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異世界転移の錬金生活506 タイサンボクの果実

 おっさんは別にイヤらしいことが得意ではない。

エロい話が得意というわけでもない。

猥談をイヤらしくなくセクハラにならないギリギリで語れるか得意でもない。

むしろこの辺りが不得意で困る。


 しかし周囲の目はそういってはいない。

おっさんははなはだ不本意である。

ピクシーちゃんも絶対その辺りを誤解している気配がある。

今回の話はそんな話である。


 大盞木タイサンボクをご存じだろうか。

泰山木と書くことが多いそうだが。

前世ではアメリカ南部(ノースカロライナ州~テキサス州)を原産とするモクレン科の常緑高木だ。

日本には明治初期に渡来したらしい。

果実は小さな袋の集合体である。


 問題は、この果実である。

赤くてとげが生えた脳みそ状もしくは金玉袋状。

ホオノキに似ているが、長さ八~一五センチほどで、より小さい。

ある日これをピクシーちゃんが嬉しそうにおっさんのところに持ってきた。

おっさんの股間を指さして笑っている。


 おっさんは形状からまず脳みそを想像したため、妖〇人間ベ〇を思い出した。

しかし、すぐにピクシーちゃんのいいたいことを察して赤面した。

なんというか、実に金玉袋に似ている。

細かくとげが生えている具合も含めて、アレにそっくりだ。


 おっさんはおもしろい返しを期待されていると感じた。

でも何も出てこない。

だって金玉袋について、おっさんは何か金言とか格言とかない。

インキンの話を以前したぐらいである。

ガキは意外と、この器官についての思い入れはないよな。

玉が好きなのは、宝石好きのオトナの方である。


 ああ、攻撃を受けたときの痛みか。

それは確かに一回二回は経験して知っていると思う。

しかしだからこそこの子は、ハレモノ扱いをガキから受けるものだ。

つぶれてからでは遅い、大事にしないといかん、ということを身をもって知る。

そもそもなんでコイツは、大事なくせに外に出ているのだろう。


 困ったあげくに、ああトゲトゲだね、とだけいった。

自分でもないと思ったが、ピクシーちゃんは完全に不満げだった。

違うでしょ、もっとなんかあるでしょ、といわんばかりだった。

金玉袋におもしろネタが絶対あると思われている。


 あげくにその果実を、指でピンピンはじき始めた。

何の関連もないはずなのに、おっさんは股間がムズムズしだした。

イヤらしい気持ちにはならず、むしろやめてほしかった。

ひどいことはやめて、とでも泣きそうな声でいいたくなった。


 しかしさっと顔色が変わったおっさんを見て、ピクシーちゃんは満足げだった。

やっとおもしろくなった、といわんばかりである。

だからその美少女顔でイジワルそうな顔しないで。

小学校時代の甘く切ない思い出がよみがえりそうだ。


 玉のダメージはおっさん専用モ〇ルポット(血が出るような赤)を思い出した。

それとも、不妊治療をせざるを得ないバカなガキの話でもすればいいのか。

玉なしとかいう不名誉な称号について語るのは、さすがに差別だと思う。

性的少数者(LGBT)なんぞという問題に関しては、もっと語りたくない。

見ろ、繊細過ぎるか問題が多すぎて語れるネタなんかない。


 でもオトナには、そういう繊細なガキの気持ちなんてわからない。

あと真剣に金玉袋について考察しているおっさんというのはどうなのか。

他にやることはないのか。

暇か、暇なのか。


 最近おっさんはとても忙しくなってしまったのだ。

娼館を二つ料理の面で面倒をみるというのは、想像以上に大変だった。

おかげでピクシーちゃんと高速移動してばかりいる。

そういう中で、この問題が浮上してきたというわけだ。


 いつも一緒にいるんだが、料理関連で忙しくて心ここにあらずなのだ。

ピクシーちゃんとしては、遊びの話題が欲しいのだろう。

大盞木タイサンボク果実を指でピンピンはじき攻撃はずっとおっさんを苦しめることになる。

書いていても実にバカバカしい展開だが、起こったことだから仕方ない。


 でもピクシーちゃん的にはこの果実は宝物になってしまった。

おっさんと手軽に遊べるおもしろツールだったからだ。

しかし熟してきてはぜて、中から鮮やかなオレンジ色の種が一~二個、白い糸をつたって垂れ落ちる。

こうなって泣いていた。


 実にイヤらしい形及び機能である。

何がいいたいのかと叫びたくなる形である。

金玉袋がはぜて白い糸が出ているのだ。

先にオレンジ色の種がついている。


 そういえば性的不能インポテンツに陥る前に最後赤玉が出るという都市伝説があったな。

イヤなことを思い出してしまったではないか。

この辺の話は、年齢的にも他人ごとではない。

EDというのは、なった本人しか辛さがわからない繊細な問題だと思う。


 つまり二人して暗い顔をして黙り込んでいる。

変な果実と種を目の前にして。

グレゴリーズにはやし立てられるのもムリもないが、やめてくれ。

おっさんはともかくピクシーちゃんは泣かんばかりだ。


 そもそもカグヤさんは木属性のエキスパートだから、これが何か知っていた。

実はこの文章もカグヤさんの知識が入って、このクオリティとなっている。

よくもまあよりによってこれをチョイスするあなたたちはなんなの、といった。

真っ赤になって説明する彼女に非常に萌えた。


 グレゴリーズはやっぱり玉だ、玉ね、ひどい見た目だと好き放題にいっている。

ピクシーちゃんはなんとか保存したいとわがままをいった。

でもドンドン腐ってきて、どうにもならなかった。

来年また採る、と鼻息を荒くしてピクシーちゃんは意気込んでいた。

と思うよ、おっさんは意思の疎通ができないけどね。

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