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異世界転移の錬金生活427 射幸心をあおる対戦タロット

 この後の展開である。

大儲けしたダンザおやじは、店舗サイズを二倍にした。

悪魔のタロット御殿といわれて観光地化している。

おっさんはさして恩恵を受けられていない。


 礼金はそれなりに受け取ったけどね。

こうやって金持ちって生まれるんだ、とわかった瞬間である。

その後も付き合いは続いたため、おっさんにはメリットしかない。

もちろんタロット第二弾として、例の対戦タロットも売り出した。


 すでに浸透しきっていたため、分厚い紙でのメンコ遊びも含めて一般化した。

この対戦タロットの売り出し方が、まさに悪魔そのものだった。

少しづつ小分けにした小袋で売り、中身はわからない。

中にお菓子も入っていて、メインはこのお菓子だと、いい張っている。

まあ、どっかで見たような商法だよな。


 おっさんがバカだったと思う。

こういう商法があるとダンザおやじにしゃべってしまった。

すべてのカードをそろえるには、結構な手間とお金がかかる。

すべてのカードが欲しければ対戦タロットやメンコ遊びで絶対勝たねばならない。

適度な射幸心と対戦によるアイテム獲得と。

不完全だからこそ、完璧でえげつない商法である。


 バカなガキがハマり切るのに時間はかからなかった。

親の苦情に発展するが、あくまでこのお菓子を売らんがための商法だといい張る。

メインがどちらかはお互い骨の髄までわかっているのだが、絶対に認めない。

こういう意味でもこの商法はえげつない。


 あと、コソコソいい大人が大量購入しているのを何度も目撃した。

大きいオトモダチというヤツである。

そばでガキが泣きそうな顔でそれを見ている。

どうも、裏で賭けに使われているとかいないとか。

ヤバイことにはできたら絡みたくないんだが。


 おっさんはこの手の賭け対戦タロットには踏み込む気がない。

自分の実力は、散財する前にしっかりグレゴリーズの指導で把握済みである。

バカなお金の使い方をこれ以上すると破産してしまう。

娼館へつぎ込む金も、いい加減バカバカしくなってきたところである。


 娼館のメンバーは当然タロット占いのとりこになっている。

そうでなくても恋多き淑女たちである。

自分がカードに出てくるため、余計感情移入しやすい。

自分たちは多くの迷えるオトコたちを導く性職者だと思っている。


 まあキャバレーのバニーさんが賢者にジョブチェンジするゲームあったよね。

自分はなんで風俗嬢が賢者に、真逆の職業じゃないかと当時衝撃だった。

バカでガキだった自分は、風俗嬢はバカな人というイメージがあったのだ。

バカでは務まらないと知ったのは、ずいぶん後になってからである。


 ちなみに、おっさんとピクシーちゃんは大体一緒にいる。

ピクシーちゃんは、太陽だとバレていて子供に付きまとわれることがある。

まあ、こわい魔物だとは認識しているため、それ以上のことはない。

あこがれられ、好きになられてしまって困るという贅沢な悩みである。


 いずれにもせよ、おっさんはまたバカなことをしてしまったわけである。

ダンザおやじになぜ、こんな知恵を与えてしまったのか。

いいつもりで愚かしいことをするのが一番の悪だ、とおっさんは知った。

堕天使がだいたいこういう過ちを犯しているのは、前世でも有名である。


 こんなことをやっていると悪徳と堕落がはびこるソドムとゴモラになりかねん。

コーヒーが苦いとかいっている場合ではなくなる。

実はグレゴリーズにも、この件では結構叱られている。

大げさなようだが、これが意外と大げさではない。


 ダンザおやじに直談判して、こうした商法をやめるように頼んだ。

ある程度大金をつかみ鷹揚な態度になっていたおやじは素直にいうことを聞いた。

自分でもこわくなってきて、そろそろやめるきっかけが欲しかったといっていた。

これ以上は自分が町にいられなくなってしまう、とも。


 その後、ウソのように一式揃った状態での販売が開始された。

贅沢でキレイなパッケージングに、なんだかおやじの良心を感じた。

多分このパッケージだと、この値段では普通出せない。

赤字覚悟だろう。


 こうして、各町々を巻き込んだ大騒動は終息した。

よかったとはとてもいえないが、うまく収まってよかった。

みんなも、こういう際には慎重に行動したほうがいいぞ。

儲かると思ったけど、結果としてはひどい評判を取って終わるかもしれない。

未知の商材はこういうリスクが実はある。

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