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西津 幸 にしづ こう

「――じゃあ、振るわよ?」


 エーミィが、明るく言った。

 魔獣使いの杖(テイマー・スタッフ)を手にしている。


(コウ様はいつでもだいじょーぶ!)

「きゅぴぴーん!」


 クロカイトは壁際でモンスター図鑑を眺めている。

 が、ちらちらとエーミィたちを気にしているのは明白だった。


「よーし、それじゃ……」

 ガズは言いかけて、

「あ、その前に、ルームの名前を決めておかない?」


 エーミィは構えていた杖を下ろす。

「何よ~。なんで先に決めるの?」

「んーだって、なんか、決めてからのほうが気合い入るじゃん」


(そういうの大事! わかる!)

「ぴゅきゅ~」


 ガズは続ける。

「あのさ、オレ……。他の町にこのルームの噂が伝わったときに、マイラに気づいてほしいんだ。オレたちが待ってるってこと。だから、今のこの部屋を知ってる冒険者だけがわかるようなヒントを入れたい」


 壁際のクロカイトがぽつりと言う。

「銀のクナイはやめろ。我がなんだか入りづらくなる」


 あはは、とエーミィが笑い、

「だったらもう決まりでしょ。スライム道場……ううん、宿屋として使うんだから、そう――」


「スライム亭ね」


 ガズが「おお~」と賛同し、クロカイトも「悪くない」と言う。

 幸ももちろん、ぴょんぴょん跳ねて大喜びだ。


 その幸をつつきながらガズは、

「なあお前、幸運スライムなんだろう? だったら、ここは杖の魔法に当たっとけ。当たったほうが、絶対に幸運なんだって信じろ。わかったな?」


(わ~かってる。コウ様は海で死んでも幸せなんだぜ? 幸運ってのは自分で決めるんだ)

「きゅぴゅん、ぽきゅぴぴーう」


 エーミィが噴き出す。

「この子、なんか語ってるわ。ほんと幸せそう。絶対にスライム亭のマスコットにするんだから」

「おう、その意気だぞエーミィ」



 こうして――


 女神たちの気まぐれでスライムが湧きまくったこの部屋で、


 そのスライムが落とす激レアアイテム「シルバーペンダント」を胸につけた少女は、


 奇跡の幸運スライム、幸に向かって、


 明日の幸せを信じ、


 魔法の杖を振り下ろすのだった。


■■■ハッピー■エンディング■■■

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