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異世界転移の錬金生活419 収穫祭!

 久しぶりにコメを食ったことで、おっさんは元気を取り戻した。

みんなもなんとなく、収穫を終えてほっとした心にコメが響いたらしい。

誰からともなくこうした提案がなされ、実行される運びとなった。

収穫祭と身体を動かして遊ぶ運動会をやろう。


 折角やるお楽しみ企画なので、精一杯全力でやるんだと意気込んでいる。

まあ、おっさんは体力的に厳しいお歳頃なので、棄権とさせてもらったが。

ニギハヤヒの要望は聞いていないが、帰ってこないのでこのまま棄権だろう。

ちなみに、おっさんがワカ町で得た現金は今無事懐にある。


 子供の活躍を見る運動会のような感覚で楽しみたい。

おそろしい規模の破壊や狂気が満ち溢れる展開とかにならないようにしてほしい。

そのためにもおっさんは下働きに徹して、そういうフォローに努めたい。

感情的になりムキになったらダメ、というルールを徹底させるべきである。


 なんとなく、魔物チームVS宇宙人チームの様相を呈してきた。

ユニフォームを作ったり自分たちの統一ネームを考えたり、楽しそうにしている。

そう、この企画はティムした自分の魔物たちにも、しっかり伝わっている。

宇宙人はこういうことができてしまうのだ。ずりいよな。


 おっさんは様々なことに関してナイショだそうだ。

それぞれがどんなチーム名を選んだか、おっさんは知らない。

ルールにはもちろん口を出したが、それ以外は競技の内容も知らない。

宇宙人たちがなにか準備しているのを、遠巻きに眺めているだけである。


 そう、ロートル町の主だったメンツやワカ町の知り合いに参加を呼び掛けた。

どうしてなのかわからないが、意外とみなさん積極参加を選ばれる。

特に驚いたのは、ワカ町の病院施設のおっさんが参加するといったことだ。

チャレンジャーだな、その歳で運動会とか、とおっさんはほほえましく思った。


 もっと驚いたことがある。

娼館の皆さんである。

チーム精霊セイレーンとして絶対当日参加するといわれてしまった。

えっ、休んでいいの。


 オタクらの商売って休みなく働いてるイメージだったわ。

定休日的なものがあるのを初めて知った。

いずれにせよ歩いて新拠点まで移動してくるわけで、何日もかかる。

その間娼館が休みになるのはマズいんじゃないの。


 そうそうワカ町の人とロートル町の人が、一堂に会する機会もあまりない。

チーム編成の都合で、とんでもない組み合わせのチームが急遽組まれた。

間に両方と面識があるミカエル君を挟んで、いけ好かない贅沢品の商人、ダンザおやじ、病院施設のおっさんがワンチームとなった。

チーム商工会議所とかいうらしい。

なんか感じを変えたとかいっていたが、何のことなんだろう。


 まあ、こういう場合のおっさんの役割は決まっている。

下働きと大量に必要な料理の準備である。

カグヤさんとセオリツさんも、もちろん頑張っているんだけどな。

大量の収穫物を必死で捌いて、細かく刻んだり大まかに切ったりして。

彼女たちの包丁は、まな板までザクザク切れる業物だけどな。


 おっさんは皮むき等の下処理をしたり料理酒や調味料に漬け込んだりしている。

料理酒というのは、日本酒のことである。

そうなのだ、コメを作ればこうなるのは必然であろう。

優秀過ぎる穀物である。


 よく考えてみると、こうじ菌はどうしたのだろうか。

聞いていないのでわからない。

コメこうじを使った調理法もあるため、カグヤさん持ち込み案件かもしれない。

和食って、こういうことの連続で生み出された奇跡の料理法なのかもしれない。

おっさんはこわくなって考えることをやめた。


 あともう一つ非常に気になっていることがある。

それは魔物チームの人数である。

どうも流れ上、四人編成での競い合いとなるようなのだ。

魔物チームは、ピクシーちゃん、ミツバチさん、クマままの三名である。


 クマの子供二名は多分お留守番になるか参加できそうなもののみ参加だと思う。

あとミツバチさんは当然複数参加に決まっている。

特にミツバチさんに関しては、死ぬほど頑張らないで、といいたい。


 いろいろややこしい問題を孕んでいて、大丈夫か気になっている。

ククリさんに聞いたら、その辺も含めてばっちりだ、とのことである。

ナイショだから、これ以上は詳しく聞けない。


 そんなことより、チーム商工会議所の方が気になる、と彼女はいっていた。

そもそも急遽新造チームなんだから、あんまり思い詰めないほうがいいよ、とおっさんはいった。

ククリさんは、それを受けてこう力強くいった。

「いずれにせよ、ぜってー負けねえ。」

お楽しみ企画なんだから仲良くやってほしいけど、そうもいかんのだろう。


 まずは、収穫祭を成功裏に終えることである。

おっさんは料理に集中することにした。

こういうのは完全にみんなに対する接待である。

いつも頑張ってくれているし、普段もうけさせてもらっているし。


 旨い野菜が大量に採れているので、鍋物メインでコメが旨いメニューが基本だ。

マツタケ風のキノコを使って土瓶蒸しとかな。

こちらでは貴重品でないので、マツタケご飯だってガンガン作れる。

贅沢だろ、異世界は。


 でもウスターソース味の方が、この人たちには贅沢扱いなんだぞ。

釈然としないけど喜ばれるので、お好み焼きやもんじゃ焼きを作った。

マヨネーズやウスターソースをガンガン使用していく。

ちょっとくどいぐらい使う方が、贅沢な感じに受け取られる。


 鍋物には、最近こさえたはんぺんやさつま揚げのようなものを投入した。

チクワやフがあれば、完全におでんである。

それ以上に、根菜類や野菜がたっぷり入っているけどね。

料理していても楽しいし、出汁がしっかり出たスープも旨い。


 前夜祭のようなノリで、みんなにふるまい食べまくった。

日本酒もガンガンすすみ、へべれけに酔っぱらった。

みんなも暑い暑いと脱ぎだしそうな酔い方をしていた。

なにより月明かりに照らされたみんなの笑顔が眩しかった。

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