表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/179

異世界転移の錬金生活321 ピクシーちゃんと旅に出る

 最近引きこもって一人作業することが多い。

まあ、竹細工にせよ漆工芸にせよ。

カグヤさんとちょっとやり取りがあるぐらい。

褒めてもらえるのでうれしいけどね。


 ピクシーちゃんが焦れてきた。

例の飛行用拘束具で遊びたい。

ロートル町以外のとこにも行きたい。

ミツバチさんはあくまで遠距離飛行には向かない。


 考えてみると自分は生活圏以外のところへは全く行かない。

冒険とか行商とか、他の町を探すとか。

折角異世界に来ているのに、もったいないといえる。

遊んでいない、という状態ではある。


 ただ飛行用拘束具はいかん。

身を切る覚悟で旅行するのは違う。

ある程度攻略して遠方まで来てしまって、戻るのが厳しいとなったら使おう。

それまではピクシーちゃんには悪いが、てくてく歩きである。


 グレゴリがたまたまこっちに来ていたため相談した。

自分も暇だから付き合ってもよい。

なにか思い出したことがあれば聞きたいしな。

あくまでまじめな男である。


 ピクシーちゃんは例の拘束具を出さないのでちょっと不満そうだった。

しかし、グレゴリと二人で出かけると知ると機嫌を直した。

ニコニコ笑って、てくてくと一緒についてくる。

かわいい、天使だ。


 ちょっと話し合って方向性を決めた。

とりあえず、冬洞窟拠点方面へ行ってみて、そこから東側に行ってみよう。

何もないなら、それでよい。

しかし森を抜けられるとか、その先に別の町がある可能性はある。


 ピクシーちゃんも別に異存はなさそうである。

上空からいろいろ見ているピクシーちゃんが一番くわしいかもしれない。

でも前もいったが、あんまり町は好きじゃないようだ。

遠出して宿泊キャンプのようなことをして帰るだけ、となる可能性はある。


 まあ、いいよ。

結局ピクシーちゃんのどっか行って遊びたいという気分から始まっている。

今嬉しそうに歩いているんだから、これでいいのだ。

おっさんは逆に以前の過酷な山歩きをこれからするわけで、頑張らないと。

ああ、これを機会にキャンプ用品を真剣に考えるのもいいかも。


 そうだ。よく考えるとずっとできていないものがある。

キャンプ等に使える簡易的なイスとテーブルだ。

この辺は当初からの問題で、いまだに対応していない。

屋内用のイスとテーブルは、ワカ町でいくらでも手配できる。


 荷物を満載した例の台車を、二人と一匹でゴロゴロ押しながら森を行く。

まあ、休憩中にこれに腰掛けることはできる。

ゆっくり休んだ気がしない、というだけである。

以前は沼地のぬかるみに半日立っていたことがある。

この時のことを思えば、何でも耐えられるというものだ。


 ただ森の中で台車を引っ張るのは結構大変だった。

問題はピクシーちゃんである。

余裕をもって押しているし、むしろ非力なこちらに合せてくれている。

強い、彼女だけでも問題なく運べる可能性がある。


 まあ、イッチニー、イッチニーと掛け声をかけて押し続ける。

グレゴリもなんか現地語で合わせて掛け声を出している。

それに合わせてピィヨ、ピィヨと声を出して嬉しそうである。

まあ楽しそうだからこれでいいのだろう。


 昼になると、ピクシーちゃんはどこかへ行った。

グレゴリと二人で食事の支度をして、黙って食った。

最近何しているかとか、前世の話とかを適当にした。

そのうちにピクシーちゃんが戻ってきた。


 また、移動を開始する。

その日は結局何事もなく、ピクシーちゃんに教わって野営しやすい場所に出た。

そこで、グレゴリと二人で例のバンガローを建設した。

ピクシーちゃんはまたどこかへ行ったからね。


 当たり前だが、風呂はなし。

持ち込んだ土器を設置して、水を溜められるようにした。

そのあと、かまどで調理してあったかいものを食った。

野趣あふれる雰囲気のおかげでうまかった。

グレゴリもむさぼるように食っていたし満足げだった。


 その日は帰ってきたピクシーちゃんを久しぶりに抱いて寝た。

ピヨピヨないて嬉しそうだったので、よかったよかった。

カレー臭がするおっさんを嫌がらないのは、ピクシーちゃんだけだろう。

グレゴリーズは結構ひどいんだ。


 清澄な気で満ちている場所だからこそ、おっさんは穢れらしい。

自分の寝室は油断すると臭くなるそうである。

気をつけなさいといわれても、いかんともしがたい。

グレゴリも浄化が必要なときがあるとか、いやコイツえらい神様じゃないの。


 女性と一緒にいると、こういう不自由さはある。

ただ、新拠点ヨシオは今すごく女性らしい感じになっている。

鉢植えの植物がどこにでもある空間だし、外に出れば結構広大な畑がある。

以前はポーション用の薬草やキノコをちょっと育てていただけだったが。


 そうそう、香木というんだったか、室内ではいい匂いのする木を燃やしている。

デトックス効果で空間が浄化されるそうである。

ただ、おっさんにはきれいになりすぎてしまった。

他人ひとの家に来たみたいな感じがする。


 妙な気分になってきたので眠ることにした。

そういえば悪夢をよく見ていたな。

あれも今思うと眠れてなかったんだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ