異世界転移の錬金生活315 ピクシーちゃんの問題
こりゃ新拠点に戻ってみんなに相談しよう。
天使で思い出したが、よくある天使っぽいひらひらした服はどうだろう。
あれぐらいなら、ちゃんとしつければ着てくれるのではないか。
着てはくれるけど、すぐ燃えちゃった、とかだとより困るが。
結局、ピクシーちゃんの導きで自分は無事新拠点に戻れた。
実は最近、グレゴリーズも一緒にピクシーちゃんを探してくれていた。
まあ、見つからない日々を過ごしていたんだけどね。
宇宙人といっても何でもできるわけじゃないと学んだ。
そういうわけで今、グレゴリーズは出払っていて誰もいない。
ピクシーちゃんと二人きりだ。
よく考えればこれは久しぶりの感覚である。
そのうえ、ピクシーちゃんは裸んぼだ。
自分にスリスリしてくる感じも今までと同じだ。
違うのは、ピクシーちゃんは人間の子供の姿だ。
健全な状態である。
困った。非常に困った。
ピクシーちゃんに今までとは違うことを理解させるのが難しい。
同じ感じになったんだから、よりスリスリしてもいい。
ピクシーちゃんがこう理解しているとしたら、非常にマズイ。
同じ感じになったんだから、より距離感が大事、具体的には離れようね。
こう理解しなおしてもらうのは、自分にはできそうにない。
誰かー、戻ってきてくれー。
具体的にはサクヤさんじゃないグレゴリーズのだれか。
できれば、おとなしい感じのセオリツさんがいい。
彼女は動物とも仲良くなれるタイプだし、意思疎通ができないか。
ピクシーちゃんの服とかを快く作ってくれまいか。
しかしこういうときに限って、誰も戻らない。
ピクシーちゃんは久しぶりの感覚でうれしいのか、スリスリ多めである。
二週間もの長きにわたり、一人でサナギ化していたんだから寂しかったんだろう。
自分はそう思って、もうこの流れに身を任せようと決めた。
べ、別にいかがわしいこと、しているわけじゃないんだからね。
か、勘違いしないでよね。
このはたから見たら犯罪者の構図でも、自分は実に癒されていた。
考えてみたら、孤独感を結構な確率で癒してくれたのが彼女の存在だ。
あの半透明ボディだったころから、こういう感触だった。
自分はむしろ反省していた。
人間サイドの倫理観は、彼女を傷つけるだけだ。
いいんだ。
自分はいくら変態呼ばわりされようが、これでいいんだ。
こうしてしばらくいただろうか。
自分にとっては、自分の本当の気持ちに向き合う大事な時間だった。
スリスリ攻撃に劣情を刺激されたりは断じてしていない。
気が付くと、周囲をグレゴリーズに囲まれていた。
なに、その子は。
え、ちょっ。趣味ですかそうなんですか。
裸の子供と抱き合って頭おかしいんじゃないの。
うわー、変態だ。変態がいる。
ゴブリンは倫理観もへったくれもないのね。
そういう念をビンビン飛ばしてくる人たちだ。
いたたまれなくなり、ピクシーちゃんに離れてもらう。
ピクシーちゃんはちょっと嫌そうに離れた。
そこでさすがに、みんな気づいた。
ピクシーちゃん、戻ってきてくれたの。
あーよかった。本当によかった。
魂の形はそうだけど、この姿は。
げぇーー、おっさんの邪念を吸収してそんな姿に。
ゴブリンめ。よりにもよって、このような。くっころ。
みんなのめちゃくちゃ入れてくる雑音はともかく。
自分は経緯を説明し、何とか現状を変えようとした。
特にセオリツさんに天使のような服を準備して欲しいと頼んだ。
着ていて違和感の感じにくい服装をさせたい。
しかし、天使のような、の部分で皆に爆笑された。
くそー。そうだった。
この宇宙人どもは人をバカにすることは全力でやるのだ。
そのせいで全くもって色っぽい展開になぞならん。
むしろ肝が冷え、心が凍りつく展開ばかりだ。
一層、ピクシーちゃんの癒しが欲しくなる。
しかしセオリツさんは違った。
急に眼の色を変えて、自分にこういった。
初めてあなたに男らしさを感じました。
好きな女の子にかわいい服を着せたいんですね。
頑張って天使よりかわいい服を作ります。
ん、妙なスイッチを自分は押したか。
幾分、周囲のグレゴリーズも毒気を抜かれたように黙った。
その後、セオリツさんを除いたグレゴリーズはコソコソ話し始めた。
セオリツさんは、ざっとピクシーちゃんのサイズを測り始めた。
その後、グレゴリーズはこうしてはいられないとばかりに慌て始めた。
どうもどこかに連絡を入れている。
そのうちにすごい勢いで空から何かが降ってきた。
天浮舟を自分は近くで見てしまった。
グレゴリーズはさよならも言わずにどんどん乗り込んだ。
あっという間に天浮舟は空高く消えていった。
え、なになんなの。
展開が早くてついていけないよ。
ちょっとうれしかったのは、強殖〇甲ガ〇バー風のくぱぁ出入口ぐらいだよ。
あとは、裸んぼ子供バージョンのピクシーちゃんと自分が、茫然とその場に取り残されただけだった。
ミツバチさんがさすがに様子を見に来たよ。
結果だけお伝えしておく。
セオリツさんは、織物のエキスパートなんだって。
無茶な研究はダメだが、人間の真摯なお願いであれば融通が利くんだって。




