異世界転移の錬金生活127 いろいろあったね
さすがに、市場の商品価格がわからない問題は、すぐに解決した。
文字の並びでリストを作ったら、貨幣と金額表記は理解できた。
それなりの適正価格でソードフィッシュの干物、酒、果物、野菜は売れた。
ジャムやはちみつのような甘味は、そもそも市場がなかった。
あと、例のポーションはある人の指導よろしく非常に評判がよいようだ。
結構な高値で取引されている。
定期的に、新拠点ヨシオとこの町を往復している。
まあ、石を一つ背負ってね。
非常な苦労をして拠点を作りながら、ここまで来てよかった。
外に独立した自分専用の拠点があるのは、冒険者としてはアドバンテージだ。
問題は、やっぱり言葉の問題である。
自分の売れそうな商材はまだまだあるのに、説明困難だ。
説明が困難ということは、変に話すとだまされるのだ。
上記ジャムやはちみつのような贅沢品は、余計交渉次第なのだ。
言葉が通じていてさえ、言葉尻をとらえてだまされる、なんてある。
相当相手がやさしくないと、適正価格での取引なんかできない。
そして普段贅沢品なんか扱う奴は、やさしくないのである。
大きく儲けたがる奴は、やさしいわけないのだ。
そんなわけで、手っ取り早く言葉の問題と格闘中である。
まあ、今、町の娼館に来ている。
セイレーンの館というらしい。
ただ、精霊だ、という人もいて、なんだかわからない。
つまり趣味と実益をかねて、風呂に入れてもらう。
そのついでに言葉を勉強させてもらおう。
それには、こういう色恋関係が一番だ。
お互い相手に何とか自分の意思を伝えようと必死になるわけだ。
おじさんは、こういうところは必要だと思っている。
今日相手をしてくれる嬢は、水姫ちゃん。
言葉はよくわからないけど、自分のことをウンディーネだといった。
ウンディーネというのは水の精霊のことだね。
肌の感じが実に水の精霊という感じで心地よかった。
しかし、相手をしてもらっているうちに、とんでもないことを言い出した。
尻子玉を抜くのが、自分の一族の秘術だ、という。
つまり、前立腺操作をするのが、彼女の特技だというのだ。
まあ、結局抵抗できずにやられちゃったわけだ。
済んだ後で、彼女は重大な秘密を教える体で、
「ぱかっはしたわ。きずみていかとにおのずみはうとんほ。」
といって抱き着いてきたが、いまだに意味が分からない。
シリコダマ、という彼女のつぶやきだけが印象的だった。
いい思いができたので文句はないよ。
異世界は過激だな、とは思ったけどさ。
ただ、結局相手の言っていることをほとんど理解できない。
相手も自分のつぶやきを不思議そうに聞いていた。
日本語はわからないよね。
ああそうだ、この娼館は面白い嬢が多い。
自分のことを、シルフという子もいた。
羽根を使った寸止めプレイが得意技だった。
空須磨と名乗っていた。
しかし、帰り際、やっぱり告白する体で、
「ぐんてすらかはしたわ。ますらかはうとんほ。」
といっていたが、いまだに意味が分からない。
それから、サラマンダーという子もいた。
アツアツ夫婦プレイが得意だと言って恥ずかしそうだった。
火具楽と名乗っていた。
しかし、帰り際、しっとりした雰囲気で、
「ちつぐかのひはしたわ。みかのどまかのじゃんじばきあ。」
といっていたが、いまだに意味が分からない。
それを束ねているのが、玉藻様。
ノームだといっていた。
とんでもない色気で、女王様プレイが得意。
頭を下げて土下座したときに、
「こうよはしたわ。えまのもまたくなもでまうい。」
といっていたが、いまだに意味が分からない。
ただ、問題もある。
娼館に通っていると、あっという間に現金がなくなる。
今の唯一の収入が、例のポーションのみである。
あとは、各種果実と野菜の類ばかり。
ソードフィッシュは、そのまま冒険者として処理する。
そのほうが自分の成績になるそうだ。
まあ、こんな調子で、元気にやっている。
一人森をさまよった経験のおかげだと思う。
言葉が通じなくとも、人と接すること自体が楽しい。
結局勉強になってない、というつっこみはいらない。




