異世界転移の錬金生活117 塩田づくり
砂糖については、なんとかなる気がしている。
はちみつがその代用になる。
はちみつは、森でミツバチに出くわせば、あるいはすぐにでも手に入る。
今のところ、出会っていないわけだけどな。
それがだめなら、サトウキビの類を水辺で探す手もある。
あとは、どんな調味料にせよ、大体穀物系なのだ。
代表は大豆である。
酒もだいたい穀物系なのはいうまでもないだろう。
野草の中にも、調味料になるものはある。
いわゆるハーブの類である。
自分もそれっぽいものを見かけると優先的に試している。
しかし大体は染料や着色に使う類が多い。
あと、前にさらっと書いたが、油の類も細々とではあるが試し中である。
何がどうとはなかなか書きづらい。
自分のシャツをがっつり汚して絞ったりしている。
なんだか自分の油分まで入っているようで、なんだか気持ち悪い。
あと、たいまつができるほど大量には採れない。
石鹸の類が関の山である。
あと、口に入れるにはなかなか勇気がいる。
油物は作ってみたいし、そもそも野草といえば天ぷらである。
しかし、大量には採れないのでできない。
天ぷらに必要な小麦粉、卵がないしな。
素揚げぐらいが関の山だ。
しかし、自分のシャツが犠牲になる、というのは鬱になる。
今でもそれを洗ってそのまま着ているのだ。
しみついて取れない汚れも正直ある。
さっき染料や着色の話をしたのは、身をもって経験したからだ。
何枚もシャツがあればどんどん試すんだが。
布地はやはり必須なのだ。
あと、持ち運び用のリュックの類を服を使い作ってみようと頑張ってみた。
しかし、そもそも布地を上手にカットするはさみの類がない。
石器ではさすがにこの辺はきついし、失敗するとただただ切ない。
裁縫の類が得意だったら、この辺も上手に乗り切っているのか。
ああ、鉄のインゴットにする前のナタで、切ることはできたかも。
今更後悔しても遅いが。
鉄のインゴットは今、火打石の女房役をベルトに代わってやっている。
ああ、ベルトの金属部分もインゴットにできたな。
ただこれは、純粋な鉄であるとは限らない上に、正直後悔しそうだ。
ベルトは、最近痩せてきた自分には必須になりつつある。
あんまり火打石をこすっていると金属部分が傷だらけになる。
さて、話を戻そう。
塩を簡易塩田にて作成しよう、である。
しばらくやってみて気づいた。
海水をかけて、乾いたタイミングで再度やらないと、意味がない。
ひたすらかけ続ければいいというものではない。
つまり、領域を絞っても、楽には全然ならない。
むしろある程度広い範囲を回りながらやると効率的である。
しかし、広い範囲を塩田にしてしまうと、その後の回収作業が地獄である。
腰が痛くなるまでに、時間はかからなかった。
そのうえ、その土にしか見えないものから塩を取り出す手間がある。
結局、その中のほんの一部を回収してみた。
この土と海水を混ぜて壺に入れて煮だしてみる。
水分が完全に抜ける。
やっと結晶化した塩にほんの少しなった。
これは、相当大窯で、大量に煮出さんと意味がなさそうだ。
塩田農家さんは、これを連日続けているのか。
ああ、自分にはとても根気が続かない。
そんなことより、考え方を変えるか。
潮の満ち引きを使えないか。
海水の通り道を人工的に作って、出入りを制限したらどうだ。
制限したあたりが勝手に塩味の強い土にならんか。
ううむ、やってみるか。
海水をひたすらまき、それをひたすら回収するよりずっとましだ。
潮が引いたときに土を掘り返して道を作り、満ちたときは沈む。
あとは、この道の部分にたまるものを回収する。
しばらくやってみると相当この道の部分は濃くなっている。
煮出すとすぐに結晶化した塩になった。
結構な量だったので驚いた。
もちろんさっそく準備した塩用壺に収めた。
そうとう質の悪い塩だが、自分使いならこれでよい。
さっそくアイツの干物に塩振って焼いて食った。
やべえ味だった。うますぎる。
ちなみに、わなはやっぱりちゃんと機能し、小さめの魚を捕まえた。
この海の魚は例のアイツと同系統のヤツだと思う。
ただ、すでに塩味がついているため、アイツにはないうまさがある。
先にこれを食っていたら、自分はアイツの価値に気づかないだろう。
そういう意味では、これでよかったのだという気がする。
塩にはもう一つ重要な機能がある。
そう、保存食である。
特に野草の類は、これで絞めて漬物のようにして保管できる。
すでに結構なレパートリーがある野草なのだが、
これで漬物向きの野草にも手が出せそうだ。
例の野草は、相変わらず生でしがんで吐き出している。
なんとなく、そういう習慣になっている。
あと、これは、という野草の根や茎を最近は試している。
大根っぽいものとか、ゆり根っぽいものとか。
このあたりも、当然いい形に切って塩で漬物にした。
毒だったら、ととても怖かったが、非常にうまくて助かった。
この辺りは、栽培してもいいかもな、と思った。
ただ、日本のものとは比べ物にならんけどね。




