異世界転移の錬金生活425 対戦タロット
冬支度の攻略は続くのだ。
なぜなら前回の流れでわかるように、おっさんはちっとも暇つぶしができない。
妙な占いに振り回されて、むしろ忙しくなる可能性まである。
占いでおっさんがこれをやれといわれた、なんてことが、起こりうる状況だ。
しかしおっさんは、そういうことをしたいわけじゃない。
トランプ遊びが封じられてしまった今、代替のお遊びが必要である。
前回将棋盤でも作ろうかといったが、あまりにもつまらない。
そのうえおっさんは、将棋が強いわけではない。
必死で自作した将棋盤で、屈辱感を植え付けられる展開は勘弁である。
おっさんは、宇宙人の驚くべき順応性と賢さに日常的にやられている。
最終的にはおっさんはウロウロしていただけ、という話が多い。
できたら今回は最後まで、お役に立っている状態で終わりたい。
ささやかなおっさんの野望である。
折角オリジナルのタロットカードが完成したんだからこれに何かつけ足そうか。
今なんとなくイメージとしてあるのは、対戦型のカードゲームである。
ブルーア〇ズなホ〇イトド〇ゴンさんが大活躍する文字通り遊びの王様の物語だ。
ちょうど愚者のおっさん以外は、歴戦の強者ぞろいである。
カードの強い弱いを数値でどう定義して、どう勝ち負けを決するのか。
逆に愚者のおっさんや吊し人のウズラさんは引いた瞬間うわっとなる気がする。
その瞬間に負けが決定するとかね。
ある程度の弱者救済は考えないと、つまらんゲームになってしまう。
そもそも大アルカナはそれでいいが、それ以外の数字カードはどうするか。
これらの数字カードにも、なにがしかの意味づけをしないとおもしろくならない。
前回は言及していないが、エースには特に注意がいるだろう。
皇帝やら女帝やらがいる状態で、数字カードにもキングとクイーンが複数いる。
とんでもなく複雑な封建的な政治体制だということはわかる。
この辺りも数値化して、強い弱いを決めないといけないのかな。
イメージとしては、下剋上の盛んな戦国時代のような感じだろうか。
それぞれの小領主も、王や女王としてある程度独立して覇権を争っている。
その中で、天皇を中心とする律令システムもあり、征夷大将軍も設定されている。
小領主も、その将軍の幕府体制の内側で実は守護されている。
適当に数値化しておもしろくなりゃいいな、ぐらいの感覚で始めたわけだが。
いかん、こりゃ結構なヌマだ。
タロット的発想もある程度入れつつ、となるとルールもより複雑化しそうである。
みんなの今までの話からすると、五のカードはどうも全体に弱めらしい。
過渡期的な意味が強いせいなのだろう。
でも結局はグレゴリーズに見つかり、皆でワイワイやって決めた。
対戦はアツいぜ、と例の人がスイッチ入っちゃったみたいだ。
数字カードは単純に、強化カードとして添えて出す感じに決まった。
エースはこれもよくある設定で、一〇と同等とした。
スペードは攻撃、クラブは俊敏、ハートは精神、ダイヤは防御。
それぞれの数値が上がって強化されるとした。
大き目の数字カードは、そういう意味で実はそうとう強い。
ペイジからキングは、普通に戦線に投入できる。
ちなみに、ペイジは愚者のおっさんと同じステータスである。
これで愚者のおっさんも一安心である。
ああもちろん、タロットでのいい方は知っている。
ソード、ワンド、カップ、ペンタクルだったっけ。
タロット占いの時は、もちろんそっちを採用している。
おっさんはバカだから、慣れたいい方でないと混乱してしまう。
こんな感じに大まかに決めて、実際に対戦してもらった。
おっさんやペイジは歩だといわれ、序盤で捨て石にされる運用が多い。
弱いヤツをわざわざ強化するために、一ターン浪費するのはもったいないそうだ。
弱者救済が、こんな形で無効化されるのは切ない。
卵産みができる吊し人のウズラさんは、運用におもしろさがある。
この卵産みは、要は即交代が可能なスキルなのだ。
後の先が取れるという意味では、重要なスタッフである。
おっさんにも即交代スキル欲しい、といったが、当然受け入れられなかった。
おっさんは愚者だから、スキルもないのだ。
いやスキルは、大逆転という謎仕様のモノのみ。
ドラ〇エのメダパニというヤツである。
低確率で混乱を引き起こす。
イヤ、イヤミかコレ。
個人的にはいろいろ思うところはあるものの、全体として盛り上がった。
ステータス等の余計な文字列が満載でタロットカードとしては破綻してしまった。
そのため、新たにサクヤさんに描き起こしてもらった。
結局彼女頼りでの完成形ではあるが、対戦タロットカードの完成である。
いやあ、自分が思った以上の完成度で非常にうれしい。
そもそもこの手のカードって結構割高感あって、自分は買ったことないんだよね。
友だちのヤツを指くわえて見ている感じだったのだ。
そんなことを思い起こして甘酸っぱい気持ちになった。
タロット占いは今までの、対戦タロットはコイツという感じで運用されている。
ステータス等の余計な文字列を直接書かなくて本当によかった。
直接書いていたら、あとでどんな目にあわされていたかわからない。
この辺りはバカなりに年の功だと素直に思う。
もちろん、あっという間におっさんは置いて行かれましたよ。
こういう対戦では、宇宙人の驚くべき順応性と賢さが如実に出る。
それぞれが個性を生かし独特の運用法を編み出していて、とても勝てない。
おっさんの愚者は大逆転が使えるが、自分は全然である。
イヤ、イヤミかコレ。
悔しいのは、おっさん相手にこの大逆転を決めやがったときである。
もちろんいつもよりも無様に、混乱の中ぼろ負けしましたよ、ちくしょう。
宇宙人には、この低確率なんていう文字列は意味をなさないのだ。
タロット占い用や対戦タロット用は、いつしか複製がひっそりと作られていた。
同時に複数人がやりたい局面があったんだそうだ。




