所しか、自分は知らない。
ワカ町には、病院施設のおっさんにポーションの納入、日用品等の手配もある。
もちろんミカエル君たちや母親のマリアさんとの関係もあるしね。
上記を見ればわかる。
自分は吐き気に苦しんで動かずにいる余裕はない。
気がつくと娼館に金品を吐き出しているが、金の使い方は本当にこれでいいのか。
輸送班のような組織体を運営して、身体の負担を減らしていく必要がある。
そうするだけで、大分ピクシーちゃん輸送に苦労せずに済むのではないか。
でもな、ピクシーちゃんは飛びたがっているのよ。
嫌がっているのはおっさんだけなのよ。




