異世界転移の錬金生活509 名づけ
おっさんはクマ親子の名づけをとうとうした。
区別して語る機会が多くなってきたからだ。
クマままとだけいってきたが、これも名づけではない。
単に子供との差別化を図って表記していただけだ。
クマままはミカ、クマ子供はそれぞれ、ミナ、サノと名づけられた。
由来は、タケミカヅチ、タケミナカタ、アマノサヅチ。
グレゴリーズがワイワイ話し合ったあげく、こういう名になった。
信州諏訪での大事件が由来だといっていた。
グレゴリーズがいうには、押し出しの強い方の子供は女の子らしい。
だからミナとつけた。弟はサノである。
お姉ちゃんは結構弟に厳しくあたっていた。
よくあるパターンではある。
明らかに食生活に恵まれた姉は、弟より一回り大きい。
アマノサヅチは、つまり以前出てきた打ち出の小槌のことらしい。
古代に警察のような一族がいて、その人たちが持っている刑罰の武器らしい。
なにか悪いことをすると、コイツで小突かれるということだ。
やっぱり実在してやがったのだな、クワバラクワバラ。
おっさんはこれで小突かれて、小さくされる刑罰を受けるとこだった。
ニ〇スのふしぎな冒険とか、いっている場合ではない。
イッスン法師は、やっぱりなんかの罪に問われていたのか。
最後に元に戻してもらえたのは、刑期を無事勤めた判定でも受けたからか。
昔話がおおらかなものだったなんて、思わんほうがよい。
ちなみに、サノというのは神武天皇の本名だそうだ。
いろいろ意味を込めて、強い子に育ってほしいと願っている。
賢そうな顔はしているんだけどね。
名前をつけたが、別にそれで関係性が変わったりはしない。
今回グレゴリーズがピクシーちゃんは火華、アラクネさんは美雪と名づけた。
かわいい名前だろ、おっさんも気に入ったので使っていくよ。
よく考えるとピクシーちゃんやアラクネさんなどマトモに名づけをしていない。
考えてみるに、おっさんのセンスの悪さがある。
ほっとくと、おっさんは犬猫のような名づけをしてしまう。
ポチとかハナとかタロウとかのひねりのないヤツだ。
最初のメンバーがミツバチさんだったため、名づけ自体をあきらめた気もする。
どの子がどれなんだか、おっさんは見分けられる自信がない。
今思えば、女王バチぐらいはちょっと偉そうな名前でもつけてやればよかった。
ダンシングクイーンとでも、いっとけばいいのではないか。
またセンスの悪さをナチュラルにアピールしたところで、この話は終了である。
おっさんはポ〇モンでも基本デフォのまま楽しむタイプである。
二匹目以降にめちゃくちゃ悩んだあげく、区別自体が面倒になるタイプでもある。
あと重要なことがもう一つある。
他のピクシードラゴンやらアラクネやらの個体がいれば考えたくなると思う。
ピクシーちゃんにしろアラクネさんにせよ、他に見かけない。
つまりいいわける必要性が今のところないのだ。
そうそう、例のカギだが、いまだに使用法がわからない。
なにか忘れていることはないか、倉庫を何度も見回ったりした。
例えばおっさん専用モ〇ルポッド(血の出るような赤)の内部とかね。
これで起動しないと、実はおっさん操縦できない仕様だとかね。
実は、戻したモノを格納する容器についたカギだったとかね。
そんなことはなかった。
一番期待したのは、台車改にエンジン的なものがついていてその起動キーだとか。
そんなことはなかったさ。
モ〇ルポッドには操縦機能付いてるのに、なんか納得がいかない。
まあそういうことならグレゴリーズがわからないはずがない。
本当にわかっていない以上、この辺は期待してはいけなかった。
そもそもどこから入り込んだのだろうか。
商売的なやり取りがある存在の中で怪しい人を思い起こすしかない。
正直怪しい人しかいないことに、今更ながら気づいた。
両娼館もダンザおやじも贅沢品専門の商人も、ワカ町の人たちも。
おっさんに対して、カギを人知れず紛れ込ませることは可能である。
おっさんは頭が悪い。
こういう推理モノのような展開が一番困る。
おっさんはプライベートが欲しいのだ。
本当は自分の部屋にカギをつけたりしたい。
そういう意味でもこのカギは、心を変に乱してくる。
実に困ったヤツである。
あと心が乱されるといえば、もう一ついいにくい話題がある。
ヤラしい方面の話である。
カギというのはそもそも、男性の性のシンボルでもある。
まあこの場合、カギ穴は女性のアレということになるわけだが。
まさかとは思うが、異世界ならではのそういった可能性があるかもしれない。
試してしまうと、完全に頭のオカシクなった犯罪者か変質者だけど。
魔法的なことがない前世だったら、試そうとは全く思えない。
でも異世界である今世だったら、あるいは万が一の可能性がある。
こわいな。
むしろこれが当たりで、なんかの展望が開けてしまったら相当こわい。
女性のカギ穴にこのカギが吸い込まれて跡形もなくなったりしたら、こわすぎる。
その先に進むのに相当の覚悟がいりそうである。
そのうえ消えてなくなったら、二度と他では試したりできない。
ワンチャンで決めねばならない。
ああ、起こってもいないことで、恐れるのはもうやめだ。
おっさんはここまでの経験で、そう思うようになった。
この辺の繊細なところについては、試すのに時間と気持ちをかければよい。
適当なところで試そうとするから、覚悟できない事態になるのだ。
おっさんはおもしろくなってきたと思うことにした。
今気づいたことは、結構大事なことである気がするのだ。
このカギが何となく大事なものである気がするのと、同じ感じである。
説明が難しいが、おっさんにはこういうしかない。




