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異世界転移の錬金生活314 ピクシーちゃん進化する

 これで二週間、ピクシーちゃんが帰ってこない。

家出してしまったのだろうか。

カグヤさんが来てから、ミツバチさんのところにいつもいた。

カグヤさんには挨拶しない。

他のグレゴリーズには、ちょっと話しているのにな。


 親鳥としてはすごく心配だ。

ここらで親鳥としてちゃんとしたところを見せないと。

ピクシーちゃんに逃げられてしまう。

結構必死に探しているんだけどな。


 あと、やっぱりな、という感覚もある。

好きな人に他の女ができた。

自分には声もかけてこなくなった。

ピクシーちゃんは親鳥としてではなくて、男性として自分を見ていた。

だとしたら、ここのところの自分は最低だ。


 困った。

なんとなく、ティムした魔物だから大丈夫、という感覚があった。

油断と慢心があったと思う。

よく考えたら、最初のウズラさんは食用に捕まえようとして逃げられた。

ソードフィッシュにしても、何度もわなを破られた。


 自分のティムはいうまでもなく不完全なものだ。

逃げようと思えば、実はいつでも逃げられる。

逃げないとしたら、それは好意に近い感情があるせいなのだろう。

よく考えてみれば、クマにしても、はちみつ目当てとはいえ逃げない。

サクヤさんやグレゴリーズも同じことである。

それぞれの自由意志を本当には制限できない。


 それに実は、新拠点ヨシオの女子率は高い。

おっさんは自分のみ。あとはときどき、ミカエル君とグレゴリ。

それ以外のメンバーは見事に女子まみれで、それも増加する一方。

以前は冗談で言っていたが、これはもうマジハーレム状態だろう。


 そのうえ、実は性的な接触は一切誰ともない。

この場は不思議な清澄な気に満ちている、といわれた。

皆が賢者状態で、穢れる理由がないからだろう。

女性が身の危険を感じずにまじめに過ごしていれば、清い気も満ちるだろう。


 そうでなくても、サクヤさんとグレゴリーズは神様なんだから。

あとはピクシードラゴンの作用だろう。

あの子は赤ちゃんのようないい匂いがする。

つまりピクシーちゃんを失うと、この場の雰囲気も壊れる可能性が高い。


 いろいろ考えているうちに、来たこともない深いところに入り込んでいた。

戻れるか、これ。

全くだらしがないヤツだ。

ちょっと想定外のことが起きるとすぐ平常心を失う。


 そこで、おっさんは気づいた。

ピクシーちゃんのような赤ちゃんのいい匂いがする。

途端におっさんは元気になった。

気配をできるだけ殺しつつ、周囲を警戒しながら、匂いを追いかける。

これはミツバチさんを追いかけたとき以来の緊張感だ。


 必死だった。

そりゃそうだ、今までの反省もある。

ピクシーちゃんをほっといたわけだから、自分にはどうにかする義務がある。

戻ってきてもらえるように説得しないといけない。

見捨てられたんだから、虫がよいお願いだけど。


 そして見た。

ピクシーちゃんのようないい匂いをさせている人間の子供がいる。

裸んぼだ。とても健全な感じである。

自分をじっと見て、嬉しそうに笑った。

笑顔を見て確信した。

こりゃピクシーちゃんで間違いない。


 そのままギュッと抱きしめた。

ピクシーちゃんはピヨピヨないて喜んだ。

元のピクシーちゃんを思うと大きくなっている。

しかし、あくまで人間の子供サイズである。

そばに例の繭の人間の子供サイズが転がっていた。

もちろん記念に持って帰った。


 実はとんでもない現象が起きているのではないか。

ピクシードラゴンの生態はよくわかっていない。

そもそも親鳥認定するという話は本当なのか。

恋愛対象認定するという話ではないのか。


 なんで、ドラゴンが人間の子供に変態するんだ。

人間に似た個体になりたいと強く願ってしまったのか。

もう本当にこの子はピクシーで天使ではないか。

例の神様たちのエネルギーが作用した可能性もある。


 真剣に、調査をしないとこの先が不安だ。

例の羽根はどうなったのか、彼女の火の魔法は。

ドラゴンとしての適性を捨てるデメリットは。


 そもそも彼女の服はどうすりゃいいんだ。

普通のドラゴンは着る習慣はないし、嫌だろうな。

かといって、この裸んぼ状態は人前に出せない。


 ピクシーちゃんは自分が腕から放してあげると、ある場所を指さした。

そのまま、指さした場所へてくてくと歩き出した。

飛び上がる気配はない。

さっきまであった行く手を阻む大きな枝が、吹き飛んだ。

ピクシーちゃんはそのままてくてくと嬉しそうに歩き続けた。


 あれっ。

まあ、変態からふ化したからそうなるわな。

強くなっている。

明らかに火の魔法の出力が上がっている。

服なんかいらないぐらい、皮膚も強靭なんですか。

これから裸んぼで蹂躙しまくる天使ですか、そうですか。

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