津原 元久 つはら もとひさ
「そろそろ1時間じゃない?」
エーミィはきょろきょろと辺りを見回す。
……スライムは出現していない。
「まだなのかしら。もうちょっと待ってみようか」
(もっとお話ししましょうよ)
「ぷみぷみ~」
元久はすっかり打ち解けたエーミィに甘えた声を出す。
だが、エーミィは、
「うーん、でも、やっぱり1時間は経ってる。2匹めは出てこないってことだわ」
そう言って立ち上がった。
「考えてみれば、ここの扉開けて、スライムが2匹いたことないもの。もしどんどん増えるなら、開けていきなり10匹とか、とんでもないことになっててもおかしくない」
「なんであたし思いつかなかったのかな。アタマ悪っ。ガズのこと笑えない……」
と、そこで思いつく。
「そうだわ! もうひとつ実験できる。あなたを倒したとき、すでに1時間経ってるからすぐに次が出てくるのか、そこからまた1時間なのか――」
(た、倒す……?)
「ぷ、み……」
「あ、出てくる時刻が決まってる可能性もあるわね。たとえば1時間半で倒したとき、そこから1時間じゃなくて、30分で出てくるということ。どれかしら? ちょっとわくわくしてきた」
ぼこんっ。
クリティカルヒット!
(ひどいわ! あんまりよ!)
「ぷみんぐ、ぷきゅーむ!」
「どうかな~」
元久の抗議は、もはやエーミィには届いていなかった。
■■■ザンネン■マタ■ライセ■■■




