異世界転移の錬金生活307 陰陽五行説
自分は気づいてしまったことがある。
例のエ・グリゴリのことである。
あれは、陰陽五行説ではないか。
ちなみにニギハヤヒは赤毛で、火属性である。
セオリツさんは、黒髪で、水属性。
ククリさんは、白髪で、金属性。
サクヤさんは、金髪で、土属性。
つまり、何かが足りないと思ったが、木属性である。
木属性は確か青だったと思う。
うーーん。
日本の神話にそういう人いたかなあ。
青髪で木属性キャラなんてそれこそ履いて捨てるほどいそうだ。
今、思い浮かんだことを正直にいう。
エ〇ァである。ゲン〇ウさんである。イ〇リ指令である。
エ〇ァンゲリオンを使った人類補完計画である。
最後の最強四天王として投入して耐えられそうなキャラだろう。
やっていることも宇宙人っぽい。
まあ、そんなややこしい考え方をしなくても、もう一つある。
この異世界でのアダム、宇宙人デビューをした自分である。
青髪かどうかわからんが木属性。
薬草でポーション作りしかできない錬金術師。
ティム能力がやや木属性っぽいが、どうだろうな。
木属性なら、もっとわなや巣箱作りが捗るだろう。
こんなに苦労してこなかったのではないか。
つまりこういうことである。
今まで秘密裏に行動していたエ・グリゴリが自分の素性や本名を明かしている。
こんなことをする理由は、身内になったから、で正解だろう。
宇宙人トモダチとして、むしろ積極的に情報開示をしてきた。
無神論者で自由を愛しているようなことをいっていたから自分にも強要はしない。
どういうことかといえば、既にメンバーに入っている。
いや問題は、自分にはイ〇リ指令に勝てそうもない、ということである。
研究者としてエ〇ァの中に入った奥さんとか、奥さんのクローンとしての娘とか。
そんな娘たちをガンガン戦線に投じ続けて、後悔もしていない。
そんなヤバイ罪を犯して世界を変えようとしている大それた存在ではない。
自分にとってのエヴァを探したいぐらいの小市民である。
イヤ、まじで責任者呼べよ。
大統領でも政治家でもいいだろ。
どんな戦争をして、どんな結末を迎えたんだ。
自分に聞かれても、体験もしてなきゃどうしようもないぞ。
まあ体験してたら、ここにはいないわけだが。
さて、今回の本題はまさにエヴァを探せ、である。
エ〇ァを思い浮かべたのも、まさにこれが念頭にあったからだ。
自分はどうやらこの異世界におけるアダムである。
だったら知恵の実を食らって泥川の森から追い出された自分は、何をすべきか。
例の娼館にいって命の洗濯なのか、違うだろう。
一時の快楽に狂っていても、エヴァを見つけるという努力を惜しんじゃダメだ。
そうしないと、本当にいろんな意味で地球人類は終わってしまう。
このおっさんの子種を孕んで後悔しない女性、いるのかな。
このおっさんの子種を誰に文句をいうことなく、おとなしく産んでくれる女性。
絶望してはいけない。
いらん扱いされてきた過去の傷が疼きまくるが、気にしてはいけない。
エヴァを探せ、である。
心の声は無視して声高に叫ぶのだ。
そうか、魔物と同じにしては実に失礼ではあるが、ウチをまず準備しよう。
幸い、新拠点ヨシオには石材がまだうなるほどある。
結果として、女性にとってわなとなってくれるレベルになればいいわけだ。
そうすりゃ多分ティムできるのではないか。
いいウチだからいいか、という風になるといいなあ。
ゲームの攻略のようだが、こうでも考えないと劣等感でつぶれそうなのだ。
勘違いおやじうぜえといわずに、しばらく付き合ってほしい。
グレゴリたちに新拠点ヨシオへいったん帰る話をしたら、ついてくるようだ。
前世の情報を欲しがっているのだろうな。
まさか、子作りのための準備とは思うまい。
彼らの崇高な目的と目標に比べて、自分のヤツは実にバカだ。
悟られないようにしないと、本格的にバカにされてしまう。
ただでさえ、四天王最後の一人はいうほど大したことがないヤツなのだ。
むしろ、ヤツは四天王の中で最弱とかバッサリ切られるヤツだろう。
しょうがないので、自宅を改築して大きくするとだけいった。
倉庫が手狭になってきたので、このいい方でも一応間違ってはいない。
いっそ、二棟に分かれているのを一棟に屋根を併せてしまおうか。
併せた部分にトイレでも設置すれば、ちょっと現代風にはなる。
どんなとこに住んでるのか興味あるー。えーおっさんの住んでるとこだよー。
一人でいったい何やってんのー。え、あそういうこと聞いちゃうの。
きっとくっさいとこに一人でいるのよ。ダメだよー思っててもいっちゃー。
イヤらしいことばっかしてんじゃないの、一人になるとさー。
うるせ、うるせ。
グレゴリーズは、一人だった時とは違って質が悪くなった。
グレゴリ改めニギハヤヒは、申し訳なさそうに後ろをついてくる。
なあ、この辺りも君の組織は自由なんだな。
子作りに興味ないとか嫁入りはしないとか、散々いっていたくせに。
おっさんの性の生態なんぞに、興味津々なのはなぜなんだ。
きっと宇宙人にとっては、人類なんぞ面白い猿みたいなもんなんだろう。
あ、最弱の四天王としては気持ちが少し落ちてきた。
ちくしょう。
本気で自分のこじらせ自慰ライフを赤裸々に語ってやろうか。
孤独はこわいなあ。
みんなは宇宙人だから、やっぱり自分の孤独感は続くのだ。
ここじゃない感や居場所じゃない感が、自分を変態へと導く。




