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異世界転移の錬金生活302 サトウキビ

 やっぱり甘味がほしい。

はちみつオンリーでやっているのは限界だ。

味が悪いとかいう話ではない。

むしろ砂糖の代わりにふんだんにはちみつを使うため旨くなる。


 しかし問題は量である。

採りに行くにも地の利が悪すぎる。

普段いるロートル町から新拠点ヨシオが遠すぎる。

往復移動の期間、娼館に迷惑が掛かってしまう。

移動には沼地を使って台車で移動しているため、そうとう速いんだが。


 あと、ミカエル君に頼んでみたら、やんわり断られた。

勘違いしないほうがいい。

巣箱に次々魔物がかかるのはおかしい。

自分が触って何が起こるかわからないので。

こんな感じの断り文句だった。


 やり様としては二つしかない。

一つは、ミツバチさんをロートル町で見つけて新規巣箱に入れる。

もう一つは、サトウキビのような植物を育てて砂糖を精製する。

難易度はわからないため、どちらがいいかわからない。


 そもそもサトウキビというのは穀物系なのだ。

今まで穀物系は、収穫効率の悪さから自分は避けてきた。

砂糖を精製というのも、いうのは簡単だが難しい。

刃物等で繊維状に崩して大量の布で濾す、という感じだろうか。


 なじみの方法はもちろんミツバチさん捕獲である。

いまだに再成功はしていないけどね。

いや、冗談抜きでレアキャラだった可能性がある。

そういえば、天敵のスズメバチの類も見かけない。

まあ、全く出会いたくはないけどね。

きっとトンボの比じゃない強さだろうな。


 あと、自分の肩にだいたいいる瞳のきれいな彼女ピクシーちゃんが、問題なのだろう。

時々瞬きしたり、目がにっこり緩んでいる瞬間があり、すごくかわいい。

口元は大体ピヨピヨいっていて、口角がちょっと上がっている。

柔らかい半透明の肌を時々自分の頬にスリスリしてくる。

親バカでも何でもいいが、彼女はかわいいのである。


 しかし、虫たちにしてみるとそうじゃないわけだ。

前にミツバチさんたちが見せた反応を思い出す。

そばには間違っても寄ってこないわな。

寄っていってボチュンとはなりたくないだろう。


 しかしそうなると、ミツバチさんがこない。

エンカウントがそもそも不可能と相成ったわけだ。

かといって、ピクシーちゃんを除外するのはムリだ。

ちょっと席を外してね、みたいなことさえ、そもそも意思の疎通は難しい。

かといってお腹が減ると勝手にさっと席を外すけどね。


 ああ、ニュー〇イプ能力が欲しい。

ピキュンとテレパシーを飛ばしたい。

これさえできれば、結構状況が変わる気がする。

ちょっと怖いことを考えてしまった。

忘れよう、うんそうしよう。


 あとはそうだな、こういうのはどうだろう。

巣箱の女王バチ様に子供の女王バチを産んでいただくようにお願いするのは。

ピクシーちゃんが頼んだら、ムリなのかなあ。

知識がないのでよくわからない。


 まあ、地道な方法が一番かな。

ということでサトウキビの類を探してみるかな。

砂糖の精製ができれば、例の道具屋のダンザおやじに教えればいい。

商売になるとなれば必死にやるだろう。


 オーソドックスに沼地を探して回る。

今まで意識的に探してこなかったため、それらしいブツにすぐ行き当たった。

ただ、太い。

こんなに太かったか。

あれ、これはナタ案件ではないか。

ナタって確か鉄インゴットの中の人だよな。


 石オノで叩いてみると、ベキッとへし折れた。

へし折れた部分をなめてみる。

わからないが、これは穀物の甘さだと思う。

よし、正解かどうかはわからないが、とりあえず何本か持っていこう。


 作業はできるだけ新拠点ヨシオで済ませたい。

砂糖の現物を見せながら、ダンザおやじに話すのが理想である。

作業しているそぶりを見せると、最近はめちゃくちゃ食いついてくる。

おちおち常宿では作業ができなくなっていた。

あのタヌキおやじこそ、ニュー〇イプじゃないか。


 結構細かく擦りつぶして煮込み、大きな布で相当何度も濾す。

やっと砂糖らしき水が取り出される。

これを乾燥させるか煮詰めるかすると結晶化する。

ここまでたどり着いてやっとほんの少しの砂糖になった。

塩の苦労再び、である。


 相当頑張ってこの量だから、ダンザおやじに話そう。

こんなものは人海戦術でどうにかするパターンである。

おっさんの体力のなさをなめるな、という感じである。

そもそも砂糖に関しては流通している可能性もある。

探してみて、なければダンザおやじにいおう。


 結果として、ダンザおやじはノウハウを買ってくれた。

砂糖は流通しているが、贅沢品らしい。

このやり方は人数さえかければ簡単だから、安くあげると鼻息を荒くしていた。

あ、例の爽やか兄さんに頼んだら即解決だったのか。


 こういうダンザおやじには、正直好感は持てない。

きっと押しの強さに負けて泣いている人が多くいそうである。

リアルにブラックな臭いがするけど、まあ関わらない。

自分もいつそういう被害者になるかわからない立場だから。

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