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異世界転移の錬金生活118 ある到達点

 そろそろ解禁してもいいかもと思っているものがある。

果実である。

正直、果実は結構食べても平気なものが多いはずなのだ。

もともと生物に食べてもらって種を運ばせる仕組みだからだ。

ただ、ときどき、種には毒がある、とか。

この果実は人間には害がある、とか、あった気がする。

その場合は、ほかの生物が主の拡散元なのだろう。


 しかし、果実はおいしいため、結構食べてしまってから異変に気づくわけだ。

気づいた時には吐き戻すには手遅れ、とかありそうだと思ったのだ。

異世界であるため、こちらの常識が通じない、とも思っていた。

あと、単純に熟しすぎている、傷んで腐っている、等で、

おなかを壊すデメリットがある、と思っていたのだ。


 この辺りは、今なら十分対応可能だ。

そういうわけで、これからは果実も使っていこうと思う。

まあ、酒を造ってみたいのだ。

リンゴ、ブドウ、ウメっぽいものを摘んでくれば、イケると思う。

それ以外にも、果実を使えればジャムとかも作れる。

甘味はこれで手に入れるしかない。

はちみつをゲットできれば、と切実に思う。


 実は野草野菜に関しては結構追求されている。

まだまだ手が出ないものも多いが、それは確信が持てないせいだ。

あれに似ているけど、ひょっとしてあの毒草かも。

あの毒草は一回痙攣しだしてやばかったな、とかね。

なんとなく、やばい気がする、とかね。


 まあ、お察しの通り何度かやらかしてはいるのだ。

唇の辺が荒れだす、痙攣する、このあたりで吐き出す。

真水を飲んで、すぐのどに手を入れゲーゲー戻す。

例の薬草をしがんで、いつもよりゆっくり吐き出す。

これでなんとか持たしているのだ。


 病院もいけないこの状態では、こんなことでもするしかない。

だからこそ、非常に魅力的だがキノコはダメだ。

どうもキノコは見たことのない種類が多いのだ。

やばい色をしていればまだしも、そうでもない。

実は異世界かもと疑問を持ち出したきっかけでもある。


 穀物はまだダメだ。

ひき臼にかけて粉にしたり、米粒の脱穀等、収穫した後、より分ける手間が多い。

穀物は大量に必要で、かつ食料化できるのは、ほんの一部だ。

穀物に見えるけど実は毒草というパターンもあった気がする。

つまり、リスクの割には、すごく食べられる分が少ないわけだ。

これに挑戦するぐらいなら、ドングリやクリのほうがましだ。


 日本人としてはコメ気になるけどね。

解決すべき課題は多いし、結構技術的な問題なのだ。

実は、コメというのは贅沢な食い物なのだ、と実感した。

水田や畑さえなんとかできれば、解決できそうだけどね。

実はそうでもないのだ。


 塩を手にして、やや気持ちが落ち着いた。

いったん、新拠点ヨシオに戻ろうか。

海の魚もわりに無難なアイツの親戚みたいなやつを手にしたし。

実は海の魚は、どんなものがいるのか、よくわからない。

沖まで泳いでみる、とかやってもよかったのだが、

正直、若くないおっさんの自分は及び腰である。


 とりあえず状況の急変を繰り返す、ここの所の生活に疲れてきた。

他者との邂逅はお預けのままだが、とりあえずの成果としたい。

新拠点ヨシオと、港、今までにこさえてきた拠点二つほど。

ここらの往復をしながら、少しづつ充実させようと思う。


 拠点の間も、今思えば何か過ごせる簡易の施設でも作ればよかった。

これから戻りながら、そのあたりも考えようと思う。

どのみち、新拠点ヨシオで充実した生活を送りつつ、

時々港に出て物資を調達し、物量を整えたのちになるけど。


 じつは森の中も能動的には探検していない。

森の拠点を充実させつつ、このあたりもやっていこう。

人里の手掛かりが意外とここにあるかもしれない。

泥川にしても、上流側はちゃんと調べていない。

上流側が過ごしやすいとはとても思えないが。


 山脈になっているのか。

それとも緩やかに泥川が流れているだけなのか。

それだけでも確認したい。

山の峠を越えた向こう側に別の世界が広がっている。

そこが実は人里だった、なんてことがあるかもしれない。


 自分はまだ、そういった希望を捨てていない。

とりあえず、泥川の海側の探索はおおむね終わった、というだけなのだ。

まだまだ調査しきったというには、やれることが残っている。

新拠点ヨシオを得たことで、気持ちは楽になった。

ここなら生活を積み重ねれば、物資の貯蓄ができるだろう。


 それにしても、泥川はいつもキーになっている。

行く手を阻まれ、生活を整えるきっかけができ、右と左に常に指標ができる。

逆にいうと、損もこれでさせられているのだろう。

たとえば、ここに橋でもかかっていれば、この先へ踏み越えていけるのだ。

あたりの沼地もそんなに気にならずに踏み越えられるはずである。


 正直異世界というにはあまりにも、魔物等のイレギュラーはない。

他者に追いつめられるどころか、そもそも他者に出会わない。

野草や木々はそれなりに親しんできたものが多い気がする。

違和感があるのは例の野草とアイツとキノコだけ。

他にもあるのかもしれないが、おっさんは注意力が散漫なのだ。


 いずれにせよ自分が言いたいのは、これだ。

実はこの異世界は、結構地球と似た環境ではないのか。

少なくとも、命の危機に陥ったことはあまりない。

野生生物や魔物にはほとんど出くわさない。

人間はこれらに恐れられているのではないか。

であれば、リスクを恐れず、人里調査を真剣に取り組むべきだ。

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