甘糟 省二 あまかす しょうじ
(マジで暇……。ネットもない。スマホもない。友だちもいない)
省二はもう飽きていた。
冷たい石の部屋に、ただ座り続けて1時間。
独房ではないが独房と同じだった。
(誰か何か俺に言ってくれ~。何すればいいのか言ってくれ~)
待っていた。
待望し切望し渇望していた。
何かが起こることを。
――なので、
ガチャっ。
(き、来た! 人がきたー!)
「ぴゃう~ん」
「え、おい? なんだこのスライム……」
しょんぼりとしたガズが入ってきたとき、省二は嬉しさで跳ねまわった。
ガズの周りを一周二周、三周もまわり、
(何する? 何してくれるの?)
「ぴゅぴゅん?」
「お前、ものすごいハイテンションだな。何かあるのか……あれ? このシルバーペンダントってやつ、お前がオレにくれるってことか?」
盛大に勘違いされた。
「まさか、オレがマイラのことで落ち込んでるからって、形見のクナイとセットで銀のやつ用意してくれたのか?」
さらに勘違いされた。
でも、省二はとても流されやすいので、
(ああ俺、そういう役目でここに転生したのか)
「ぴゅいぴゅい」
否定せず、もう一周だけガズの周りをまわって祝福してみた。
そして、調子に乗った省二は、
(うぇーい! ハイタッチ~!)
「ぷみゅー!」
ガズに1ダメージを与えた!
「は? ここで攻撃すんのかよ! え、どういうこと? 役目終わったから退場ってこと?」
すぱっ。
(うぇーい! なんか真っ二つに斬られたけど暇するよりマシ~!)
「ぴょーい」
「銀のクナイって、こうやって隠して斬るのか。マイラって手刀に見せかけて、手の中にこれ持ってたのかも。マイラ……うう……」
思い出して、ガズはまた泣くのだった。
■■■ザンネン■マタ■ライセ■■■




