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ZONE  作者: 北斗 白
春季大会編
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35/46

ep13~新たな決意~

ZONEは毎週日曜日21時更新です。

 中学校の卒業式の日に、先輩とその仲の良い友人グループで話しているのを聞いたが、確か時雨高校と言っていたはずだ。


 「でもまだサッカーを続けているかわかんないし……」

 「そいつ名前何て言うの?」

 「久留沢《くるさわ》陸丸《りくまる》っていうんだけど……」

 「あ、聞いたことあんな……中盤の選手だったっけ」

 「……その人だ」


 奏真が知っているという事はまだサッカーはやっているという事だ。そして、その先輩と次の春季大会の一回戦目で当たることが確定した。……まだ自分はスタメンが決まったわけではないけれども。

 

 「上手いの? 久留沢先輩って。僕一回サッカー辞めてから何も聞いたことがないから分かんないんだよね」

 「いや、たいして上手くはないはずだけど、ロングパスの精度が良いはず」

 

 奏真が久留沢先輩の特徴まで言ったのを聞いて、良くそこまで知っているなと感心した。

 僕が中学のサッカー部にいた時は、そこまで好きな人ではないのと嫌な出来事があったのでどうしても言い方が悪くなってしまうが、とりあえず調子に乗って周りの部員とワーワー騒いで、サッカーをファッションにしている様な人に思えた。

 肝心なサッカーの技術はというと、他の部員よりは足元の技術が抜けていたような気がする。といっても何年も前の話なので、記憶に残っているのは鈴香に向かってボールを蹴った光景だけだ。


 「なんか……絶対に負けたくないなぁ」

 「お? 珍しいな蹴也が闘志を剥き出しにするなんて」

 「まだスタメンって決まったわけじゃないけど、時雨高校は……久留沢先輩だけは自分の手で叩き潰さなければいけないような気がするんだ」


 別に以前の仕返しをしたいという訳ではない。ていうかそんな気はこれっぽっちもない。多分自分は過去の思い出から脱却したいんだろう。

 自分の心の底を縛り付けている鎖を完全に解いてさらに前に進みたい。そして敵わなかった相手……神代、そして桜井にリベンジを果たしたい。

 長らく経験していなかったので忘れていたが、「悔しい」とはこの事なんだろう。負けたままでは終わりたくないと切実に思っている。


 「この間の試合でZONEを発動しても勝てなかったのが相当身に染みてるんだな」

 「悔しかったよ本当に。ただ少しだけ疑問に思った事があるんだ」

 「疑問に思った事?」

 

 そう、東堂高校との試合で一つだけ疑問に思った事がある。

 僕たちの敗因は点数を決められなかったのともう一つあると考えていた。それは、桜井劉輝が上手すぎるという点だ。後半あの人がピッチに立ってから明らかに試合の風向きがかあった。そして僕は気づかない内に彼を目で追っていた。そこで気づいたことがある。

 

 「桜井劉輝……僕はあの人に僕や神代と似ている部分を感じたんだ」

 「……ということはあの人もZONEを発動していた?」

 「極端的に言えばそうなるけど、あの人のZONEは明らかに僕や神代とは違ったレベルのZONEだった」

 

 そう、あの時感じた違和感。あの人の強さはZONE状態に「似ていた」。ただ完全に同じものではなかった。それだけは確信的に言える。

 

 「……レベルが違ったんだ。ZONEの」

 「少し補足して言ってみて」

 「簡単に説明すると、僕が思うにはZONEには段階、もしくはレベルがあると思うんだよ。例えて言うならば僕と神代がステージ1。簡潔に言うと一番最下層っていうことだね。そして桜井が位置しているのがステージ2。何らかの成長を遂げたステージ1の進化バージョンということだね」

 「要するに、蹴也と神代の上位互換という事だ」

 「まあ面目ないけどそういう事になるね」


 そこで僕はどうしたら次の段階に行けるかを考えた。今のところ二つの考えしか持ち合わせていないが、一つは自らの基礎能力の上昇。もう一つは心のしがらみの鎖の解除。

 まだ根拠みたいなものはないが、次々に試していかなければいつまでたっても前に進めない。


 「僕は次のステップに行くよ。絶対に、あの人を超えるために」

 「……蹴也だけに良い格好させられねぇな」

 「ん、何だって?」

 「いや、何でもない。試合、絶対勝とうな」

 「うん、勝たなくちゃないから」


 僕と奏真が拳を合わせると、少し遅れて昼休みの終わりを告げる鐘が鳴った。春季大会に向けて新しい決意を持った僕と奏真は、蒼く晴れた空を背にして教室へと戻った。

お読みいただきありがとうございます。次回からはいよいよ春季大会編本編に入ると思うので、それまで待っていてください!


北斗白のTwitterはこちら→@hokutoshiro1010

お知らせなどは活動報告をご覧ください。

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