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異世界転移の錬金生活316 ピクシーちゃん強化される

 その三日後、何事もなかったようにみんな戻ってきた。

いや、セオリツさんのある成果ブツを携えて。

正直、ブツとしかいいようがない。

見た目の問題は、まあいいとしよう。


 天使よりもかわいい服というオーダーは満たされた。

ピクシーちゃんも一目で気に入ったぐらいだ。

問題はその性能である。

ひどい、ひどすぎるの一言である。


 勇者の鎧的なアイテムがあるよな。

どういう加減か、なぜか防御力が上がって怪我しなくなる。

本来人間の皮膚なんて固くなっても限界があるのに。

一言でいうと、この服もそんな感じである。


 確かに、ピクシーちゃんが火の魔法を使ったり激しく動いたりするたびに、燃えたり破れたりしては困る。

丈夫な布が必要なのはわかる。

しかし、現実には丈夫といっても限度がある。

耐火服にしても同じで、絶対燃えないなんて夢物語であろう。

しかし、当方には織物のエキスパートがいる。

しかも、妙なスイッチを押したどこかの阿呆のため、普段の自重を捨てている。


 いかんブツが仕上がった。

現世はおろか前世においてもいかんブツが、目の前にある。

天羽衣(極安全服仕様)とでもいうべき、危険なブツだ。

安全といったって、前世のようにただ鉄板を仕込んだ程度じゃない。

名称からわかる通り、実は宇宙空間においても問題ないそうだ。

いや、だからこそ問題しかない。


 セオリツさんのツヤツヤした顔色にすべてが物語られている。

この人は当初やや内気な人っぽかったのに。

ああ、わかったぞ。

エ・グリゴリという組織は、こういうオタクを集めてるんだな。

得意なことや好きなことしか、やりたくない。

他のことには一切の関心がない。


 自分はずいぶん前から心がけていることがある。

何があろうが、流れに身を任せる。

いかんブツだが、現状で必要なのだから受け入れる。

ピクシーちゃんが喜んで着ているんだから、それでいい。

実はこの服には、ピクシーちゃんの成長に合わせて成長する機能もあるそうだ。

最早何もいうまいと、自分は現実逃避をした。


 ただピクシーちゃんをどうしたいんだ、という話である。

この天羽衣のおかげで、現況最強ピクシードラゴンである。

まあどうみても怪我しない。

捨て身の攻撃をしても、服のおかげで無傷。

既に強い子なのに、この上に行ってしまった。


 服を着たピクシーちゃんは、とてもかわいい。

その状態でスリスリしてくるようになった。

人間の子供の顔なので、ニコニコしているとすぐわかる。

うーむ、そうとう美人でかわいい子だった。

髪の毛はグレゴリと同じ赤毛だ。


 ちなみに羽根はどうも皮膚の中に収納されているらしい。

必要な時は開いて飛ぶ感じで、まさにピクシーっぽい。

その辺もこの服は考えられていてそうとうすごい。

正直ドラゴン要素は、ここしか残っていない。

ちなみに人間形なので今まであったしっぽがない。


 ちなみに、月に還る手配をされたカグヤさんだが、戻ってきた。

自分の拠点であれだけ派手にやったので、目立たぬように戻る意味をなくした。

みんなで戻ったのは、そのまま上に報告する必要があったせいだ。

自分が想像した以上に、あの妙なスイッチは重大事だった。

しかしグレゴリーズは、珍しくよくやったと自分をほめてくれた。


 カグヤさんは、こっちで本気で農業を始めたいようだ。

あと、漆の木を植えて育てたい、漆工芸を本気で始めたい。

どうも、この異世界はいろいろ要素が足りないようだ。

種をどの程度持ち込んでいいか、いま悩んでいるようだ。

小麦粉はすでにあるが、コメは見当たらないらしい。


 自分は完全に今世の竹取の翁に認定されている。

竹細工はしたことがないと正直に話した。

しかし、つる草の袋や網をみて問題ないといっていた。

自分ならすぐに竹細工ぐらいいけると思っている。


 カグヤさんがなんかやってるなと思ったら、弓ができていた。

所謂和弓というヤツである。

これにセオリツさんが弦を張っていた。

まあ、とんでもない豪弓が出来たのはいうまでもない。


 ピクシーちゃんがこれで遊んでいる。

ピクシーちゃんは本当にキューピッドなのかもしれない。

しかし、心臓を射抜かれると恋に落ちるみたいな効果は一切ない。


 ただピクシーちゃんをどうしたいんだ、という話である。

この豪弓のおかげで、現況最強ピクシードラゴンである。

矢は火の魔法で準備しているので無尽蔵である。

これで心臓を射抜かれると確実に死ぬ。

既に強い子なのに、この上に行ってしまった。


 おっさんは、新拠点ヨシオをもう一段グレードアップさせたい。

もはや、完全にエ・グリゴリの前線基地なのだ。

みんなの住む場所も手狭だし、いろいろ研究もしたい様子だ。

天浮舟は、そういう意味でもすごい施設なんだそうだ。

今から思えば、ロートル町に結構石材を売ったのがもったいない。

どうするべきか、非常に悩ましい。


 そうそう、グレゴリだが、定期的に行ったり来たりしている。

自分も定期的に行ったり来たりして、娼館通いを続けている。

料理を止めるな、と無茶な要求をされている。

あと、カグヤさんをなんとか月に帰還させたい、といわれた。

他のグレゴリーズもいろいろ担当領分があるんだそうだ。

おっさんの手に余る話ばかりだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おっさんが一人彷徨っていた頃が嘘のよう。 あれよあれよと言う間に各々のキャラクターが物語を進めていて、どんどん話が広がって行きますね!!
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