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異世界転移の錬金生活417 収穫開始

 みんな覚えているか。

カグヤさんが今、田んぼで鋭意コメを栽培中である。

もちろん、まだまだかかるんだけどな。

そういうわけで今のうちにおっさんは、うまく炊ける土釜や土鍋を開発しよう。

まあハクサイ鍋パーティをやったときの鍋を改良すればイケるだろう。


 収穫後の脱穀機とかは、おっさんにノウハウがない。

園芸に使う剣山に似た装置だったようなイメージしかない。

藁を引っかけたり束ねたりする千枚通しの親玉みたいな金道具があった気がする。


 おっさんには鍛冶仕事のスキルはない。

そしてそんなものは、ククリさん辺りの専門である。

もしくはロートル町のダンザおやじにでも作ってもらった方が早い。

ギョーブ系列の鍛冶仕事をする誰かが頑張ってくれるはずである。


 なんにしろ、様々な原料として藁は比較的使えるようなイメージがある。

藁を束ねて屋根にするとか、ストローにするとか。

藁を燃やした灰で陶器の釉を作るとか。


 もちろん、藁をなえばヒモやらなんやらだって作り放題である。

おっさんの故郷では、ワラジをなう文化があった。

しかしコイツは明らかに、ゴブリン呼ばわり不可避だろうな。

宇宙人どもにムダにツッコミどころを与えてしまう。


 イグサっていうのが畳表の原料だが、藁ではできないんだっけ。

工夫すれば、畳もどきの床材が出来上がる可能性がある。

やっぱり千枚通しの親玉がいるんじゃないの、これは。

おっさんは、ダンザおやじにぜひお願いしようと固く心に誓った。


 カグヤさんに脱穀の手順をどうする気なのか確認した。

「どうするって、あなたがやるのよ。」

「準備はどうすんですか。」

「脱穀機でも作ればいい。」

「誰が作れるんですか。自分はちょっと。」

「自分で作る必要はないわよ。頼みなさいよ情けない。」


 あまりにも予想通りの展開だった。

まあ、田んぼのお世話だけで非常に大変である。

あなたも自分の役目ぐらい果たしなさいよ、という雰囲気でいわれる。

クマまま用の運搬用拘束具を製作する過程でも頑張っていたしね。


 おっさんはロートル町に飛ぶしかなかった。

ピクシーちゃん大喜びである。

ダンザおやじに脱穀機のイメージを伝えて開発してもらう。

相変わらず、おっさんの発想に飛びついてくるタヌキおやじである。

実際は日本で何千年も積み上げてきた道具なので、おっさんのアイデアではない。


 もちろん、忘れずに千枚通しの親玉みたいな道具もお願いした。

そんなもの何に使うんだと、相変わらずうるさく聞いてくる。

しょうがないので、畳のイメージをすっかりしゃべってしまった。

ダンザおやじの鼻息が相当荒い。


 おっさんはおっさんで、畳の具体的イメージがしゃべっているうちに固まった。

こりゃいけそうだ。

今回ばかりは、自分だけでシコシコいけそうである。

脱穀機に関しては完全に人任せなんだから、こちらは自分で作りこもう。


 ただイグサと比べると、どうしてももろくなりそうである。

その辺りは、セオリツさん辺りのフォロー技術に期待したい。

というより、畳表は全部セオリツさん作でもいいのよ、という感覚がある。

それこそ床材が燃えると困るでしょう、ねぇ。


 この後はもちろんゲン直しに娼館に行き、料理を納入した。

そのあとで、いつもの展開になった。

自分の料理は当然だが、どこにも売っていない状況だ。

娼館としては、料理業者を変えるなどという決断はできないらしい。

えらく罪作りな料理だ、とタマモ様にいわれてしまった。


 旨い料理のために娼館通いをし、そのうちに娼館スタッフさんにハマる。

好きだ嫌いだ、見受けするのなんの、でもめてしまい、出入り禁止に。

こういうケースが結構あるらしい。

こわい、こわい。


 エヴァを探してるおっさんが一番気をつけなければいけない。

料理業者のおっさんがミイラ取りがミイラになってしまわないよう気をつけよう。

グレゴリ、お前は大丈夫だよな。

モテモテのニギハヤヒだもんな。


 毎回おっさんはピクシーちゃんとブッ飛んでいるので、体力気力が限界だ。

そのせいである程度、性欲も軽減されている。

今もめごとを起こしていないのも、そのせいかもしれない。

逆にそんな状態で娼館にしけ込んでいるんだから、とんでもない人である。

ちょっとは落ち着けよ、と自分ながら思う。


 ピクシーちゃんが焦れてきた辺りで、またブッ飛んで新拠点ヨシオに戻った。

正直最近頻度が高くて死にそうである。

死にたくても死ぬことすらできない飛行用拘束具が、それを許さないのだが。

まあ、ピクシーちゃんにすると置いてきた自分の巣箱が心配なんだろう。

おっさんは帰還後しばらく、またしても寝込んだ。


 それから数日後、カグヤさんにいわれた。

「そろそろ収穫時期に入るから、いろいろ準備をお願いね。」

おっさんはどうするつもりか、また聞く羽目になった。

だって田んぼだけじゃなく、畑の方も大豊作なのだ。

目をそらし続けてきた問題が、一気に吹き出してきた。


 ただ、例の合体アイテムはダテじゃなかった。

台車改をクマままとサクヤさんが運用して収穫物を運ぶ。

手漕ぎボートは、水運を利用する形でセオリツさんとカグヤさんが収穫物を運ぶ。

ピクシーちゃんの巣箱はお神輿のようになっているため、ピクシーちゃんとククリさんが収穫物を運ぶ。

おっさんはみんなの活躍を見ながら下働きに徹する。


 そのうちにグレゴリが手伝いに現れて、ますますおっさんは空気化した。

娼館に関してはまだ余裕があるからこっちを優先しろ、とグレゴリにいわれた。

グレゴリはやはり、農業ぐらいなんてことなくこなす。

そのうえ、ダンザおやじに頼んだものを代わりに輸送してくれていた。

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