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異世界転移の錬金生活511 タロット追加パック

 おっさんは困っている。

前回の話とは関係ないダンザおやじの案件である。

端的にいうと、タロットに自分の娼館メンバーを登場させたい。

案を出して、彼女たちをモデルにして追加パックを作れ。


 しかしおっさんは知っている。

タロットの大アルカナは二十二枚で固定である。

追加パックと簡単にいうが、占い内容を新規に考えねばならない。

前出したヤツと内容が被っていたら、マズイわけである。

いっそ突拍子もないネタのほうが楽である。


 最初は、教皇、女教皇、正義、節制を差し替えればどうかと話した。

ワカ町の人にとっては、その方がなじみ深いだろう。

しかしもはやワカ町の人たちにも、タロットの絵柄は定着してしまったそうだ。

ここを差し替えるのは、手間もかかるし喜ばれもしない。


 困ったあげく、グレゴリーズとうんうんうなってひねり出した。

二一番は宇宙コスモ、カルリさん。

二二番は叡智アカシヤ、アカナさん。

二三番は超能力サイキック、ミオさん。

二四番は生命ライフ、モミジさん。


 二一番は世界とかぶっている。

どちらか選ぶか両方使ってもよい。

見ていただけばわかるが、宇宙っぽいブッ飛んだ概念ばかりを選んだ。

占い内容を新規に考える場合、このほうが考え甲斐がある。

対戦タロットに関しても、インフレさせるにはこれぐらいのハッタリが要る。


 占い内容は、バカなおっさんにはきつい内容ばかりだ。

スターシードやらアカシックレコードやらライトワーカーやら世界樹やら。

宇宙人によるSFのような話はついていけない。

現地のオトナたちは、ついてこれる話題なんだろうか。

まあ大丈夫な気はする。

好きこそモノの上手なれ、という話だろう。


 対戦タロットに関しては、ダンザおやじと詰めた。

自分のところの女の子だから、考えてやりたいだろう。

結果としてインフレ気味のカード群になった。

すべてが無になるとか、シャッフルし直しとか。

スキルが反則気味である。


 この辺りを詰められて完成となった後は、サクヤさんが一気に描いた。

相変わらず見事である。

必死でそれを四種類の版木に起こして印刷してみた。

サクヤさんは相変わらず色味に厳しい。

完成させるのに、結構な日数がかかった。


 ああ、ちなみにサクヤさんは当然、ワカ町の娼館メンバーとは面識がない。

わざわざ描くために、新拠点ヨシオに来てもらったぞ。

グレゴリーズに、ああなるほど、みたいな白い目で見られたぞ。

特にカルリさんは豪華な花魁みたいなスタイルなので、こういうのが好きなんだとしつこくいわれた。

その割にサクヤさんの芸術家魂に火がついているから、さすがである。


 どうなったかというと、またヒットした。

特に、また悪魔式の商売方法に戻ったのがよかったようだ。

例の射幸心をあおるような商法である。

ガキの間でメンコ遊びがまた再燃しているのを肌で感じた。


 対戦タロットはやっぱりひどいインフレが起きている。

このカードのスキル禁止というルールができるほどだ。

ただ今回は四枚の追加パックだから、社会に与えた影響は軽微だった。

集めきった人から情熱が醒めていく。


 タロット占いの追加パックの方は、まとめて販売だしね。

しかしおもしろいことに、本体もそれに従って売れた。

もうボロボロになっちゃったから、とある奥様がいっていた。

熱心な人はどこにでもいるものである。


 そういうわけで異世界では二五枚もしくは二六枚がスタンダードになった。

こだわる人ほど、二六枚のフルセットで宇宙と世界を区別している。

バカなおっさんなんかより普通に、SF的世界観を楽しんでいる。

私たちは宇宙の愛でできているのよ、とかいわれて困った。


 宇宙人がルーン占いの数に合わせた結果二五枚が妥当と判断したそうだ。

カードの右肩に謎の記号がついているが、ルーン文字だそうだ。

ちなみに星占いのマークもついている。

いろいろ占い要素が入っているということがわかった。


 ただね、めちゃ分厚くなって切りづらいぞコレ。

トランプとして作っていたころは、こんなことになるとは想像していなかった。

ヒットして儲かるから、やり甲斐はあるけどね。

ただのトランプだったら、こんなにウケたかわからない。


 あとダンザおやじはやっぱり人が悪い。

まさか例の悪魔の商法まで復活させるとは思わなかった。

あんなに後悔している感じだったのにな。

イケると思うと止まらなくなるタイプなのは、一生変わらないんだろう。


 人間は成長なんかしないのだ。

おっさんは、相変わらず両娼館に料理を卸しているぞ。

帰りに、得た金品を結局両娼館に投入してしまっているぞ。

相変わらず、グレゴリーズに耳を引っ張られて、宿六亭主だといわれるぞ。

変わらないのだ、いわれたってね。


 ちなみにワカ町娼館メンバーも、タロット占いは大好きである。

自分たちも出したい、とどうもダンザおやじに直談判したようだ。

そうじゃないと、仕事もあるのにわざわざ描かれに新拠点ヨシオまで来ないよ。


 考えてみると、タロットは両娼館のブロマイド画集みたいなもんである。

両娼館の宣伝には確実になるだろうし顔を覚えてもらう等いいことは多いだろう。

江戸時代の役者絵や花魁絵を求めるような需要が眠っている可能性はある。

カッコイイ人、カワイイ子の絵が欲しいという話は、異世界でもあるだろうな。


 まあ愚者のおっさんには無縁のネタではある。

絵で見ても、この辺のギャップがスゴイ。

カッコイイ人、カワイイ子の中に急におっさんが出てくる。

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