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異世界転移の錬金生活123 酒づくり

 投げヤリ・イン・木の補助具は、非常に強力だ。

正直、何と戦っているんだ、お前は。

確かツグミのような小鳥を目指していたよな。

こんなもん、一発でつぶれてしまう。


 この兵器で戦う敵は、それこそ恐竜のような猛禽類だろう。

もしくは、マンモスやナウマンゾウの類か。

あと、おっさんの肩が一発で悲鳴を上げた。

自爆攻撃か、何と戦っているんだ、いったい。


 それから当然だが、投げ出した後の無防備さが痛い。

手には木の補助具のみ握りしめている。

体勢は大きく崩れ、近接戦闘はまずムリ。

敵の反撃を近距離で受けたらかなり危険だ。


 なるほど、これは集団戦でこそ生きる武器だね。

所謂タンク職の補助、ヘイト管理が必須だよ。

ツグミのような小鳥をだましだまし獲りたいおっさんには過剰すぎる。

肩の痛みで非常に不愉快になりながら、おっさんは思った。


 訓練を積めばいいのかもしれないが、命中精度の問題もある。

今のところどこに飛ぶかわからない。

小鳥のような小さい的に当てられるとは全く思えない。

そもそも、普通の時でもおっさんは視認できていない。

こんな動体視力で大丈夫か。

大丈夫じゃない。


 まだ見ぬ未知の魔物に期待しつつ、この兵器は封印である。

開発したこと自体には後悔はない。

このノウハウは、他で生きる気がするからだ。

投げヤリではなかった、ということである。


 とにかく、別の話題に行く。

はちみつの活用である。

一番は果実との組み合わせでジャムづくりである。

リンゴ、ブドウ、ウメなんかがよさそうである。


 細かく刻んでドロドロに煮る。

そのまま放置すると、酒っぽい感じにならないだろうか。

まあ、今回はジャムなので、はちみつに混ぜる。

相当甘いものができる。


 いろいろ作ってみて、いいバランスのものを選択。

はちみつがいらないくらい、そもそも甘くなった。

甘味に飢えていた。

結局、自分はまた泣いた。


 そうか。糖分もこれが初なんだ。

なぜかハチノコについては忘却している。

しかし、人間はそんなものだ。

印象がいいものだけが記憶されてしまう。

ハチノコはやっぱり都合が悪い歴史なんだろう。


 いずれにせよ、これで自分の食事事情は大幅改善した。

一味砂糖を入れたいときに、はちみつを一滴いれる。

途端に苦みが飛ぶ。

野草の煮びたしがちょっと変わる。

めちゃくちゃ贅沢な味なんだ。

塩一つまみ時も感動したけどね。


 ここで、自分は思い知らされた。

野草はうまい。

これが前世で普通に食べていた味わいだ。

前世は気づかず、非常に贅沢な味を堪能していた。

こういう気づきは、自分のような者にはきつい。

よくもまあ簡単に死を選んだものである。


 当然、酒のためにまたリンゴ、ブドウ、ウメを収穫した。

上記手順を繰り返し、少し真水を加えて放置した。

何週間後にちょっと酸っぱくなり、これはきていると喜んだ。

本当はこのあと濾して不純物を取り除きたいが、今は濁り酒を楽しんだ。

久しぶりに飲んだので、酔っぱらってしまった。


 酒としては非常に低級なものだった。

でも、これは保存飲料の変形としてとても重要なことだ。

少なくとも真水が腐るというようなリスクから解放される。

調味料としても使える。


 リンゴ酒、ブドウ酒、ウメ酒がそれぞれできてしまった。

今は、土器に詰めて日陰に保管している。

正直飲酒の習慣ができてしまい、外出がおっくうになりそうだ。


 いかん。堕落している場合ではない。

今自分があれこれ開発している理由を忘れてはいかん。

このあたりを整理した後、川の上流へ向かうためだ。


 たしかに、新拠点ヨシオは心地よい空間になりつつある。

隣の家をまるまる倉庫っぽくしている。

この辺がとても自由なのが、ここのいいところである。

切り出して持っていく予定の石材もためてある。

何度か雨も降っており、水不足は完全に解消されている。


 ときどきは港へも下りている。

海の魚をわなにかけつつ、塩を製造する。

塩はどうしてもそんなに多くは確保できない。

肉体的にも限界まで頑張っているのだが。


 はちみつは、結構な頻度でスライドさせてゲットしている。

こまめにやったほうが、ミツバチたちも気にならないようだ。

採られるのは日常、となったほうがいいようだ。

ためておいて一気に、とやるとやっぱり角が立つ。

威嚇飛行が始まるので、またなだめる感じになる。


 よって、スライド板は複数枚用意しておくようになった。

しかしこうなると、この場から動けない。

こういう違う問題で土地に縛られる展開になるとは思わなかった。

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