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異世界転移の錬金生活110 海を目指して

 さあ、泥川を下って海を目指そう。

荷物が結構重いし、大事なものばかりだ。

山賊の類に、奪われたら泣ける。

何かあったら、即拠点に戻るつもりでいる。


 しかし、今日はどれぐらい歩こうか。

泥川の上流を目指した時も思った。

川というのは、ちょっと歩いたぐらいではそう簡単に川幅は変わらない。

結構な距離を移動しないと、下流域になんてたどり着けない。

何日もかけて、途中は野宿しつつ進むしかない。


 おそらく下流域には人が集まる村ぐらいはあるだろう。

運が良ければ、結構な港湾を備えた都市にたどり着くか。

立派なやつを期待しているが、立派なやつだと逆に心配である。

それは、自分の風体の怪しさ加減である。

そのうえ現地の言葉がわからないときている。


 そのうえ、入場税のたぐいもまったく持ち合わせがない。

そこらで、適当に現地の通貨をゲットしたいのだが。

ああ、定番の入場税とられたあとに冒険者ギルドへ連行パターンかな。

そうなるのを半ば期待しているが、自分はそもそも浮浪者の類だ。

浮浪者にそういう立派な街がちゃんと対応するのだろうか。


 やばいな。

どういうことになるにせよ、心配になってきた。

いきなりファベーラ的なドヤ街行き、という可能性もあるのか。

その中で自分のようなおっさんが、生きていけるのか。

わけのわからん理由で即殺されるなんて、考えたくないぞ。


 うーん。

たどり着けばいいというものでもなさそうだ。

なにがしかの金目の物を準備して、現地の通貨をゲットしてからだな。

その結果を受けて、情報を集めつつじっくり取り組むか。

ま、今有望なのはソードフィッシュか、野草か。

このあたりを本気で集めていくか。


 ポーションの素材になりそうなものは、今のところ見つかっていない。

というより、大麻かモルヒネでいいんだよな。見たことはないけど。

こういうことこそ、どう作成するのか確認したいのだ。

闇雲に動いても、悪徳業者に単に利用されて終わってしまう。

ファベーラ的展開よりもある意味最悪である。


 まあ、穏当に進めるのが結局無難だろう。

言葉がある程度わかってからでも遅くない。

だからこそ自分は、そんなに立派なものじゃない村がいい。

で、村長さんあたりにも気さくに事情が話せそうなところがいい。

いきなり都会に放り出されるのは、怖すぎる。

結局一番怖いのは人間だった、なんてことになるのは嫌だ。


 自分でわかっていたのだ。

なんとなく人里探しが後回しになり、おっくうになっている理由。

正直、この世界の他者に出会うのが一番の恐怖だった。

その辺に魔物がいるとかのほうが、まだマシではないかと思う。

魔物は退治、討伐するしかないのだから。


 自分は今、他者からどうみえるのだろう。

他者を見て、自分は今どう感じるのだろう。

言葉の問題は、時間が解決してくれると思う。

自分はどうやら今、努力できる自分を手に入れている。

しかし、他者の思いはどうにもコントロールできない。

ダメと思われれば、やっぱりダメなのだ。


 そもそも、この世界の人類は、自分の思っているような人類だろうか。

そういう意味でも、自分はそれを見てどう感じるのか怖い。

あんなのは人類じゃない、あんな顔で人類といわれても。

そういった差別的感情に自分がとらわれないという保証はない。

この部分も、ダメと言われればやっぱりダメなのだ。


 端的に言うと、女にモテるか不安である。

女を魅力的に思うか不安である。

ダメだったら結局ダメだろう。

そして自分はまた傷つくんだろうと思う。

もしくは、相手をひどく傷つけてしまうのだ。

金の問題よりも実はきつい問題だと思う。

これがもとで死ぬ人だっているに違いないのだ。


 元気を出そう。

なんだか落ちそうな気配だから、気を付けよう。

そんな余裕はないはずだ。

決めたことをとりあえずやっていこう。

進もう、どんどん進もう。


 痛い思いを引きずりながら、進んだ。

途中で夜になり、野宿を開始した。

適当に火をおこし、焚火をした。

例の陰干しにしたアイツをあぶって食った。

野草の煮びたしも一緒に食ったので、意外と贅沢な味がした。

あの野草は、しっかりしがんで適当なところで吐き出した。

やっぱり体力が回復し、足の痛みがなくなった。


 大事なことを忘れていた。

ヤリから網を外し、ビクを装着する。

このわなをもよりの沼地に設置する。

よし、明日が楽しみだ。

この夜のうちに期待する手法がいろんな意味でスマートだ。

さあ、その辺で寝よう。焚火はついたままだ。


 ひどい夢を見た。

しかし、朝起きると何も覚えていない。

まあ、いいか。

焚火は燃え尽きていたため、炭をポケットに入れた。


 魚のわなは、くるくるとヤリに巻いた。

やっぱりアイツがいたため、そのままビク内で陰干ししている。

ビク、ヤリ、オノを手に持った。

あとはポケットというポケットに入れこんだ。

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