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異世界転移の錬金生活505 ワカ町のこと

 おっさんは久しぶりにワカ町に来た。

なぜかというと、結局みんなワカ町には苦手意識があるのだ。

例の運動会ですっかりやられてしまったからね。

気がつくと足が遠のいているので、用事がたまってしまう。


 グレゴリーズはもちろん来ない。

そういう意味でも、おっさんが行くしかない用事がたまる。

まず必要なのが、たまった養殖キノコ類の売却である。

干したりして容量を減らしても、そうそう置き場所はない。


 それから病院施設のおっさんに各種ポーションを届ける。

まあ、このおっさんは敵側なんだろうけど人柄が好きなのだ。

酔い止めの薬は、ときどき処方してもらえる。

コイツは非常に効きがよく、おっさんには必需品である。

もちろん酔わないわけじゃないので、きついのは一緒だ。


 ミカエル君たちと母親のマリアさんは、なかなか会えない。

ワカ町にもどるぎはあるが、おっさんは顔を出さない。

所属していない感じだからだ。

それをいうと、ロートル町のどるぎだって用事がなきゃ行かない。

具体的には各種ポーションの納入とかね。

最近久しぶりに動物性の膠や毛髪を手に入れるために依頼を出した。


 今おっさんは冒険者といっていいのか非常に疑問だ。

ロートル町に行くのは商売と料理の話ばかりだ。

ややこしい鉄製品は大抵ダンザおやじに頼んでいる。

帰りに竹林に寄って竹を仕入れて帰ってくる。

ワカ町だって行商人をしている感覚しかないぞ。

頼まれた日用品を帰りに仕入れて帰ってくる。


 何度か頼まれたものを買い忘れて帰還している。

もしくは娼館に飲み込まれてしまっている。

意図的にやっているわけではない。

わざとでしょって何度か耳を引っ張られたけどね。

ピクシーちゃんに聞いてみてくれっておっさんは答える。


 あとね、ワカ町の大工さんや商人たち。

例のタロットカードのせいで非常に気まずい。

塔のカードでひどい目にあっているのは彼らだ。

こちらは彼らにひどい目にあわされていないのに。

むしろわざわざ新拠点ヨシオまで来て、大工仕事をしてもらった。

正直感謝している。

悪ノリした自分たちに完全に非がある。


 おっさんは話が長いって。

ほっとけって、みんな結局こうなるんだよ。

効率よくなんて話せないよ。

校長先生の長話が苦痛だったことを今思い出した。


 やっと導入部分が終わったというところだ。

落語でここで終わっちゃう作品があるけど、ああいう思い切りは粋だよね。

そういうわけで終わってもいいけど、そういうわけにもいかない。

わかったかな、ぐちゃぐちゃ前置きが長い理由はいつもの理由だ。

いい出しにくい。非常に決まりが悪い。


 ワカ町に娼館がオープンしてしまったのだ。

しかも原因を作ったのは、おそらくおっさんである。

話を聞いた瞬間、グレゴリーズに相当白い目で見られた。


 自慢げに、ダンザおやじがこういった。

とうとう準備してきた事業が軌道に乗りました。

娼館事業です。ここで料理を出すのが長年の夢でした。

そういうわけで協力してもらえますよね、もちろん。

ワカ町に新規オープンしますので奮ってご参加ください。


 ワカ町には娼館がない。

だからワカ町には料理を納入できない。

料理屋をやるようにミカエル君にもいわれたけど断った。

ミカエル君はわざわざロートル町に通って娼館で料理を食べている。

母親のマリアさんは残念がっているようだ。


 この辺をダンザおやじにいったら、抜かりなく準備したそうだ。

料理は娼館の中だけじゃなく、外でも頼んでいただける仕組みらしい。

ドライブスルー方式のような感じで、外にベンチやテーブルを準備したそうだ。

見に行ってみたら、前世のパリのおしゃれなカフェのようだった。

そのアイデアはどこ産だ。

贅沢品専門の商人のいけ好かない顔が浮かんだ。


 問題はおっさんの側である。

料理をワカ町の娼館にも納入する必要が出てきてしまった。

ここまでされると、もはや断ることは難しい。

グレゴリーズには相当バカにされそうだ。

開き直って、ワカ町の娼館をせいぜい楽しむしかない。


 店の名前は希望の館ホープランド

どこかで聞いたような名前だが、突っ込んだら負けである。

店のスタッフさんもその場で一気に紹介された。


花瑠璃カルリさん。エリアルと自分では言う。

紅葉モミジさん。イフリートと自分では言う。

ミオさん。オンディーヌと自分では言う。

朱奈アカナさん。グノーメと自分では言う。


 こういう演出は娼館のお約束なのか。

きゃいきゃいと女の子っぽい華やいだ感じである。

花瑠璃カルリさんがリーダーだそうだ。

ボスみたいな感じではない。

この辺が多分ダンザおやじの趣味なんだろうな。

ちょっとブレザーっぽいものを着ている。


 おっさんは結局料理を必死で作って納入して帰った。

これを目当てに来た客が結構いたようだ。

あっという間にはけてしまって、再度納入する羽目になった。

往復する羽目になってグレゴリーズにも順調にバレた。

案の定、相当バカにされた。

どうしろというのか。

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