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異世界転移の錬金生活412 新たな苦悩

 おっさんは決心した。

そろそろ錬金術師っぽいことをしたい。

具体的には、モ〇ルスーツっぽいゴーレムさん開発である。

自分が操縦したいが、ムリならいうことを聞いて自走してくれるだけでいい。


 機動戦力はピクシーちゃん及び飛行用拘束具、手漕ぎボート、台車改である。

ちなみに、台車改と手漕ぎボートは組み合わせ可能になった。

手漕ぎボートの上に台車改を積載、台車改の上に手漕ぎボートを積載。

宇宙人の謎技術により、一見矛盾する上記性能が実現されている。

組み合わせると組み合って外れなくなる。


 この機能で何ができるのか、妄想すると相当楽しい。

水陸両用のモ〇ルスーツ並みのワクワク感がある。

これを使えば、どこにでも好きなところに行けそうな妄想が膨らむ。

この技術があれば、我々は十年は戦えそうである。


 ただ問題があるとすれば、おっさん動力という点である。

人間の力というものには限界がある。

組み合わせたということは、重量の問題はそのまま残っている。

台車改と手漕ぎボートはそれぞれで、まあ常識的な重量はある。


 だから必然的に別の動力源が欲しくなる。

前にからくり人形の話をしたが、それを発展させようという話である。

どうせやるなら大き目のモノで、今までの成果物も生かせるのが理想である。

もちろんピクシーちゃん及び飛行用拘束具をないがしろにはしない。

これが最強であるのは変わらない。


 いつもここで思考が止まる。

理想はいいし妄想もいいが、どうもその先がない。

何度試しても、自分には魔法の能力や才能なんてないのだ。

ゴーレムの核を魔物から取り出した魔石で作るなんてのは、単なる妄想である。


 以前氷の魔石を使用した雪ウサギ袋を作った。

これだって冷却機能を維持しながら、雪ウサギの命を奪っただけだ。

命があれば使えたはずの氷の魔力による攻撃性能は失われた。

何がいいたいかといえば、あれは性能を限定しやっと使用に耐えるものになった。

氷の魔石の性能をすべて引き出している、とはとてもいえない。


 しかし性能を限界まで引き出さないと、上記のゴーレムの核は作れそうにない。

少なくても人間の力以上の怪力を継続的に出してもらわなければ意味がない。

おっさんには、そんなものを扱えるだけの魔法も魔力もない。

土属性のサクヤさんや金属性のククリさんは魂のないこういう人形に興味がない。

姉妹だけにこのあたりはよく似ている。


 機が熟するのを待つか。

今じゃないのだろうな、例によって。

前回のカツオ節にすべてを持っていかれた経験が、おっさんに学びを与えた。

だって自分も、海の魚介類をどこかで捕獲して調理する野望は持っていた。

チクワやハンペン作りがしたかった。


 しかしなぜか、自分はカツオ節に気づいていなかった。

いわれた瞬間、自分の魂がものすごく揺さぶられたのが分かった。

ああ、これが妙なスイッチなんだ、と自分は理解した。


 矢も楯もたまらず、自分は船の設計図をみんなの前で引いていた。

あんなに嫌がっていた海の沖合に、頼りないボートで自分は出ていったのである。

ピクシーちゃんがすべてのつじつま合わせをしてくれたが、問題はそこじゃない。

妙なスイッチは誰にもあって、これが予定調和を突き崩すのだ。

運命の輪をぐるぐる回してしまうのである。


 そうすると結局カツオ節が手に入るわけである。

そのほかの魚介類も、運命の余福として大量に与えられることになる。

ちょっと考えていたチクワやハンペンなぞ、大量に作れる。

こういうことが起こるのだ。

今までおっさんの周辺で起こっていたことは、こういうことだったのではないか。


 正直これをグレゴリーズに話して大丈夫か不安はあった。

おっさんはまたこの件でも妙なスイッチを押された状態で話さざるを得なかった。

そうしたら、エ〇ァの例のシーンのようになった。


 輪になったグレゴリーズのみんなが万歳三唱後にこういったのだ。

おめでとう、おめでとうございます、おめでと、おめでとうな。

その後は万来の拍手が鳴り響いた。

冗談抜きでみんな涙ぐんでいる。


 こわっ、何の宗教なんだこれは。

しかし、どうも真実をつかんだような気分になった。

ただ現実的には、一歩も前には進んでいないわけなんだけど。

機が熟するのを待つか。

考え続けることによって何かに気づき、妙なスイッチになる可能性に賭ける。


 結局原点に戻って、からくり人形製作の真似事でもしよう。

クジラのひげはなくとも、謎織物はある。

カグヤさん製作の竹の弾力のある弓状のものもある。

これを組み合わせて自走するおもちゃでも作れないかな。


 気づきにつながらなくともダンザおやじにおもちゃを提供できるかもしれない。

まあ、お茶くみ人形のようなものを作ってみようか。

これを単純に大きくできれば、自走できる機能を持たせたことにならんかな。

思うだけで手は動かない。


 なぜならおっさんは、あの手の工芸品に興味を持ったことがない。

どんな仕組みなのか、全く想像もつかないからだ。

この手の理系的な勉強をしておけばよかったとおっさんは何度目かの後悔をした。

なんとなくのイメージだけでも、こういう場合は助けになるのに。


 自分がバカだったことに、今更気づくことになった。

カツオ節にすら気づけなかったバカがややこしい仕組みなんぞ思いつくわけない。

自走させるなどというのは、結構な壁である。

その場の思い付きでどうにかなるなら、ダンザおやじあたりがどうにかしている。


 ううむ。

これは久しぶりの鬱展開ではないか。

最初期の何をやってもうまくいかない感じが戻ってきている。

自殺直後だったこともあり、メンタル面でも最悪だった、と今でも思う。

そんな自分がなんとか生き延びられたのも、単純に思いの強さなんだろうな。

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