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異世界転移の錬金生活126 グレゴリ登場

 新天地に行って数日後。

森を含む周辺地域をなんとなく見回っているときだった。

他者の痕跡を発見した。

これは、焚火の跡だよな。


 泥川をドンドン下ってもよかった。

しかし、森をスルーしていたら今までの調査と一緒だと気づいた。

最初のインスピレーションは何だったのか。

森の中で痕跡を探すべきだ。


 そんなことよりだ。

他者はやっぱりいるのだ。

それにこの焚火の跡は新しい気がする。

まだ、なんとなく臭いが残っている。


 冒険者、こんなワードが降りてくる。

この森を調査している奴がいる。

何かいるのか、何かいるかを調べているのか。

魔物の存在がにわかに現実味を帯びてくる。


 追いかけよう。

自分が魔物扱いされる恐れはあるが、相手に遠距離攻撃武器があるかわからない。

こちらにはある。

ここで投げヤリ・イン・木の補助具の出番だ。

ただ、こちらは正直防具らしい防具はない。

反撃を受けたら即死亡である。

初の他者が冒険者で、いきなり殺し合い。

この殺伐とした設定を何とかしろ。


 おっさんは他者に対する恐れなんか、もうどうでもいい。

こんなに他者と触れ合えないまま、過ごしたことはない。

正直、人間がヒトという野生生物になってしまいそうである。

狼男なんていうのは、意外とこういう話なのかもしれない。


 結果として、自分は余計なことをせずに済んだ。

相手の男が想像以上にいいヤツだったのだ。

何を言っているのか全く分からないが、ひたすらうなずいた。

そうしたら、自分の拠点に連れて行ってくれた。

遭難者を保護した、とかなんとか、ほかの男に言っているようだ。

正直、言葉がわからないので自分の名でさえ、まだ伝えていない。


 自分を指さして、ヨシオと言った。

相手は、やっぱり自分を指さして、グレゴリといった。

これだけでおっさんはダメで、号泣した。

落ち着くまでに相当かかったが、相手は辛抱強かった。

抱きついてきそうな気配があったので逃げた。

そういう文化なんだな、とぼんやり思った。


「るすうど。かるどもままのこ。ないなじゃろこどさうちょ。」

「はにどるぎ、なうよしくこうほうど。ぞたまっこ。」


 グレゴリとほかの男はなにやら話し合っている。

自分の腕をつかみ、どこかへ連れていくようだった。

どこへ行くのか聞きたいのだが、不思議そうな自分に、どるぎ、とだけ言った。

まあ、うなずくしかない。


 結果として、どるぎは、冒険者のたまり場だった。

今後自分も世話になる可能性がある。

分からないなりに、登録したい、という意思を示した。

代筆してくれ、と身振り手振りで話した。

あとは、ヨシオで押し通した。


 自分の持ち物の中で売れそうなものを物色したが、あの野草しかない。

それを出したら、黙って検分された後、貨幣をよこした。

しまった、ソードフィッシュを持ってくれば。

まあ、いい。

あの野草はやっぱり冒険者によって採取されるものなのだ。

それ以外は、今、手元にない。

言葉も順調に通じない。


 宿を世話してくれるように、グレゴリが話してくれたようだ。

なんとか、宿に案内され、あの野草の代金をまるまる持っていかれた。

やばかった。

これは、ぎりぎり薄氷の上を歩いている感じだ。

しかし、あの野草、宿一泊分の価値があるようだぞ。

高くないか。貴重なのだろうか。


 世話された宿で、身の回りを整えた。

服を洗い、体、頭を洗い、ひげをそった。

食事は出てきたが、正直自分の野草料理のほうがマシだった。

薄い塩味で、あとは素材の味ばかり。

しかし、ちゃんとしたベッドで初めて寝た。


 まず、考えた。

あの野草はキーになるようだ。

ソードフィッシュの干物、ジャム、酒、果物、野菜は、町で売られていないか。

どのくらいか見て、高いようなら卸そう。

野草の煮びたしは、おそらくこの世界じゃ高級料理だ。

これは、自分使いで基本問題ないだろう。

はちみつは、売るほど確保できないから、これも市場を見て判断しよう。

あとは、自分の持っている技術だが、言葉がわからない。

売れるかどうか以前の問題だ。

今だってギリギリだぞ。


 まあ、手っ取り早いのはあの野草だ。

この辺を爆売りして、手っ取り早く現金を得よう。

それ以外は町でいくらで売ってるのか、見ても分からないのだ。

出たとこ勝負でこういう食料品のような商材は危険だ。

ボラれていても分からない。

言葉がわかるようになってからだな。


 さて、この後結構な頻度であの薬草を持ち込んで現金に換えた。

値崩れを起こそうが、知ったことではない。

そのあたりは、言葉がわからないのが幸いした。

あと、身振り手振りで、あの野草の加工方法を聞いたら、ある人を紹介された。

そこで必死で覚えたので、ポーションが作れるようになった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 祝 初錬金!初村人! 次話が楽しみです♪
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