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異世界転移の錬金生活222 ワカ町へ

 ピクシーちゃんは一瞬トンボを見た。

次の瞬間、トンボはボチュンとでもいう音を発して消えた。

こわっ。

見なかったことにしたくなるレベルの格差がそこにあった。


 何をしたのかさえわからんレベルだった。

そこでミツバチさんたちの対応を併せて考えると、結論は一つだ。

虫ごときでは、ピクシーちゃんはどうにもならない天災レベル。

小さくてかわいいが、虫にとっては天災なのだ。


 ピヨピヨいっているが、何を話しているのか翻訳したい。

特にミツバチさんに何をいっていたのか。

怖がらせないように、相当気を遣っていたのは間違いない。

自分が間に入って気を遣うべきだったのかもしれない。


 何度も言うが多頭飼いは気をつけなければならない。

おっさんは、魔物の気持ちを今こそわかりたい。

魔物の気持ちとステータスがわかるそういう携帯アプリがほしい。

携帯もないけどね。


 ただ、弱い魔物の中に強い魔物が入る流れは、いじめが起こらない。

そういう意味ではこの流れでよかったのだろう。

今後はどうすればいいのか、頭が痛いけどね。

ティマーとしてちゃんと気を遣っていきたいものである。


 万一雪ウサギ様を飼うときには、ピクシーちゃんとの力関係がどうなるのか気になるところである。

ライバル的な関係になるのが理想だが、いじめみたいな話は勘弁してほしい。

仲裁するのも命がけ、という事態になりかねない。

今のところ、袋もののアイテムになっているため、その手の対立はないけどね。

意外と氷と火の組み合わせで、欠点を補い合う感じで相性はよさそうだけど。


 おお、そうそう。

雪ウサギ袋(冷蔵機能付き)だけど、今は主に肉や卵を入れている。

傷まないように入れたいものは、別に野菜でも果物でもいいんだけど。

なんとなく、雪ウサギの肉や皮に、臭い移り的な意味で野菜類はちょっとためらいがある。

中にチルドルーム的間仕切りでも入れようかと、真剣に検討中である。


 今日はとりあえず、ワカ町へ行ってミカエル君たちに会うつもりだ。

ついでに、例の養殖キノコをどこかに納入しよう。

これも相場がいまいちわからないが、まあどうにかなるだろう。

結構次々生えるため、正直大変になってきている。


 あとは、陶器である。

ワカ町であれば、何とか持っていくことが可能だ。

貴重品として、高値で売ろうと思う。

娼館で何回か遊べるレベルだったらいいなあ。

自分がだんだんダメな基準でものを考えるようになっているな。


 最近つくづく思うことがある。

錬金術師として薬草を加工し、ポーションを作って生活している。

ただ、自分の場合はこの前世の記憶と知識も、ある意味錬金術なのだ。

贅沢な調味料や料理法、土器や陶器、各種わな巣箱類。

これが完成し効果を発揮してくれるたびに、金品を産む。

普通は取り扱いも難しい魔物の類も、味方にできる。


 これで工業的な技術や産業に明るかったら。

金属系の知識や加工法に明るかったら、どうなっていたか。

まあ、本物の錬金術やってただろうなあ。

こっちでも工場経営、工房経営やってるんじゃないかね。

ただ、こういう人生だと変わり映えがしなくてつまらないか。


 こんな益体のないことをつらつらと考えながら、ワカ町へ向かっている。

新拠点ヨシオに来てしばらく経つと、こういう独白が増える。

ピヨピヨいっているピクシーちゃんと会話している感じである。

お互い全然通じてねえんだけどね。


 ピクシーちゃんのピヨピヨ具合からすると、彼女は結構お喋りである。

よくってよ、とか、ごきげんよう、とか、いってるタイプかもしれん。

あなたは品が悪いのよ、とかいわれてないか、とても不安である。

あなたはだらしがないから、しっかりしなさいよね、とかね。


 まあ、親だと思っているなら、上記のような感じじゃないか。

おとうさん、バカじゃないの。おとうさん、ちゃんとして。

おとうさん、まじめに働いてよ、お願いだから。

あっ。おじさん泣いてしまいそうだ。

すまないねえ、お前。迷惑ばかりかけて、本当にごめん。


 バカみたいに過去のトラウマを自分でえぐったところで、ワカ町に着く。

痛すぎる。

こんなこと今必要だったか。

自分でも不意を突かれて泣きそうだわ。

借金で苦しんだ話なんて、ある一定の層にしか通じないネタだぞ。


 気持ちを切り替えていこう。前世の話だ。

今世ではこんなバカなことにかか煩って、気持ちを折ってはいかん。

そうだ、未来を感じさせるミカエル君たちに早く会おうじゃないか。

借金苦の話なんて、なんだか楽しそうな人を見れば忘れられる程度の話だ。


 ワカ町のどるぎだ。

とっとと、ミカエル君たちを見つけよう。

ああ、そうか。まだ昼間だ。

先に商談を済ませておくか。


 結果としては、養殖キノコは自分的にはマシな金額で売れたのでよしとした。

陶器はどうしていいかわからないようだ。

見たこともなければ、そもそも貴重かどうかもわからない。

これは、ロートル町の娼館での贅沢品を扱う商談以外では、値段がつかない可能性がある。

面倒でも、いったんロートル町に持っていくしかない。


 こうしてもたもたしているうちに夕方になった。

どるぎに行って首尾よくミカエル君たちと会った。


 ミカエル君は真っ先に、マヨネーズをよこせと言ってきた。

母親に相当うるさくせっつかれて困っているらしい。

ちなみに渡した分は、ほぼ一週間ぐらいしかもたなかった、といっていた。

自分よりも母親はじめ女性陣の食いつきがすごいといっていた。

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