異世界転移の錬金生活423 冬支度
前回は大事過ぎてビビっただろうと思う。
なので今回は、文字通り地に足がついた小粒な話をする。
おっさんはこれでバランスを取ろうと必死である。
毎回あんな話を期待されても、おっさんの身体が持たない。
何かといえば、冬支度である。
地味だろう、そうだろう。
しかしおっさんが独りで森をさまよっていた時には、贅沢な悩み筆頭だった。
その辺で寝ていたから、寒いとか暑いとかいっていられる立場じゃなかった。
今はもちろんそうじゃない。
女性陣もいるため、冷えるのはいろんな意味でマズイ。
薪ストーブやら、こたつやら、てぶくろやら。
毛布や敷布、じゅうたんもいるだろう。
正直おっさんには、何かができるような気はしない。
グレゴリーズの皆さんに期待したいところである。
例の合体アイテムの出来栄えを見るにきっかけを与えればスゴイものができる。
おっさんは気づかれないように、うまく誘導していきたい。
前回の宇宙飛行も、考えてみると前世の宇宙技術を軽く凌駕している。
血の出るようなおっさん専用モ〇ルポッドなんぞ軽く燃え尽きてしまうだろう。
三倍速くなったりは断じてしないし、速くなったら困るのだ。
むしろおっさんに合わせるとしたら、三倍遅くしろといいたい。
薪ストーブに関しては、ダンザおやじに頼んでみた。
出来上がったら持ってくると思う。
あとはこれを宇宙人の仕様に変更してもらうだけだ。
最終的には、薪なんぞいらなくなるであろう。
こたつは、例の携帯用イスやテーブルの仕様変更で対応できそうである。
これも周囲を覆う布団部分を手配すれば、セオリツさんが仕様変更するだろう。
電気のコンセントもないが、遠赤の保温部分を誰に頼めばいいのだろう。
火の属性だからグレゴリが対処できるんだろうな。
それ以外のもろもろも、セオリツさんが謎織物で作りこんでくれれば解決だが。
この辺は例の宇宙人ルールにより、素直にはいかない。
ここは一つグレゴリーズにどんな防寒具が欲しいか要望をまとめてもらいたい。
流石に自分が欲しいものについては、宇宙人ルールもクソもないだろう。
いずれにせよ、非常に地味である。
地に足のついた堅実な対応で、すべて何とかなりそうである。
つまり、全部自分でやれといわれる確率が非常に高いのだ。
だからこそ、今もできることからコツコツ手配をしている。
とうとうダンザおやじが薪ストーブを持ってきた。
意外とよくできていて、おっさんは感動した。
実際に薪をくべて、夜に暖かさを味わったりした。
火のユラユラする感じが楽しいのだ、これが意外と。
手を入れて高性能にする必要をこれについては感じない。
残念。
グレゴリーズもロマンチックだといたく感動して喜んでいる。
ちなみに、こたつの布団部分も届いたので、セオリツさんに相談した。
燃えたら困るので手を入れたい、と素直にお願いした。
「燃えるとは。」
「こたつは、テーブルの下の遠赤でこの布団を温める防寒具だ。」
「テーブルはどこですか。」
例の携帯用のテーブルとイスを取り出して見せた。
「遠赤というのはどうしましたか。」
「前世では電気でやっていたが、どうしたらいいかわからん。」
セオリツさんは、あきれたような顔で自分を見た。
困ったヒトだ、といわんばかりだ。
燃える要素が見当たらない、といいたそうである。
そりゃそうだよ。
現段階では木や竹のテーブルでしかない。
布団をかぶせるだけで完成なら、燃える要素はない。
しかしである。
実際に布団をテーブルにかぶせて、セオリツさんは中に足を入れた。
「あ、あったかい。これ、意外といいですね。」
セオリツさんもニッコリである。
それからは、グレゴリーズも協力してくれるようになった。
「遠赤というのは暖かさのことか。」
火の魔法で小さく定着させ絶縁することができるらしい。
周囲に燃え広がらないようにできるということだ。
地味にこたつが完成し、みんながそこから動かなくなった。
毛布や敷布、じゅうたんに関しては、ほっといても女性陣が耐えかねてそれぞれでドンドン手配していった。
共用部分は特に、整うのは早かった。
問題は自分の分である。
かなり後になるまで、おっさんはほっとかれた。
オトコは寒くないでしょう、と真顔でいわれた。
寒いわ、となんかお笑い芸人みたいな受け答えになってしまった。
てぶくろに関しては、衝撃のお知らせがある。
天羽衣を装備することにより、暑さ寒さは遮断できる。
手足はオープンな状態でふさがっていないのに、遮断できる。
つまり天羽衣さえ自分用のがあれば、いらないそうだ。
しかし、おっさんはてぶくろがいるのである。
かなり後になるまで、おっさんはほっとかれた。
オトコは寒くないでしょう、と真顔でいわれた。
寒いわ、となんかお笑い芸人みたいな受け答えになってしまった。
つらいので二度言いました、すいません。
おっさんの歳になると、暑さ寒さが身体に堪えるのよ。
冬支度は以上である。
地味な話に最後までなってしまった。
いつもいつもハチャメチャな展開だとつらいので、こういうのも大事だ。
日常のなんでもないことが、ありがたいと感じる。




