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異世界転移の錬金生活413 おっさんは添えるだけ

 例の水陸両用ボート台車改の続きである。

グレゴリーズに聞いてみたら、あっけらかんとこういった。

いや、おっさんは添えるだけ。

どういう意味か耳を疑ったが、こういうことだった。


 もともと例のおっさん強制帰還事件が、この一連の作品の根底にある。

その後に起きたおっさんボート転落帰還事件が、さらにそれを後押しした。

台車を改修したのも、手漕ぎボートをこうしたのも、そのためだ。

おっさんの体力や輸送能力(腕力)には、そもそも期待できない。

よってこの重量をどうにかする別動力は、どちらにせよ必須だ。


 今のところその有力候補が、クマ親子およびピクシーちゃんだそうだ。

だから、おっさんは添えるだけ、パセリのような存在だそうだ。

メインはあくまでクマ親子ハンバーグピクシーちゃんわぎゅうステーキだそうである。

セオリツさんやカグヤさんがクマまま装着用の運搬用拘束具を鋭意開発中だ。


 クマままはメイン動力源なので、今もククリさんの指導の下水陸強化改造中だ。

リ〇ップのように結果にコミットしているらしい。

ピクシーちゃんのブツ同様クマままの運搬用拘束具もつけ外しはクマままらしい。

使用するかどうかの判断や日常の保管管理は、今まで同様おっさんが担当らしい。


 おっさんはどこにいればと聞いたら、ボート台車改の上に乗る、だそうだ。

そのためにどちらが上でもいいように設計を変更した、といわれた。

へぇーー、考えてんだなあ。

宇宙人はやっぱり、おっさんとは違ってすごく地頭がいい。


 イメージとしては、クマまま動力の馬車である。

いやクマ車か、クマだもんな。

パッと見のインパクトは、ものすごいことになりそうだ。

何度もいうが、ダンザおやじには見せられない。


 問題はおっさんが行きたいところに、ちゃんと連れて行ってくれるのか。

その時その時のクマままが行きたいところに、おっさんは行かねばならんのか。

クマの詳しい生態には、おっさんは詳しくない。

めちゃくちゃ食料を求めて常に遠距離移動しているイメージがある。

行動半径というか縄張りも相当広いのではないか。


 まあこういう場合に思うことは一つだ。

流れに身を任せよう、そうしよう。

困ったらクマの子供とじゃれ合って遊んでいればいい。

不具合が生じても、おっさんにはどうすることもできない。

これ以上、おっさん〇〇帰還事件を増やしたくない。


 そういうわけで、この件は非常にスマートな形で解決を見た。

クマ親子による輸送は、非常に優秀で驚いた、とだけいっておく。

魔物の魔石を核にしたゴーレムなんか、いらんかったんや。

おっさんはムダに頭の体操をしたのみで終わった。


 グレゴリーズの暴走はその後も止まらなかった。

水陸両用タイプ開発に味を占めたらしく、さらに組み合わせを増やした。

例のピクシーちゃんの新巣箱である。

いつの間にか、これも手漕ぎボートや台車改に装着可能になっていた。

ボート新巣箱改、台車新巣箱改とでも名付けるか。

もちろん、重量を気にしなければ三つ巴の運用も可能である。


 ピクシーちゃんは嫌がるかと思ったが、嬉しそうにしている。

自分のウチをいつでも移動できるのは、彼女にとっていいことのようだ。

そういえば、小さかったころ台車に彼女の巣箱を積んでいたことを思い出した。

あの時も器用に巣箱から出たり入ったりしていた気がする。


 これもまたよくできている。

工夫は必要だが、おっさんの居場所もある。

ただ、荷物は本当に必要最小限ということになりそうである。

重量が特に三つ巴になると相当きつい。


 合体ロボのような分離合体形式のアイテムがここに誕生した。

おっさんは胸が熱くなるのを感じた。

何度もいうが、魔物の魔石を核にしたゴーレムなんか、いらんかったんや。

ピクシーちゃんとクマままの動力で三つ巴でもガシガシ動く。

ちなみにピクシーちゃんは後ろや前について、手で押して動かす。


 心配なのは、ボート形態になったときの過積載問題である。

三つ巴だとやはり、相当重量感があって沈み込んでいる。

その場合はボートの底に石でも詰めたほうが、安定するかな。

宇宙人は、その場合はククリさんの空間圧縮魔法を使いそうだ。


 念のため聞いてみたら、これもあっさりしたものだった。

組み合わされた瞬間、物質を空間的にククッているから、全体が均質化している。

その後、重力を下が大きくなるようにかけているから、安定しないはずがない。

表面の見た目と内部的な重量構成は、全然別ものだそうだ。

想像以上に宇宙人の謎技術は、ややこしい問題を解決してくれる。


 おっさんは今まで以上に刺身のツマ状態だぞ。

不名誉な帰還事件を起こさせない工夫が、随所にみられる。

死にたくなっても死ねない飛行用拘束具と、コンセプトが全く同じである。

しかしこれなら安心安全である。

クマ親子との意思の疎通に不安があるぐらいだ。


 おっさんは楽しすぎてこの後、こいつを使ってあっちゃこっちゃさまよった。

道に迷うことも多かったが、それも含めてピクシーズは優秀だった。

空を飛べるピクシーナビは優秀だし、野生の勘クマままナビも同様優秀だった。

このままどこまででもいけそうな、ニ〇スのふしぎな冒険感が素晴らしかった。


 みんな忘れてるだろ。

おっさんはたまるのだよ。

例の娼館が脳裏にちらつきだすのに、そんなに時間はかからなかった。

快適で楽しい健康的な旅を続けても、たまってくるのは止められない。


 バカだバカだと思いながらも、ロートル町に向かうおっさんだった。

ピクシーズはあまり歓迎していない雰囲気である。

町に近づくのは、もちろんこういう動物にとってリスクだからだ。

まあピクシーちゃんは違うことを考えていそうだけど。


 おっさんは娼館にたどり着くと、例の料理を納入しつつしばらく入り浸った。

ウズラさんにも卵をもらった。

町の外で例のアイテムとともにいるピクシーズは明らかに困っていた。

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