異世界転移の錬金生活122 武器の整備
前回は重ね重ね申し訳ない。
どうもいかんね。
虫を口にするという緊張感におっさんは耐えられなかった。
ただ、気持ちは分かっていただきたい。
ということで、カエル、トカゲも同様ダメだ。
前世で食う習慣がないものはやっぱりムリだ。
カエル、トカゲは特に、虫の状況を鑑みるに、ひどい色味ではないかと思う。
であれば、そもそも触っちゃダメな部類だと思う。
ということで、この辺りはいなかったことにしよう。
変に取り組んで、戻れないところへは行きたくない。
毒だけど妙に癖になる味だったりしてね。
あとで現地の人にも引かれる食生活とかは笑えない。
さて、のぞいた分があるのに諸兄は気づいているだろうか。
ヘビである。
まだ、出会っていない。
そして、前世で唯一食した経験があるものだ。
まあ、マムシ酒だけどね。
あと、長モノという観点ではアナゴ、ドジョウ、ウナギもある。
これらは、調理法によってはむしろご馳走になりうる。
ただ、毒という観点ではもっとも危険なヤツである。
それに前世の常識的なサイズとは限らん。
しかしここが重要だが、ここらは常識的な忌避感はない。
毒さえ気をつければ、むしろ試したい。
かば焼きなんかが再現できればいけそうだ。
はちみつはあるから、あとは醤油かあ。
大豆か、もしくは魚醤もあるのかな。
ただ、これもそれも出会ってからである。
実際、沼地のわなからドジョウやウナギが来てくれるほうがありがたい。
いまだにかからないところを見ると、このわなではダメなのだろう。
ビク部分がこれらの重量や圧力に耐えられない可能性が高い。
もしくは入らないほどでかいとか。
さて、今回は全然違う話題である。
鳥の類を弓矢等で狙ってみたい、である。
前回言った通り、猛禽類の類にケンカを売るつもりはない。
むしろ毟ってあぶれる程度の小鳥のたぐい、ツグミ等のことだ。
一番簡単にできそうなのは、パチンコの類である。
強いゴム紐が入手出来たらすぐにも作りたい。
こいつは、いろんな場面で手軽で万能である。
石によっては必殺の威力になるからだ。
次に簡単なのが弓矢である。
もちろん習熟に時間はかかる。
速射性は魅力だが、いうほど威力はない。
下手に強い相手に当てると、距離を詰められ手痛い反撃を受けやすい。
おっさんには近接戦闘はムリだ。
こうなると確実に穫れるものが望ましい。
そうするとボウガンの類ということになる。
ただ、この弩という兵器は構造が複雑だ。
城郭兵器としても有名なぐらい大型化する。
今の技術では自分にはムリだ。
同じ城郭兵器としては投石機のほうがまだしも実現可能性がある。
投石機というのは、パチンコの親玉のような感じである。
こうしてみると、遠距離攻撃武器というのはバリエーションが実はない。
何かを投げつけるというのは、結構手段が限られる。
ここで、投げつけるという語から、ひらめいたのは投げヤリである。
たしか石器時代後期に登場した、投げヤリに使う木の補助具がある。
投げヤリに引っ掛けて、威力飛距離同時に増すという仕組みだった。
あれを作って投げヤリを飛ばしてみるか。
もちろんおっさんの能力頼みではあるが、何とかなる気がする。
問題は投げヤリの量産だ。
投げてしまうわけだから、複数本所持が基本であろう。
この投げヤリの棒部分は、補助具のために規格を統一する必要がある。
木の補助具も、どんな形状だったかぼんやりしかわからない。
端に引っ掛かりがあり、丸い形が溝で掘られていたような。
半固定のような感じで、正直結構な精度が必要な気がする。
とりあえず現行所持しているヤリを改良した。
棒部分を磨いてできるだけ真円をめざした。
ゆがみがないか、何度も確認した。
偶然、現行ヤリは結構ゆがみが少ないみたいだった。
コイツをプロトタイプとして量産していった。
結果満足できそうなものは、三本しかできなかった。
今度は、木の補助具づくりである。
これは、木の根っこ部分を上手に活用した。
引っ掛かる部分が一番力がかかる。
継ぐ方式だとすぐにへし折れるだろう。
根っこ部分を削りこむ形で、引っ掛け部分にした。
軸部分には丸い形を溝として掘った。
丸い形はヤリ棒部分の径に合わせた。
ここはこだわって作りこんだ部分だ。
そのあと、広い空間へ出て、実際に試してみた。
飛距離や威力がどの程度変わるのか見たかった。
もちろん、不器用なおっさんには大変な苦行だった。
すぐ肩が痛くなり、上がらなくなった。
しかし、その甲斐あって目に見える形で成果が出た。
ズドン。
こういう音が自分の作ったヤリから出ている。
相当深く地面に突き刺さっている。
引き抜くのに難儀するレベルであった。
あれ、何でこんな兵器を作ったんだっけ。




