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異世界転移の錬金生活205 調味料

 最近は料理熱がすごい。

魚醤が悪いのだ。コイツの可能性がやばい。

生臭さがあるといったが、これは調理のひと手間で回避できる。

それほど多く使う必要もないため、どうにかなる。


 具体的には今まで試し続けてきたハーブの類をうまく使うのだ。

セージやローズマリー、パセリや月桂樹の葉そのほかっぽいもの。

やや洋風な味わいになるが、非常に美味である。

こういう工夫を現地の人はあまりしていないようだ。


 そこで気になりだした調味料がある。

トマトソースおよびホワイトソースである。

まあ、マヨネーズといってもいい。

そのためには、哺乳類の乳および植物油、鳥類の卵が必要だ。


 トマトの類は、人類の町で栽培されている。

牧畜の類は多分誰かがやっているようで、哺乳類の肉は市場でちゃんと手に入る。

当然さがせば哺乳類の乳は売られているはずである。

植物油に関しては、石鹸の類が売っているし自分でも作れる。

ナノハナ油やツバキ油なんかを準備した。


 ちなみに絞り用の布に関しては、すでに結構な量を取得済みである。

色染みだらけの自分のシャツは、雑巾として日常使用されている。

着色料や染料の絞り出しに散々活用した後だけどね。

その後乾燥して粉末化した着色料や染料は、町の呉服屋へ納入したら喜ばれた。

結構な現金収入になったので、ときどき取り組んでいる。


 実はハードルが高そうなのが鳥類の卵である。

売られているのを見たことがない。

ひょっとすると、鳥類が恐竜並み説が濃厚なのだろうか。

コカトリスとかいう一見鶏のような魔物もいるよね。

とても卵を奪って無事では済まない、というような。

嫌な予感が止まらない。


 あとはソースなんかに入れる胡椒だが、見当たらない。

これは単純にこの辺境では貴重品という可能性が高い。

手配したくても、そもそも説明する言葉を知らない。

贅沢品を扱う商人には、相変わらず苦手感しかない。

探してる、なんてヘタに言ったら、ひどく食いつかれてしまう。

雀の涙並みの量を目玉が飛び出るような値段で売りつけられそうだ。

くわばらくわばら、である。


 そうそう、ソースで思い出したが、丁子なんかも見当たらない。

ソースの製法がはっきりしないため、実はあきらめている。

こういうことは実は多い。


 そういうわけで、とりあえずの材料を集めて思いつくまま調味料づくりをした。

ドレッシングのようなものが各種できて、結構うまいと思った。

これで鳥類の卵があれば、マヨネーズはできたのに。

トマトソースやホワイトソースは、胡椒がないのでコレじゃない感がある。

ただ、しっかり煮詰めたのでコクはあり、うまいと思う。


 これらを壺に詰めて、判別のために日本語で調味料の名前を彫り込んだ。

人に渡す気がそもそもないわけだ。

まあ、原材料をそもそも苦労して集めたものだし、手間も相当かかる。

なおかつ、自分的には一味足らない未完成品である。

よく考えると、ニンニクもないのだ。


 ただ、この各種調味料のおかげで、なんちゃって洋風料理が作れる。

魚醤味一辺倒だった自分の料理が、かなり変わったのは言うまでもない。

もはや、ソードフィッシュは泥臭くてまずい、なんて言えなくなった。

最近目を光らせている道具屋のおやじには、知られるとややこしい。


 さて、話は変わる。

キノコである。

今まで全く手を付けてこなかった難題である。

そして、当初から自分にとっては親しんだテーマでもある。


 当たり前ではあるが、現地の人は普通にキノコを食べている。

八百屋では普通に食えるキノコが手に入る。

自分があえてこんなことをいうのは、理由がある。

この食えるキノコというのが、自分基準ではあかん色なのである。


 なぜあえてそういう色のキノコを現地の人は試したのか。

なぜ、そのキノコは食えるのにそんな色になってしまったのか。

普通に茶系のうまそうな色のキノコが生えているのを自分は知っている。

やや、自分の知るキノコとは違和感のある形をしているが。


 こいつは盛大なわなだった、ということである。

この自分基準では彩り豊か過ぎるキノコたちを、自分は試さなければならない。

またしても、自分の前世常識との戦いが始まったのである。

一旦こういう先入観を全部忘却しなければならない。

そうしないと、キノコで出汁を取る自分たちの常識的な調理法が試せない。


 そして改めて思った。

虫でも感じた違和感が正しかった。

見た目が常識的にあかん色だから、この色は大丈夫そうだから。

そんな前世の常識基準はこの世界ではまるっきり通用しないのだ。


 うまそうな茶系の色の毒キノコが、当たり前に辺りに生えてやがるのだ。

大丈夫そうな色の毒虫が、当たり前に辺りにいやがるのだ。

むしろ違和感のある色をしているヤツのほうが、毒なく食えるわけである。

闇雲に試さなくて本当によかった。

よかったよかった。

おっさんのビビりがおっさんを救ったな。


 一つ一つキノコを湯がいて味を試した。

味の感じを正直に言うが、シイタケ、マツタケ、エノキ、マッシュルーム。

おっさんは高いキノコは食ったこともないため、それ以外は判別できない。

色味や形状を無視すれば、十分親しんだキノコの味である。

八百屋にあっても不思議はない。


 汁モノの出汁によさそうなキノコであることは、よく分かった。

まあ、色味や形状は無視して、シイタケと名付けた。

コイツを干して干しシイタケを作ろうと思う。

それ以外も、頭を切り替えて親しんだ名前を名付けた。

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[気になる点] > そこで気になりだした調味料がある。 トマトソースおよびホワイトソースである。 まあ、マヨネーズといってもいい。 ーーー σ( ̄ω ̄;) の読解力だと、『トマトソース』か『ホワイ…
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