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異世界転移の錬金生活322 ピクシーちゃんが旅に出る

 ピクシーちゃんは、翌日になってまたどこかいった。

グレゴリと自分は食事をとり、出立の準備をした。

二日目の始まりである。


 ピクシーちゃんが戻ってきたので、また二人と一匹で台車を押した。

絵面としては地味だが、以前はこんな便利な道具もなかった。

拠点を築くだけで一週間がかかっていた。

一日ごとの宿泊所は、屋根張って、寝るためだけの施設だった。


 何よりこういう頼れる相棒のような存在がいなかった。

何でも孤独に頑張らないと、前に進むことができない。

今は誰かが頑張れなくても、フォローして前には進める。

この差は結構でかいのだ。


 というか、おっさんはすでにバテ気味である。

久しぶりの山歩きは、結構厳しかった。

運動不足だったのがバレてしまう。

足腰はともかく、台車を押す腕が筋肉痛だ。


 何度も言うがピクシーちゃんは強い。

辛そうなおっさんをフォローしてサクサク進める。

グレゴリはなんとなく察している様子である。

コイツ、バテたな早くも。


 おっさんは正直、何日も山歩きをするつもりでいた。

冬洞窟攻略のために頑張ったころと同じ感じだ。

そのために準備もして台車に満載している。

あれ、やっぱりなまってんな。


 そうだよな。

あのころまでは、周囲にそもそも誰もいなかった。

グレゴリやミカエル君とちょっと話すぐらい。

今じゃ自分の周囲に人や動物がいっぱいいる。

頼んだり、お願いしたら、何とかしてくれる関係だ。


 贅沢なありがたい状態になっている。

孤独な新拠点ヨシオを今となっては懐かしく思い出すわけだ。

しかし、こうやって山歩きに改めて取り組むと、イヤでも思い知る。

もう、おっさんはあんなものには耐えられそうにない。

あの孤独な状態こそがおっさんの原点だけどね。


 慣れというのはおそろしい。

これからも以前できたことが、どんどんできなくなっていくだろう。

おっさんは若くないから、余計骨身に染みる。

だからこそ、なにものかになる必要はない。

ありのままの自分が素晴らしい。

そのままで勝負していくのだ。


 ピクシーちゃんは相変わらずニコニコしている。

この子も揺らがない強固な自分を持った子だ。

相変わらず、食事時にはどこかへ行ってしまうしな。

何を食しているのか、ぜんぜん見せようとはしない。


 野生生物はたいてい、食事と排泄は誰もいないところで孤独にやる。

こういういい方をすべきかはわからない。

ピクシーちゃんは野性味を失ってはいない。

町に住むおっさんとは、やはり住む世界が違うということだ。


 エヴァを探すというお題はまだ続行中である。

自分の中では、ピクシーちゃんがいいのかな、という気分がある。

でも、この辺りでお互いに理解しあえない部分がある。

そもそも、意思の疎通は相変わらずできていないしな。


 ああ、おっさんはキモチワルイだろ。

変な妄想をしている自覚はある。

でも、恋愛っていうのは、こういう妄想や勘違いが実を結んでいくものだろ。

頭で考えて冷静になってばかりだと、恋愛などできない。

結局、勢いが大事だとおっさんは思うのだ。


 まあ、おっさんの妄想はともかく、二日目も無事暮れていった。

この森はほんとに外敵の類が出ないな。

いつものように、帰ってきたピクシーちゃんを抱いて寝た。

やっぱり嫌がりもせず、ピヨピヨないて嬉しそうだった。


 癒される。こういう感覚は大事だと思う。

そのまま、気持ちよく眠った。

筋肉痛が明日には直っているといいな。


 ピクシーちゃんは、翌日になってまたどこかいった。

グレゴリと自分は食事をとり、出立の準備をした。

三日目の始まりである。


 ピクシーちゃんが戻ってきた。

おっさんは足腰がいよいよ痛くなってきた。

腕の筋肉痛が治った代わりだ。

とうとう、ギブアップを宣言せざるを得なかった。


 だらしない。そう思っただろ。

自分もそう思ったさ。

でもさ、ピクシーちゃんがいうんだ。

心配だから例の飛行用拘束具でおっさんだけでも戻そうって。


 結局おっさんは、ピクシーちゃんに飛行用拘束具をつけられた。

そのまま、新拠点ヨシオに飛び立ったと思う。

新拠点ヨシオに着いたら、おっさんを降ろしたと思う。

そしてそのまま、ピクシーちゃんはグレゴリのもとに戻った。

思うというのは、気がつくと自分が新拠点ヨシオで寝ていたからだ。


 みなに介抱されて、うれしいような恥ずかしいような。

何せ皆さん宇宙人なので、足腰の疲労なんて速攻で直せる。

ちなみにピクシーちゃんは、グレゴリと旅を続けている。

おっさんだけが、何しに行ったの、という状態で寝ている。


 あれ、こういう話でしたか。

ピクシーちゃんとの森の散歩デートだったはずじゃ。

いつの間にか、グレゴリとになっている。

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