小川 久美子 おがわ くみこ
女性
62歳
商社マン
担当女神:ムネモシュネ
攻撃:7
防御:8
速度:4
知能:12
幸運:7
「あたしの記憶の権能って長生きしないと意味ないと思う」
■■■テンセイ■GO■!■■■■■
「ぴゃー」
「ぶりゅー」
「ぽう」
(うーん、色々喋ってみたけど、発声器官がそもそも違いすぎて……)
久美子は転生して以来、部屋に反響する自分の声で実験を繰り返していた。
結論は、声ではなく、音だということだった。
(思っている言葉に対応した音が出ないから、この、スライムが発している音は言語として成り立たないわ。なんというか、水面に石を投げたときの音では会話ができないのと同じというか)
(私は多言語が扱えるから、日本語以外の言語圏であっても、どうにか声さえ対応したものが出せれば会話ができそうなものなのだけど……なかなかうまくいかないものね)
久美子は現状を、異世界転生という括りではないが、わりとそのまま受け入れていた。
適応力には自信があるのだ。
(ま、それなら仕方ない。殺されるまでに何かやれることがあればやっときましょ)
がちゃ。
「ごめん何か気配がしたからつい見ちゃった。オレ、スライム道場の中毒なのかも」
少年が、苦笑しながら棒を構える。
(うーん、何かって何かしらねえ。もう孫に会えないから、結構いろいろ未練ないわ)
(名前はなあに? なんてね)
「ぱっちゃっぽわえ?」
「ぴちゃぴちゃどうした。このオレ、ガズ様の棒さばきを受けてみろ!」
ぼこんっ。
(あ、通じなかったけど通じたわ。ガズね……忘れないわ……)
「ぽあっちゅ」
「ぽわっちゅじゃない、ガズだ。はは、スライムの音と会話してる。馬鹿かオレは」
■■■ザンネン■マタ■ライセ■■■




