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第6話『精一杯のジャスティス』


「カンパーイ!」


 魔女とホウキ頭と共に俺の家で親睦会をすることになった。


「それじゃあ、まずは改めて自己紹介からいってみよー! 名前と年齢、趣味、あとは能力を言う感じで! まずは、おれっちから!」


 ホウキ頭が髪型を整える。そして、コーラを一口飲み、ゴホンとはっきりと発音する。


「ええ、ゴホン。改めまして、おれっちは猪俣宗治。あだ名はソウちゃん! 19歳フリーター。趣味はセクシー女優のイベントへ行くこと。右近くんとは、とても気が合いそうっす! あとは他人がスロット打ってるのを背後から見ること。もうぜんぜん気軽にタメ語で話してほしいっす! そして、おれっちの能力はマタガールレイディ。破壊神の跨がられし絵筆の後片付けと書いてマタガールレイディっす!」


 ──破壊神の跨がられし(マタガール)絵筆の後片付け(レイディ)


「この能力は、ホウキになって可愛い女の子に跨がってもらえる能力っす!」


 な、なんて羨ましい能力なんだ! 能力としてはダサいというか、闘う意思をまったく感じないが、俺もそっちがよかった!


「それだけじゃないっすよ! あとは戦闘後の瓦礫などの掃き掃除もまかせてくれっす!」

「ただのホウキじゃねーか!」

「右近くんの能力と相性バッチリっすね!」


 いや、確かに俺が破壊した後に……そういえばあんだけ掘って砂利とか出たのに戦闘後の工場きれいだった!


「おれっちが来たからには、ホコリ一つ残らないぜ!」

「えっ、どうした急に!?」

「決めゼリフっす! 右近くんも考えておいた方がいいっすよ!」

「お、おぅ」


 今の戦闘に関してのセリフならかっこよかったのに、普通の掃除の話だもんなぁ。いや、かっこよくはないか。


「では、次は私が」


 魔女が立ち上がりローブをふわっとさせた。すごい量のホコリが舞った。ホウキ頭の決めゼリフのあとに、このホコリ量は気まずいが、まだ清掃前だから仕方ない。あとで部屋を綺麗にしてもらおう。


「私はマイノリー・ティー。年齢はひ、み、つ。趣味はコスプレ、スロット、おしゃれな文房具集め、パチンコ、ワイドショー、競馬、週刊誌のチェック、競艇です。能力は破壊神のパクり疑惑と書いてジログラビリィ!」


  ──破壊神の(ジロ)パクり疑惑(グラビリィ)


 えっ!? なんか知ってる!


「この能力を使うと浮いた存在になれて、他者も道連れに浮いた存在にできる」

「いやいや、え、まじ? おまえ、まじでそれで行くの?」

「何のことでしょう?」

「いや、なんていうか、ものすごく有名なやつと被ってるっていうか、パクってるっていうか……ただ発音をよくしただけというか……それだけならいいけど、おまえのティーという名前で、それやっちゃうのは、もう完全にアウトというか」

「続いてヒーローネームですが」

「やめろーーーーっ!! 間違いない! 確信犯だろ、これ! ヒーローなんて言葉今まで一度も出てきてないのに、おかしいでしょ、これ! そもそも自らパクり疑惑といっている!」


 これはまずい。まだあらすじにも追いついていないのに、この物語が消去されてしまう。確かにほとんど誰も読んでいない。

 通勤中とか休憩中とかに、ゆるーく読んでもらおうという思いから、プロットも何も考えず、ただタイトルだけが先走って、ゆるーく始まり、ターゲットにしていたつもりのスマートフォンからのアクセスが全くないこの物語。だいたい12話くらいで終わらせようかなーと思ってたけど、無駄な思いつきが暴走し、なかなか物語が進まず読者のイライラはつのるばかりだろう。

 正直なところ今回の親睦会の話。ぜんぜん必要ない! ただ能力名に全然違うルビをふるのがやりたかっただけだ!


 って、俺はいったい何を言っているのだろう。知らない誰かの言葉が、にわか雨のごとく降りてきた。

 よし、ここはひとまず俺の自己紹介ですべてを掻き消そう。できるだけインパクトのある自己紹介をして、ティーの疑惑をなかったことにする。これだ、これしかない。


「空ー前っ絶後のー、超絶孤高の高校生! AVを愛し AVに愛された男! 抱腹絶倒地獄絵図! 天上天下唯我独尊! AVのグラディエーター! そう、我こそは! たとえこの身が朽ち果てようとAVを求めて命を燃やし、燃えた炎は星となり、見る者すべてを笑顔に変える! みんなご存知! そうこの俺こそは最強無敵の高校生! あまりのポテンシャルの高さに、MOODYZ、S1、SODから命を狙われている男! そう俺こそは、身長168cm、体重53kg、長所、明るいところ! 短所、コミュニケーション能力の欠如! AV界に舞い降りたキングオブ人見知り! そう、この俺は

サンシャイーン! いーのう! ボコッ! うこーん! イエエェェーーーーーっ!!」


「右近くん、パクりはよくないっすよ」

「本当、最低ですね」


「ジャースティースっ!!」


 ドガァーーーーーーーーン!!


 能力で部屋が半分吹っ飛んだ。


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