あくまでアクマは良魔にこだわる124 利リス公正
自分はどうも利リス公正が好きだ。
正確には彼の才能と能力を愛している。
性格的には、うん、合わないような気はする。
前回語るにもれていた部分をまず話したい。
アギ藩も加わって六月二十六日にサツトゲー盟約が成立した。
サツト盟約は九月七日に「イカロス号」事件の処理のせいで解消してしまった。
「イカロス号」事件の下手人は、フクイ藩士カネ子才吉という御仁だった。
トサの容堂(ヨード-)公の働きかけがついに届いた。
将軍トク川慶喜公は、十月十三日にニ条城で大政奉還を諮問した。
翌日明治天皇陛下に上奏し、十五日勅許が下された。
自分のここまでの任務がようやく終わった瞬間だった。
十月二十四日、容堂公の書状を持ってフクイ藩へ向かった。
マツ平春嶽公の上キョウを促して、利リス公正さんと会談した。
十月二十八日フクイ藩に到着した。
奏者役のバン圭三郎が来たので、象二郎から預かった書簡を渡した。
八月二十五日のマツ平春嶽公宛ての容堂公書簡である。
自分の役名を聞かれ、海メン隊総官と答えた。
その日の夜、大目付、ムラ田巳三郎が来て、用向きを問うた。
近頃の時勢などを申し上げた上で、フクイ藩のご意見をうかがった。
およそ明白な国論を海外までも伝えるべきだと考えていることを伝えた。
さて、この度こそ自分たちも御国論をうかがうことを心から願っている。
ムラ田さんが、こうフクイ藩では考える、という。
春嶽公の出キョウは十一月二日に決定だが、多忙なのでお目にかかれなかった。
しかし、国論をうかがいたい旨は、ムラ田より申し上げる。
そうなれば、春嶽公の出キョウ後、かれこれ手順もあるだろう。
将軍家が政権をお返ししたとなれば、将軍の職も共にお返ししなければならない。
そうでないと、ご反省しているといっても天下の人心の折り合いがつかない。
翌二十九日奏者役のバン圭三郎が来て、返書を受け取った。
三十日の朝、利リス公正さん及びマツ平源太郎が来た。
ただし利リスさんへの面会願いは、昨夕ムラ田さんに頼んだことだ。
利リスさんは罰を受けて幽閉されており、他国人に面会は堅く止められていた。
よって藩政府の議論により、藩主側中老、源太郎が差し添えられた。
利リスさんが来た時、源太郎を見てこう言ったので源太郎も共に笑っていた。
「私は悪党ゆえ君側より番人が参った。」
それより近ごろのキョウの情勢を前後残らず談論し、話し尽くした。
深くお考えいただきたいが、利リスさんはこういった。
将軍家が真に反省すれば、どうして早く形をもって天下に示さないのだろうか。
幕府は失策ばかりでその上言葉でいうだけでは、天下の人が皆信じないだろう。
これより国で用いる金銭の事を論じた。
春嶽公が政事総裁職だった時、利リスさん自ら幕府勘定局の帳面を調べた。
幕府の金の内情は、ただ銀座局ばかりで気の毒がっていた。
お聞きおきいただきたいが、総じて金銀物産等の事を論ずるには、この利リスさんを置いて他に人はいない。
十一月五日キョウに帰り、フク岡藤次郎に春嶽公の御返書を渡した。
大よそ右のようなことだ。
近日、中ネ雪江さんは、春嶽公のお供。
村田さんはフクイに残る。
他の家老はかなりの者がキョウへ出るそうだ。
十一月五日、象二郎宛ての手紙である。
帰キョウ直後書いた「越行の記」といわれるものだ。
利リスさんの新政府入りを推薦するものだ。
十一月十日フクイ藩士、中ネ雪江さん宛ての手紙もである。
これも、利リスさんの出仕を懇願するものだ。
内容的にはかぶるため、載せない。
さあ、ややこしい問題が残っている。
自分はこの辺りで死ぬのだ。
まあ、このあと十二月十日、オウ江屋で額を切られて自分は死ぬ。
折角手に入れた吉行の刀は鞘が傷つき、抜かれることもなかった。
オウ江屋事件である。
資料によれば、こうなっている。
自分は宿にしていたオウ江屋、新助宅母屋の二階にいた。
中オカ慎太郎、従僕の藤吉とともに暗殺される。
見廻組の与頭、ササ木只三郎とその与力六人(イマ井信郎、ワタ辺吉太郎、タカ橋安次郎、カツラ早之助、ド肥伴蔵、サクラ井大三郎)が下手人とされている。
実態としては、こういうことになる。
ホノカというドラゴンは空が飛べる。
自分を守るためなら、彼女は何でもやる。
自分も妙な能力のため、そう簡単には死なない。
前世の記憶を見られる第三の目の話をしたと思う。
詳しく能力を話してはいないけどね。
イヤ正確を期すなら、知らないので話せなかった。
何ができるのかよく知らなかった。
第三の目というのは額についている。
そう、自分の頭部への攻撃はココなのだ。
つまり外部から相当強い刺激を受けてしまったわけだ。
これによって完全に覚醒してしまった。
それによってわかってしまった。
死んだふりをしろ、とその目は命じてきた。
この先の運命がある程度視える、というのが能力だ。
それに従い、葬儀までじっとして過ごした。
ホノカとともにその後、姿を消した。
ホノカというドラゴンは状況を理解していた。
殺される運命が迫っていたのも知っていたようだ。
だからこそ、死んだことにしてこれ以上狙われないようにする。
ややこしいことになってしまったものだ。
この容姿は気にいっていたんだが、変えないとな。




