異世界転移の錬金生活214 鳥の捕獲
すっかり料理ものの作品となりつつある。
次のお題は鳥である。
そう、ツグミのような小鳥の類をゲットしたい。
ついでに鳥類の卵もゲットしたい。
武器は投げヤリ・イン・木の補助具しかない。
自らの肩を壊し、しばらく無防備になる、高性能武器である。
小鳥には、命中精度がアダになりそうである。
以前散々語ってきたため、ご存じであろう。
あとは石オノだ。
まあ、投擲武器として使えるといえば使える。
一発でぶっ壊れるけどね、多分。
これも命中精度に難がある。
まあ、この手の武器がいらないのは鳥類の卵である。
巣を探せば、手に入りそう。
もっというと、巣箱を準備すれば自動的に卵は手に入りそうである。
何しろ自分には、こうするとティムできてしまう特殊能力がある。
今まではあまりにも都合がよすぎるため、信じられなかった。
しかし、アサリや雪ウサギを経て、もはや確信に変わった。
薬草を使ったポーション作りが生業の錬金術師である。
しかしティマー能力が非常に高い。
しかも、おそらく巣箱準備が必須というわかりにくい能力。
巣箱で対象が決まるようだが、法則は不明、ランダム。
万能というわけでもない微妙な感じこそ自分らしい。
あとはくだんの鳥の選別である。
ツグミのような小鳥が入ってくれるような巣箱を準備する。
コカトリスやら、恐竜のようなヤツやらが、棲みついてしまう巣箱ではいかん。
棲みつかれても、卵がもらいづらいヤツでは後で困るのだ。
あとできれば卵をよく産む多産なヤツが望ましい。
卵のサイズは、理想は鶏卵である。
鶏卵サイズの鳥類は結構大きく、身長が五〇センチぐらいにはなる感じである。
このサイズで飛行が下手な無害な鳥類という条件は、実は結構厳しい。
前世でも鶏や七面鳥ぐらいしかない。
異世界だったらもっと過酷なはずである。
だからこそ贅沢はいわずに、ウズラやツグミ、ツバメのような小鳥を狙う。
ティムさえ成功すれば、飛行が得意でもなんとか飼っておける。
卵がいただきたいだけなので、渡り鳥のような季節の鳥でもまあよし。
まあ、おっさんがそろそろ鳥肉の類を食いたいだけなんだ。
鳥肉の卵とじが食べたい。
たっぷりの玉ねぎと魚醤出汁がきいたヤツ。
炊いたコメが下に敷いてあれば親子丼といわれるヤツである。
巣箱づくりはいい加減慣れてきた。
そもそも鳥類に関しては、前世で巣箱を作る習慣がすでにある。
全く工夫なくあの感じで仕上げた。
おかげで、どう見ても無害な小鳥用以外ではないものだ。
これで変なものがかかるとしたら、自分への悪意かリアルラックのなさである。
頼むぞ。いらないぞ、今までのような余計な物語は。
ネタ的においしい。
扱いに困るヤツのほうが盛り上がる。
そんな理屈でひどい目にあうのはもうイヤだ。
しかし、巣箱に普通に小鳥が棲んでいるのを見て、ちょっと思った。
あれ、フラグ回避か、普通じゃんか。
そ、そりゃそうだよ。
小鳥が入れる穴しか開いてないんだから。
ちょっと色がきれいだなーとは思うが、かわいい小鳥をゲットできたわけだ。
このサイズ感だとちょっと小さい卵になるかな。
ウズラ卵のような感じだろうか。
あとはその瞬間を気長に待とう。
しかし、待てど暮らせど卵を産まない。
巣作りのような感じで、藁のような枯草を大量に運んでくるばかりだ。
巣箱の中は枯草でいっぱいである。
そのうちに、あの小鳥は行方不明になった。
あれ、こういう展開ですか。
ティムが失敗しているパターンは、何気に初めてじゃないか。
いや、最初期のソードフィッシュは相当苦戦したな。
今回は、このパターンということか。
そこで、巣箱をおろして、内部をじっくり確認した。
なにか問題があって出ていったわけだから、原因を知りたい。
枯草をかき分けようとして、強い違和感を感じた。
中に白い繭のようなものがあり、枯草を纏わりつかせている。
まじか。
巣箱に棲みついていたのは、あの小鳥だけではなかった。
小鳥が行方不明になったのは、この白い繭の主に食われたのか。
え、この虫はちょっと怖いヤツじゃないの。
でも、この枯草はあの小鳥がいつも運んでいたヤツだよな。
自分はイヤな予感に苦しみながらも、自分のティム能力を信じることにした。
今までティム能力でゲットしてきた生物は、役に立ってくれるヤツばかりだった。
まるで使えない役立たずは、どういうわけかエンカウントしない。
このおそらく小鳥を食っちまった怖い繭の主は、役に立つヤツのはずだ。
ただ、問題があるとしたら自分の側である。
まず、鳥類の卵をゲットする目標は達成できない。
そして、謎の白い繭の主は正体不明でどんな対応が必要かわからない。
繭である以上、こいつはカイコのような幼虫が変態する前のサナギだろう。
モスラのような巨大な蛾が、この中から生まれてくるのだろうか。
そうなると、カイコのような幼虫が小鳥を食ったのか。
なぜ、どうして。
カイコはクワの葉っぱを食うのがセオリーだろ。




