異世界転移の錬金生活104 急な土砂降り
正直、いるものは多くあり優先順位がつけづらい。
よく考えればずっと飲まず食わずだ。
そもそも、どうして自分は体調がいいのだろう。
不思議だが、もはや今更である。
そんなことよりである。
とうとう雨が降り出した。
いかん。そうとう雨脚が強い。
頭から足元までずぶぬれになるのに、そんなに時間はかからなかった。
もはやここに居続けるのは自殺行為だ。
泥川だってこのままおとなしくしているか。
氾濫なんてされたら、身を守るすべもない。
安全確保が第一で、洞窟的なものを探そう。
熱さは大分、収まりつつある。
上流にむけて改めてさかのぼってみるか。
さっき見たところ、岩肌が見えていた。
そのあたりに、洞窟的なものがないか探しに行こう。
効率的に動けていないのが、腹が立つ。
土砂降りの中、二時間あまり歩き続けた。
途中で燃え残った木々の炭やら草の燃えた灰などを回収した。
草の燃えた灰については、灰汁をつくるためである。
炭や灰は、服のポケットに直接入れた。
一瞬躊躇したが、結局どうしようもなかった。
やはり、袋的なものがないと、この先厳しい。
それから、いつもしがんでいた野草を選んで持っている。
燃えてしまって失われる恐れがある。
うまいとはとても言えないが、毒で死にはしない。
自分の体調が崩れていかないのは、これが原因ではないか。
うまく言えない。
自分には感覚的にこの辺の見分けができているのかもしれない。
足元が固くなり、岩肌がみえる。
やっとたどりついたか。
やや、高台になっており、そういう意味でも都合がいい。
あたりを見回すが、洞窟的なものはない。
そんなに都合よくはいかないか。
しかし、とりあえず座れる。
岩の重なりでイスのような形になっている場所がある。
ああ、しんどい。少し休もう。
びちゃびちゃで風邪ひきそうだが、足が痛い。
荷物も下ろし、服のポケットから、炭を取り出した。
しばらく足をもみながら休んだ。
この状況では、雨がやんでくれるまで休めない。
雨風を防ぎたい。屋根がいる。
屋根が作れれば、雨水を集めて活性炭消毒をして真水が手に入る。
よし、大き目の葉や枝を集めて、屋根を作ろう。
折れた枝を組み、間に葉を詰め込みつつ板状にする。
つる草製のロープで固定する。
これを二つ作って、組み合わせてとんがり屋根状にした。
屋根の接合部に、大き目の葉を大量に乗せる。
屋根の接地面に大き目の葉を敷き詰めて固定した。
敷き詰めた葉の上と屋根の接地面の境に、持ってきた活性炭をセットした。
屋根から流れた雨水が活性炭を経て下にたまる感じだ。
土器のようなものが作れれば、ここに設置しよう。
終わったら、屋根の具合を確かめる。
飛び込むように中に入ってみる。
いいぞ、雨はしのげる。
活性炭はどの程度雨水を浄化してくれるのだろう。
まあ、飲んで確かめるよりない。
灰汁を作って、ゼンマイを漬け込んだりしよう。
ゼンマイらしきものは今までに見かけた。
が、灰汁抜きが頭にあったので危ない気がした。
ここのゼンマイがどんな性質か正確にはわからない。
今まで躊躇していたのだ。
結局、雨がやむまでずいぶんかかった。
翌朝やんでしまえば、すぐに嘘のような青空が広がる。
乾燥した空気が広がり始める。
天候が安定しない山の気候のようである。
屋根は非常に優秀だった。
真水が手に入り、飲んでみたが問題ない。
ためておきたいが今後の課題だ。
粘土が必須だ、土器づくりは楽しみだ。
いつもの野草をしがんで繊維状になったら吐き出した。
やはり少し体調がよくなった。
足の痛みも引いてきた感じがする。
風邪による寒気のようなものは感じなかった。
体のためにも今後も続けよう、苦いが。
濡れた服は着ていると体温が奪われるため脱いだ。
靴下や靴も脱ぎたいが、これはリスクを考えて我慢した。
いざとなれば全裸で逃げ出す覚悟である。
濡れた服を乾かしたい。
よく絞った後、火事を生き残ったそのへんの木の枝に引っ掛ける。
いつまで待てば乾くやら。
火事のおかげで風通しは非常によくなったのだが。
あと、枝やロープ、活性炭は屋根づくりで完全に使いつくした。
回収してこないと、特に活性炭や草の灰は今、貴重な物資だ。
また、草の灰は、服のポケットに入ったままである。
活性炭や草の灰は、取り扱い方式を考えないと真っ黒になる。
ヤリはその辺に置いてある。
今は使いどころはないが、杖がわりである。




