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異世界転移の錬金生活418 コメは旨い

 役立たずのおっさんパート二である。

収穫はおっさんが雑用をこなすうちに、終了していた。

段ボールのような謎素材でできたハコに、ぎっしり入っている。

このまま台車改でいろんなところに納入可能である。


 水運を利用して橋拠点のふもとに既に大量の段ボールもどきが積まれている。

こいつをグレゴリが必死でダンザおやじに卸して現金に換えている。

そのままロートル町に、じゃっという勢いで帰っていった。

現金はもちろんそのまま、持って行ってしまった。


 ちくしょう、宿六亭主が。

初めて自分はミツバチさんの気持ちがわかって、深く反省した。

その後も、台車改や手漕ぎボートでロートル町に納入し続けた。

ピクシーちゃんやクマままがね。

贅沢品の商人の相手をしてくれたのは、カグヤさんやククリさんだ。


 できた現金は、みんなにちゃんと持って帰ってきた。

なぜかワカ町関連が出てこない。

当然この辺は、おっさんの管轄だそうである。

戻ってきてくれたクマままに、輸送を重ねてお願いする。


 クマままと台車改で出かけようとしたら、ピクシーちゃんが拗ねた。

台車改に新巣箱改を装着して、頭を撫でたら機嫌を直した。

おかげで、ちょっと積載スペースが減ってしまったが致し方ない。

ワカ町に必死でもっていき、前に知り合った商人に、すべて売った。

もちろん現金はすべて懐に入れて、いつか行く娼館に備える。


 くたばれ、宿六亭主が。

サクヤさんあたりに真顔でいわれそうだが、気にしてはいけない。

着服、汚職、横領。

公私の現金の区別がつかなくなる犯罪者クズに起こりがちな話である。

おっさんはそもそもダメな人なので、そんな立派な倫理観はない。


 こっそり育てていたキノコや作製したポーションもちゃんと納入した。

ポーションの味に関しては、ここでも非常に驚かれた。

逆に自分は、えっ今まで納入してなかったっけ、という感覚だった。

意外と長いこと、ワカ町にこれていなかったことに気づくことになった。


 久しぶりにミカエル君たちにも会った。

自分にとっては、敵とかいうよりよくできた若者たちである。

相変わらず卵を強奪されるが、悪い気はしない。

きっとマリアさんのために、今でも頑張ってマヨネーズを作っているのだろう。

ロートル町の娼館へも、結構頻繁に料理を食べにいっているらしい。


 ワカ町にもおっさん納入の料理屋ができないか真剣に相談された。

娼館じゃなくていいの、と聞いたら困った顔をされた。

母親に食わせてやりたいからさ、という、いい反応を返した。

こういう若者は非常によいと思う。

本当、知らないが父親は立派な人に違いない。


 しかしロートル町の娼館の料理番だけで、死の恐怖を感じている状態だ。

そのうえワカ町まで手を出し始めたら、多忙で簡単におっさんは死ぬ。

そのうえ娼館のような後ろ盾がここにはない。

残念だがその辺りを丁寧に説明してわかってもらった。


 そうそう、サクヤさんは今収穫されたコメの対応に追われている。

まずダンザおやじに依頼した脱穀機の対応である。

土属性の魔法を使って、じゃんじゃん稲束を脱穀していく。

コメと藁束にどんどん分かれていく。


 脱穀機の性能がいいというより、サクヤさんのコントロールがすごい。

他の人には多分真似できない繊細な仕事である。

精米もしていないのにコメがコメぬかと白米にキレイに分かれている。

白米なんか拝めるとは思ってなかったおっさんは泣いた。

昔流行った胚芽米ハイガマイというヤツである。


 コメぬかは、これはこれでお役立ちアイテムの最たるものだ。

まず、ぬか床を作って、ぬか味噌やぬか漬けを作れる。

藁束はこのまま干して、ヒモをなったりわらじを作ったりしよう。

もちろん、例の道具はグレゴリから受け取ったので畳も作れる。

まあ、これを屋根材にするようなことはないと思う。


 そんなことよりである。

コメを炊くための土鍋を準備しているのだ。

サクヤさん謹製の白米を五合ぐらい、一気に炊いてみた。

みんなで泣きながら食べた。


 ピクシーちゃんがまた大漁だった。

これをみんなで捌き、刺身を作って泣きながら食った。

珍しくピクシーちゃんが不思議そうな顔をしながら、白米を見ていた。

本能的に、あれは旨いのかもしれないと思っている感じだ。


 でも、今まで食べ物を人間からもらったことが彼女はない。

なんとなく頼めない感じで、困っているみたいだった。

人前で食事をする習慣もないから、どうするつもりだろうな。

暖かい食べ物も、彼女にとっては違和感があるかもしれない。


 カグヤさんが平気な顔して、おにぎりを作り始めた。

出来上がると、そっとピクシーちゃんに差し出した。

ピクシーちゃんは、いそいそとおにぎりをもって消えた。

冷ましてからどこかで食べるだろう。


 食生活が一気に変わった。

コメの効能はこれに尽きる。

日本人は、宇宙人も含めコレじゃなきゃダメなんだ。

甘い、何ともいえない微妙な甘さだ。


 穀物では一番の甘さだと思う。

しかし他の食物と比べると甘さが微妙だ。

いっぱい食べると、やっと満たされる甘さだ。

だからこそ、日本人はいっぱいコメを食わねばならない。


 他の外国人からも、大体あきれられる。

どの料理にもコメがついてくる。

何でもコメに合わせた味付けになっている。

外国人はだんだんコメの味に飽きてくるのだ。

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