表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/179

異世界転移の錬金生活521 因幡の白兎

 おっさんは、今面倒なことに気づいてしまった。

因幡イナバ白兎シロウサギである。

シロウサギといえば、雪ウサギ様のことではないのか。

確かサメか何かに襲われてひどいことになったのを助けるんだったか。

どう助けるのか、いまいち覚えていない。


 確かオオナムチに認定されるには、必須のイベントじゃなかったか。

シロウサギを助けることで、ある女性との結婚の道が開けるのではなかったか。

女性の名前はいまいち覚えていないんだが。

雪ウサギ様を何らか助けることでエヴァとの結婚の道が開ける可能性がある。

その後幸せになったかどうかは、いまいち覚えがない。


 問題は、おっさんは今まで雪ウサギ様に厳しく接してきたことである。

覚えているだけでも、五つは雪ウサギ袋(冷蔵機能付き)を作った気がする。

おっさんはバカだから、他にも何か忘れている可能性もある。

因幡イナバという地名に何か意味があるのだろうか。

スクに聞いておいたほうが、後で問題が起きない気もする。


 まあ気づいたけど、物語の骨組みぐらいしか記憶がない。

物語の細かい部分の記憶に不安があり再現性が低くなるのは避けられそうにない。

前世と今世の歴史に違いが生じても、実はそれほど問題はない。

問題は、女性との結婚の道が開けたその後がいまいちはっきりしないことだ。

おっさんは幸せになれるのだろうか。


 あと、前世との大きな違いはココだ。

雪ウサギ様は、前世のシロウサギとは戦闘力が違う。

サメに襲われたぐらいでは、へこたれない気がする。

ひどいことになるほど雪ウサギ様を追いつめる敵から助けなければならない。


 今世で雪ウサギ様を追いつめる敵というのは、グレゴリである。

彼から助けるなどという大それたことは、おっさん考えられないぞ。

おっさんは大丈夫か。

生きて帰れるのだろうか。


 あとね、助ければ助けたで別の問題が発生する。

ティムした雪ウサギ様の処遇である。

どこで飼うの、どこでホノカちゃん等との多頭飼いの折り合いをつけるの。

ホノカちゃんとミユキさんのような話がさらにややこしくなる可能性が高い。


 冬の雪担当のミユキさんは雪ウサギ様が仲間になるのはきっと複雑じゃないの。

これが雪女や雪ん子だったら、もっとおかしなことになっただろう。

どうもホノカちゃんとミユキさんにしても平和的な関係ではなさそうだ。

森の中に隠しきれない抗争の爪跡がある。


 三つ巴の胸部装甲戦争が勃発してもおかしくない。

なあ、オオナムチはあの後本当に幸せになったのか。

気になって仕方がないのだが、覚えていないのだから仕方ない。

バカだよな、もっと勉強しときゃよかった。


 面倒なことになっただろう。

気づかなければよかった。

アシハラノシコオを思い出したからこそ、気づきが生じた。

ここでよもや、雪ウサギ様が再登場してくるとは思わなかった。


 例のタケシウチは、意外と難易度が高いパズルのようなダンジョンだった。

今までの不行状に、反省や後悔を強いてくるスタイルである。

妙なフラグが立たないように、攻略本必須である。

先にいえよそういうことは、というヤツである。


 例のいけ好かない兄ちゃんの顔が、なぜか思い浮かんだ。

まあ、このイベントに関しては時間制限はなさそうだ。

情報をしっかり集めてから、ゆっくり考えよう。

スクにイナバについて聞くのが先かな、イベント進行的にも。

宇宙に行くのはいまだに拒否感があるんだが。


 あと、ここが大事なんだがオオナムチ認定をおっさんは望んでいない。

こんなものをいただくと、今まで以上にいらんイベントが起こる気がする。

オオナムチというのは、えらい政治家になる人だったはずだ。

おっさんが抱えている話は今でさえそんなことは政治家に聞けという話ばかりだ。

前世の滅んだ原因とかなんだとか、おっさんが知るはずがない。


 そういうわけで、今のところはおもしろ話の範疇である。

おっさんはよっぽどの動機がないと、因幡イナバ白兎シロウサギ救出作戦は決行しないと思う。

グレゴリを変に巻き込んで、イベントのための茶番を命がけでやりたくはない。

何度もいうが、雪ウサギ様に関しては失敗したら悲惨なことになるからだ。


 話は変わるが、レッツSHINE!という言葉がある。

自殺を毎日考えていた時代のおっさんには、これが頭にしみついている。

英語を訳せば、輝け!もしくは輝こう!なんだが、日本語で読むと死ね!もしくは死のう!なのだ。

これぐらい与えるイメージが真逆なものも珍しい。


 何かで見て映像が脳裏に焼きついてしまい自殺した時のイメージもコレだった。

カッと輝いてそのままこの世から消えてなくなるイメージになってしまった。

下らん語呂合わせにしては、インパクトが相当でかい。

おっさんみたいなことを考えたことのある人は結構いそうである。


 そしておっさんの中にある人類の滅亡イメージもやっぱりコレなのだ。

カッと輝いてそのままこの世から全員消えてなくなるイメージだ。

最終核戦争やらのイメージがまさにこんな感じなのである。

アニメやらマンガやらでこんなイメージがついた気がする。


 実際どういう感じに死んでいくかはその人のいた場所によって変わるだろうに。

死の苦しみが長い人短い人いろいろだろうに。

痛え状態が長い人にとっては、まさにこの世の地獄だろう。

いいたいことは一つしかない。


 イメージで残酷さを中和しようとするのは、かえって危険だ。

血が飛び散る描写がよくないといって表現を削ったり規制するとかえって危険だ。

それは絵空事でウソだからだ。

光で浄化されたみたいに、キレイに人類が滅亡できたはずがないからだ。

自殺したおっさんがいうんだから間違いない。


 あと死はおっさんにとっては個人的で私的なものだ。

それが積み重なったり多くなったりするだけで、あくまで個人の問題なのである。

多くの他者が死んだといわれてもおっさんは自分の死をあくまで見つめるだけだ。

人類の滅亡も、今のおっさんにとってはなんだか他人事にしか思えない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ