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異世界転移の錬金生活326 ピクシーちゃん戻る

 おっさんはピクシーちゃんの喜びそうなものを考えている。

結局一番得意なものを作るのが無難だな。

竹細工なんかを駆使して、新たなピクシーちゃん用の巣箱を作る。

まあ、人間の子供がスポッと収まるサイズなので、相当大きくなる。


 カグヤさんに相談しながら、まず枠組みを決めた。

そこを竹細工でチクチクと細かく埋めていく感じで作業した。

居心地がよくないと、クマの住処に軽く負けてしまう。

そういう意味で竹のささくれ立ち等には、相当気を遣った。


 あとは竹の色調をきれいにそろえた。

きれいでおしゃれな感じを目指したい。

あれこれ考えて組んでいると、相当時間がかかる。

こんなに真剣に竹細工をやったのは初めてである。


 腰を据える部分がこうしてやっと完成した。

竹を使ったことで自然にフワフワした感触でたわむ。

おっさんも腰が痛いときとかに、よさそうな感じである。

自分用にも作ろうとひそかに決心した。


 ピクシーちゃんがやってるみたいに、これに綿っぽいもので表面を覆う。

これをつる草等で固定していく。

そのあと、カグヤさんの提案で、竹を柱にして縦横組みあげ周囲を覆う。

軽いがプライバシーもある絶妙な感じに仕上がった。

しかし出来上がってみると、さすがに持ち運びは困難である。


 あとはみんなでこれを運搬しクマの住処の隣に設置した。

クマの住処に合せて、草花を植えたり小枝や綿のようなものを敷き詰めた。

最後は、木の屋根材をこれは適当に葺いて完成となった。

おお、豪華だ。

とても野生生物の巣箱には見えない。

子供が作るちょっとした秘密基地感はある。


 おっさんは昔懐かしい例の儀式を復活した。

四方に柱を立て、つる草でそれをつないで結界とした。

ククリさんがつる草を束ねたもので、ばさっばさっとお祓いをした。

グレゴリーズもクマ親子やミツバチさんも、意外と真剣な面持ちで参加した。

空間系のククリさんは、こういうものは意外と大事といっていた。


 出来たはいいが、心配なことがある。

あくまで、この新たな巣箱はピクシーちゃん専用である。

別の何かをティムしてしまっては困るのだ。

このサイズの別の何かが、危険な魔物でないなんてありえない。


 ピクシーちゃんが帰還するまで、一部潰しておく必要がある。

あえて未完成状態にしておくのだ。

悩んだあげく、入り口を設けないという作戦にした。

入り口は帰還後にピクシーちゃん自身に開けてもらおう。

開封を自分でしたら、さすがに自分の専用巣箱感が出るだろう。


 ここからは後日談である。

ピクシーちゃんは戻ってくるなり、ここへ来て巣箱を発見する。

ピクシーちゃんは巣箱にパニックになる。

自分以外の存在をここでまたティムしたのではないか、と勘違いした。


 おっさんを呼びに来てピヨピヨ騒ぎ、飛行用拘束具を着けようとする。

この辺りでおっさんも流石に気づき、クマの住処へ向かう。

当然ピクシーちゃんは怒って追いかけてくる。

このティムした存在と全面対決も辞さない、私はもう迷わない。

こういう感覚がビンビン後方から伝わってきた。


 おっさんは勘違いしたピクシーちゃんに必死で説得する。

そのうちにグレゴリーズも来て、一緒に説明をしてくれる。

ピクシーちゃんは新たにティムした存在はいないと知って、勘違いに気づく。

勘違いに気づいた瞬間、おっさんにギューと抱き着いてきた。

浮気を疑われたダンナ感が非常に漂った。


 いや、愛しい娘。

かけがえのない愛。

一番近い相棒で同志。

家族に対する無私の感情。

そんないかがわしいものなど二人の間にはない。


 そこからは、新たな儀式が始まった。

この巣箱をピクシーちゃん専用とする儀式の始まりである。

ククリさんがつる草を束ねたもので、ばさっばさっとお祓いをした。

ピクシーちゃんが、自分の火の魔法で入り口を開封する。

丸ーく切り抜かれたそれが、巣箱の入り口となった。


 ピクシーちゃんは嬉しそうに巣箱の中に入っていった。

座り心地がよかったようで、さらに笑顔になった。

おっさんはこのサプライズはとりあえず成功したと悟った。

途中までは相当、失敗フラグが立っていた気がするけど。


 その後、ピクシーちゃんの新たな巣箱は、グレゴリーズにさらに整備された。

使いやすくすると同時に、セオリツさんの謎織物で全体に軽く豪華に。

頑張れば持ち運びもギリギリできそうな感じだ。

前も思ったが、セオリツさんはこういうフォロー的な作業が得意だ。


 多分ピクシーちゃんの新たな巣箱は、また結構なブツになった。

単なる竹細工の集合体ではないものに変化していると思う。

燃えると困りますもんね、とセオリツさんに小声でいわれた。

ピクシーちゃんの周辺ブツはどいつもこいつもこんな感じである。


 おっさんはカグヤさんに免許皆伝だといわれた。

この作品は及第点です。さらに精進しなさい。

竹細工は基本がつる草加工によく似ていたからできたのだ。

どうも、カグヤさんは自分に甘い気がしてならない。


 ああ、ただ勘違いしないでくれ。

ピクシーちゃんが飛行用拘束具をおっさんに着けたいことに変わりはない。

なぜなら、ピクシーちゃんはある目標に達したからだ。

残してきたグレゴリのもとに、自分を連れていきたいからだ。


 この事件が終わった後すぐに、自分はピクシーちゃんとある場所に飛んだ。

もちろん、ほとんど意識がなかったし、戻しながら飛んだよ。

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