異世界転移の錬金生活525 結婚式
おっさんは憂鬱だ。
唯一のとりえといってよい性欲が減退気味だ。
自慰をする気力もなくなってきた。
前回に引き続き、例のカギがおっさんに効いてきている。
歳甲斐もなくおっさんが恋に落ちている。
イヤ、むしろ老いらくの恋は質が悪い、と相場が決まっている。
ホノカちゃんの見た目年齢がそういう印象をますます強くする。
ロリコンじゃないよ、断じて。
死後の遺産相続でもめたりするのも、大抵こういう問題だ。
おじいちゃん、若い娘に騙されてキモチワルイ。
あんなに反対したのに、情けない。
亡くなった後、遺族に罵られている姿が目に浮かぶ。
おちおち成仏できない環境である。
そもそも娘的存在として、そばでずっとおっさんを支えてくれたいい子である。
命の危機を救われたことも一度や二度ではない。
浮気性のおっさんのことをずっと見捨てることもない。
娼館で遊ぶおっさんを町の外でずっと待ってる健気な子なのだ。
いかん、好きになる要素しかない。
ミユキさんは相変わらずだ。
つまりおっさんと二人になるとすぐ、ぬぎぬぎポロンである。
口を半開きにして食べたそうな顔をする。
おっさんの股間をじっとアツい目線で見つめながら。
絡新婦という字を当てた人は天才だ。
付き合っていると、いつか喰われてしまう。
これに煽られている面もあるかもしれない。
おっさんは意識的にできるだけホノカちゃんといようとするからだ。
グレゴリーズとは、やや距離感がある。
なんせ宇宙人で、自分の感覚では神社の神様だからね。
温泉施設を整備したおかげで、天浮舟を何度も見る。
そのうちに、むしろ自分たちとは違う存在という認識が強くなった。
違和感がぬぐえないがホノカちゃんとの高速輸送を大事だと思うようになった。
ホノカちゃんの珠が自分だというなら、それは縁起のいいことなんじゃないか。
何せ彼女は竜神様なんだから。
温泉で無邪気に全裸でおっさんと過ごしている彼女は平和そうである。
ヤラしい感じなんてみじんもない。
おっさんだけがあくまで不浄な魂として、ここに存在している。
娘的存在に恋をしているなんていう、キモチワルクおかしなことになる。
バカバカしいと自分でも思う。
それでいてミユキさんの挑発でしっかり大きくしているのだ。
たまっているのは変わらない。
リリス様たちは元気だ。
子供を増やすような気配もない。
おとなしく巣箱の中でみんなにかわいがられてすくすく育っている。
正直、一番手間のかからないいい魔物だった。
白の賢者といわれているだけのことはある。
おっさんはちょっと妄想していたのだ。
リリス様なんて名づけてサキュバスやらヴァンパイアやらに育ったらどうすんだ。
ミユキさんみたいな子がまた増えるみたいな妄想をしていた。
いろいろ体液をすすり取られるイメージが実にけしからん。
ちょっとワカ町のアカナさんを思い浮かべてしまったが。
もちろんそんなことは起こらない。
ただただかわいい白ウサちゃんなのだ。
雪女や雪ん子の妄想で、悶々としていたのを思い出した。
リリス様たちはそういう意味で、昔から期待を裏切ってくるスタイルだった。
よく考えたらおっさんの都合の良い妄想など、いつも裏切られっぱなしである。
グレゴリーズにいってみたら、結婚式をやろうといい出した。
儀式として粛々と進めて、気づいたら初夜だった、という展開が負担もない。
さすがにそうなってしまえば、お互い覚悟も固まるわけだ。
初夜はできれば、天浮舟内で研究の素体にもなっていただきたい、といわれた。
種の壁を越えめったに起きない実験ができるので学究肌としては外せないそうだ。
宇宙人だからといって、何でもわかっているわけではない。
おっさんはいわれて初めて、重大性に気づいたけどね。
種の壁を越えて妊娠させる覚悟でドラゴンとエッチするのだ。
おそらく見たことのない種が新たに誕生する可能性が高い。
それはおそらく新たなる人類として、この世界に残っていく。
できれば雌雄二体以上は作らないと、子孫を残せない。
雪ウサギ様と同じ話に自分がなるとは思わなかった。
そこからは大変だった。
各関係者や関係の深い方々に出席をお願いして回った。
ホノカちゃんはもちろん全面協力してくれた。
グレゴリーズは、結婚式の準備や初夜の準備で大わらわだった。
特に、天浮舟の実験病棟は全面稼働状態らしい。
結婚式は、普通に新拠点ヨシオで大々的に行われた。
例のガキにはつらい責任を押し付け、オトナは勝利を叫ぶアレである。
なぜか、グレゴリーズがホノカちゃんに寄り添って親のように泣いていた。
ミユキさんやミカさんミナさん、ウズメさん、ウズラさん、リリス様も嬉しそう。
ミツバチさんたちは歓呼の舞を見せてくれた。
サノくん、ルシフェル様は贅沢品専門の商人にかわいがられている。
神父役は医療施設のおっさんである。
サポートにグレゴリとミカエル君が回っている。
はっきりと男女に割れていて、なんだかおかしい。
いい歳をして結婚式というのが、いかにも気恥ずかしい。
そのあとは天浮舟の実験病棟にて初夜開始である。
ホノカちゃんも自分もめちゃめちゃ緊張した。
特に初めて入る天浮舟に、おっさんは緊張感で勃ちそうにない。
例のカギを何度も見つめていると、なぜかちょっと自分の中で安心した。
周囲のさあ今ヤレ、今日妊娠させろ、という無言の圧がスゴイ。
グレゴリーズも完全に興味深い実験素体としてしか自分を見ていない。
いかんぞ、学究肌のいかんところが出ているぞ。




