異世界転移の錬金生活309 オトナの相手はきつい
そんなわけで全く色気のない展開が続く。
久しぶりにお外でキャンプだからワクワクするねー。
偶然だけどバンガロー風の建物がそれっぽい。
今日は寝られそうにないよー。
グレゴリーズは相変わらずワイワイ喧しい。
ああ、ちなみにピクシーちゃんもいるよ。
登場してこないって。
ああ、グレゴリーズのそばにいるよ。
女の子だから女性の中にいると安心するみたいよ。
あんまりピヨピヨいっていないけどね。
グレゴリと自分は、静かに寝る準備を始めた。
クサイおっさんは、目立たないように寝るのだ。
そうそう食事はさっそく作ったバンガロー内のかまどで作った。
こちらは喧しいグレゴリーズも文句も言わずに食べていた。
そうか、うまいのか。
ゴブリンも立派なもんだろう。
さて、何事もなく翌日になった。
おっさんは疲れていたのか快眠だった。
グレゴリーズはめちゃくちゃ眠そうだった。
まあ、慣れない野宿では熟睡は難しかろう。
おっさんは軽く朝食を準備してみなに振る舞った。
グレゴリーズは黙ってこれを食っていた。
朝が弱そうなお三人である。
あまり色気はない。
特にサクヤさんは、汚れた服をそのまま着ている。
例の色のついた水で洗濯すればよかったのに。
全部流してしまう前に。
いや、土属性ということはあれは汚れじゃないのかも。
土の謎パワーが実は全身を覆っているとかな。
ああ、グレゴリか。ヤツは変わらん。
言及する必要もない。
いつもよりさらに無口なくらいである。
存在感を消そうとしている気配すらある。
妙に元気なおっさんと、無口になったグレゴリーズの旅が始まった。
そうなってしまうと、順調な普段の旅と変わらん。
あんまり語るところはない。
ただ、例のバンガロー建設は連日必要なわけだ。
真水だっていつも順調にあるとは限らない。
悲しいかな、風呂なしになってしまう日もできる。
そういうときの翌日は、さらに元気がないグレゴリーズである。
やっと旧拠点にたどり着く。
旧拠点にもバンガロー建設を行う。
石造りの部分をそれで周囲を覆う感じである。
この設計は、橋拠点や出張拠点で確立した工法である。
石を崩して組みなおす手間がなくていいのだ。
この辺りで、グレゴリーズの中から悲鳴が出始める。
特に月のモノが始まったくさい人が辛そうだ。
自分は変態じゃないのでこの辺りはあえて言及しない。
気遣いのできる男である。
この旧拠点で、一週間時間をつぶした。
どうも次々と例のモノが来てしまったようで、この休憩は非常に重要になった。
連日水風呂も入り続けた。
自分がそういう状態なので水を捨てるなんてとんでもないという勢いになった。
あとで男が入ろうが何だろうが、全然構っていられない感じだ。
逆にそういう状態なので、自分は毎日清潔な水に入れ替えたい。
少なくとも、連日結構な手間をかけて風呂の水は煮沸消毒し続けた。
預かっているお嬢さんが、何かそういう生理的な病気になられちゃ困るからだ。
あと、お腹を冷やさないように結構な気を遣った。
この世界に足りないものとして、生理用品というのが肝だとわかった。
女の人は本当に、こういう未開な世界では生きづらいのだなと実感した。
どうも現地の人は布を当てたり木の棒を突っ込んだりしているだけのようだ。
多い日は安心などできず、一日寝ているらしい。
そういう意味ではグレゴリーズはよく旅なんかしようと思ったな。
なかなかタフな方々である。
正直、この連日の対応でちょっとわかり合えたような気分になった。
相手は、単にキモチワルイ、ダメなおっさんと思っているだけだろうが。
おかげで旧拠点は、ちょっと女の匂いのする素敵空間になった。
花なんかおっさんは飾りすらしないわけだが、女性陣は違う。
鉢植えなんかがその辺に増えていくのだ。
流石に土属性の持ち主がいると成長速度が常識外れだ。
ひょっとして初めて人間が魔法的なものを使うのを見た気がする。
ピクシーちゃんはわりに気に入っているみたいである。
火の魔法では、生活空間を調えるみたいなことはしづらいからね。
よく考えるとグレゴリは赤毛だが、コイツもピクシーちゃん的な魔法を使うのか。
ニギハヤヒという神様にはそういう逸話があったかな。
記憶にないなあ。知らないだけという気もする。
ヤツがニニギだとするなら、サクヤさんがらみで自分の子か疑って火の中で出産という荒行があった気がする。
この辺りの真相は、本人たちには正直聞きづらい。
日本の神話を書いた人も、今の自分のような心理状態だったのかもしれない。
なんかあったんすか。聞いてもいいんすかね。
夫婦でないのに、なんかいいにくい争いがあったんすか。
間違ってヤッちゃってゴメンね、責任はとれないよ的な。
普段ピクシーちゃんは巣箱で寝ている。
ときどき気が向くとおっさんと寝たがる。
例のクマ事件の時は、結構長いこと自分の所で寝ていた。
まあ、つまりそういうことだね。
おっさんと寝るのは彼女なりの優しさなのだ。




