異世界転移の錬金生活223 マリア登場
結局、そのままの流れでミカエル君のうちに来た。
マヨネーズは当然持っている。
ただ、土産にする分は持ってきたけど多分全然足りない。
それよりは、主婦であるミカエル君の母親に作り方を覚えてもらったほうが早い。
そこから情報が即伝わって、いずれは小鳥の卵も採取する流れができるだろう。
今はこの辺がいかにも弱い。
需要をそもそも作り出す必要がある。
このワカ町にもぜひ頑張ってもらいたいものである。
そういうわけで植物油、小鳥の卵、ワインビネガー、塩、はちみつをそろえた。
これを必死で混ぜ合わせながら、植物油を少しずつ混ぜていく。
最後に、味を調えた後、ハーブ類をお好みで加える。
日本人の自分にとってはややぼってりとした味わいだ。
必死で混ぜる工程には、当然若者たちの力を借りた。
オラオラオラッ。
あれっ、結構重いぞこれ。
最初は勢いがよかった彼らも、終盤になるとヒイヒイいっていた。
簡単にノウハウを教えてくれるなんて優しいですね、ヨシオさん。
最初はそういっていたミカエル君も、何かを理解したみたいだった。
母親にこれを教えたということは、ひょっとしてこれからも。
こんなきついなんて、聞いてないよ。
そういう目で自分を見ないでくれるかな、ミカエル君よ。
おっさんはそんなに若者に優しくはないのだよ。
推定おっさんと歳が近いミカエル君の母親は、ホクホクして息子を見ていた。
マヨネーズうんぬんよりも、息子との共同作業が楽しいのだろう。
気持ちが相当若返っている感が、ちょっと彼女を色っぽく見せていた。
ミカエル君の母親は、なかなかの胸部装甲を誇る重戦車なんだけどね。
あと、ミカエル君と似た顔立ちで、きれいな方である。
キモイってか。
当たり前だろ、こじらせたおっさんなんだからさ。
ちなみに彼女のお名前は、マリアさんというそうだ。
そういうわけで、ミカエル君たちとその母親とは円満に別れた。
特に小鳥の卵を集めないと、町は大変なことになりそうだ。
植物油やワインビネガー、ハーブ類は店で見た覚えがある。
はちみつは砂糖代わりに気持ち投入して味を調える程度だしな。
ああ、食べすぎは太るし、実は栄養バランスの悪い食品だ。
これをいうのを忘れてしまった。
ま、いっか。
そもそも貧しい食生活を多少良くする程度だから。
その翌日は、例の病院施設に行っておっさんにポーションを納入した。
直で納入したほうが、差益的な意味で病院施設も助かるんだそうだ。
どるぎを経由してないので、自分の実績にはならないのだが。
ま、命を救ってもらった恩返しとしては安いものだ。
雪ウサギ袋(冷蔵機能付き)を見せて、顛末を話した。
なにせ、雪ウサギの情報提供元はこのおっさんだしね。
相当驚かれたし、めちゃくちゃ食いつかれた。
病院施設にも保管の難しい薬品が結構あるそうだ。
なんとかならないか、といわれた。
情報秘匿を絶対厳守するなら、という条件で受けることにした。
ああ、こうなるよな。
情報をいくらコントロールしようとしても、こうなるよな。
世話になった人に真剣に困ってることを相談されたらさ。
秘密なんて、こうやって拡散していってしまうものなんだ。
そもそも、厳密にはおっさんがすごいのではなく、ティム能力がすごいのだ。
雪ウサギのような現実の脅威をどうにか収めてしまうような。
肩にもピヨピヨいって乗っている現実の脅威がいる。
自分的には母を訪ねて〇千里のようなノリなんだが現地の人はすごい反応をする。
知らずに見たら、町中で人が魔物に襲われている感じなのかな。
自分が平気で過ごしているため、勘違いに気づく感じである。
ワカ町にこっそり雪ウサギ袋(冷蔵機能付き)を持ってくる。
そのまま病院施設に納入する。
できそうかな。
袋を被せてしまえば、わからないか。
ああ、そうだ。
今自分が使っている分を、おっさんに渡したらどうだ。
生鮮品が多い中身の処理は、主婦のミカエル君の母親にでも任せたらいい。
自分がしばらく不便だが、また冬洞窟にグレゴリと行って確保すりゃいい。
そうと決まれば、ミカエル君の母親に会わないと。
なんだかちょっとワクワクしている自分が呪わしい。
きれいな自分と歳が近い女性なんてのは、娼館でもなかなかいない。
なんだかいい匂いがする母の香りがやばいのだ。
あのミカエル君に散々吸わせた胸部装甲が、実にけしからん。
あの大きな重戦車の肉を通って、ミカエル君がこの世に誕生したのだ。
ああ、あの奥さんには、ミカエル君似のイケメン旦那がいる。
キモイおっさん再び爆誕である。
しかも、今回は妄想ではなく現実であるから質が悪い。
いろいろとても書けないことを考えながら、ミカエル君のうちに向かった。
マリアさんと普通にやり取りして、普通に袋の中身を全部渡した。
適正な対価をもらって、帰ってきた。
なにも、なにも起きなかった。
その足で、再び病院施設のおっさんを訪ねた。
こじらせてんな、とちょっと心配そうな目をされた。
おっさんに雪ウサギ袋(冷蔵機能付き)を渡した。
結構な金額をいただき、彼の元を辞した。
だからさー、お前も似たような、以下略。
そういうわけで、おっさんは雪ウサギ様へ再度アタックしないといけない。
グレゴリに頼んで、また冬洞窟へいかないといけない。
どんどん予定が伸びて、例の娼館での商取引はいつになるのか。




