episode2
家族編2話です。
まだ本話の序章ですが、気長にお読みください。
「…い…ん、兄さん、朝ご飯できたよ。」
半開きの視界の先に、うっすらと女性の影が映る。
奇麗に整ったポニーテールに、長いまつげで誰なのかすぐに分かった。妹の鈴香だ。
身長は僕より小さいが、中学三年生の女子の中では、割と大きいほうだろう。
そのせいか、少し大人っぽく見える。
何より、おぼつかない視界の中でも、彼女の笑顔は自然と目に入ってくる。
「今日から高校一年生でしょ? 早く用意しないと遅れるよ? 」
「ああ、今行く。」
「先にご飯食べてるね」
そう言い残し、ドアを閉じた細い指は、足音と共に遠くなっていった。
「さて、と。」
カーテンを開け、外を見る。
すると、待ってましたと言わんばかりに、太陽の光が部屋に、勢いよく飛び込んできた。
雲一つない、快晴だ。
まるで、天候という自然さえも高校入学を祝ってくれているような気がした。
ベットから降り、クローゼットの中から、今日から通う海聖高校の制服を取り出す。
紺色の生地に、金色のボタン。至ってシンプルで素朴だが、制服のどの部分を見ても、何一つ皴がなく、とても格好よく見える。
そう見えるのは、制服が新品だからか。
それとも、新しい環境に、自分の心がざわついているからか。
どっちにしろ、表面には出ないが、内心、心が躍っている自分がいるのは確かだった。
寝巻を脱いでいると、ちらっと鏡に背中の傷跡が映った。
「あの時の傷。まだ、消えていないか。」
制服を着るのは初めてだったので、フックを掛けるのに少々手間がかかったが、何とか身支度を済ませ、居間へ向かった。
お読みいただきありがとうございました。今回の話は、妹さんと母さんが登場しましたね!
これから海聖高校編が始まっていきます、
家族の関係だけではなく、クラスメイト達との交流も多くなっていくので、見どころは増えていくと思います、
次話を楽しみにしている人が一人でもいたらいいなと思います!
そして、ZONEを読んでくれる人、知ってくれる人が、だんだん増えていくことを楽しみにしています!
コメントも読ませてもらってるので、些細なことでもコメントしていただけると嬉しいです。これからも応援よろしくおねがいします。
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